スピーチ 4
いや実に懐かしい。
何年ぶりですかな、この書斎でグラスを傾けるのは。
なにしろ私、トラウマ仮面は多忙の身ですからな。世界中を駆け回っており、なかなかここにも立ち寄れないのです。
さて。珍しいものが手に入ったので、ご紹介しようと思い、急ぎ立ち戻った次第であります。
とくと、ご覧あれ。
© STUDIO-UOO!
何者か、お判りですかな?
左様。
異星人と呼ばれる者の
姿であります。
正面を写そうとして、
恐怖のあまり手ブレしたのでありましょうか?
後ろ姿もパチリ。
すでにお察しのとおり、本物では当然ありません。これは、STUDIO-UOO!というメーカーによる模型であります。
ですが、目撃報告に忠実に沿って立体化されたフィギュアは、ディフォルメが過ぎない限りは、それなりに資料的価値があるものと私は考えるのであります。
この異星人、1989年に当時のソビエト連邦はボロネジという工業都市に現われたUFOから降り立ったものとされています。あのタス通信が報道したという点で、世界中で話題になりました。
目撃証言によりますと、着陸した円盤のハッチから、二メートル以上もある三つ目の宇宙人と小柄なロボットが出てきたというのであります(模型は、その三つ目の大きな宇宙人を再現したものであります)。
目撃者の少年が、なにゆえ小柄なほうをロボットと判断したのかについては触れられておりません。あるいは、大きなほうこそがロボットではないかと、トラウマ仮面は考えております。
と申しますのも、このボロネジに出現したUFOには特徴的なマーキングが施されていたのです。「Ж」というロシア文字に似たマークだったそうです。
このマークについては、知識のあるかたならすぐにピンとくるものでありまして。
1967年にスペインはマドリッドに姿を現わした円盤型UFOに記されたマークのことです。我々日本人には「王」と見えるそのマーク。
「Ж」と「王」。
いかがです? 似ていませんか?
実際、ボロネジの目撃者少年にこのマドリッドのUFO写真を見せたところ、まさしく「これだ」と言ったそうであります。
そして、このマドリッドのUFOは一般に「ウンモ星人」のものとされています。なぜなら、そう彼らが名乗ったからであります。
ウンモ星人については、あらためて別の機会に触れるとしまして。ともかく、彼らウンモ星人は外見的には地球人類と違いがないそうであります。これを信ずるならば、ボロネジの三つ目異星人は、その「Ж」マークに反し、あまりにもウンモ星人の姿からかけはなれております。
それゆえ、むしろ連れていたという「ロボット」こそが主だったのではないかと、そうトラウマ仮面は考えるのであります。
無論、単なる偶然の一致にすぎないかもしれません。
あるいは、ボロネジの目撃者が、すでにウンモ星人に関する情報を持っていた、すなわち目撃報告そのものが情報汚染された代物である可能性も否定できません。
考えると、映画『宇宙戦争』に登場した宇宙人も三つ目でしたな。まさか、この映画がボロネジの元ネタだなどとは思いたくありませんが……(模型のほうは酷似しておりますぞ)。
すべては、やはり謎なのであります。
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参考文献:『矢追純一のUFO大全』リヨン社
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