Midi が鳴ります。 スピーチ 2
 
 
 かつて、米空軍は公式にUFOを研究・調査していた。
 あなたは、この事実を知っておられますか? ――ああ、もちろんこの場合の「UFO」とは私、トラウマ仮面のいうエイリアンズ・クラフトではなく、広義の「未確認飛行物体」を指しますが。
 
 事の起こりは、第二次世界大戦であります。
 多くの軍バイロットが飛行中に、機知の敵機でなく、むろん味方機でもない、正体不明の飛行物体を目撃したことに端を発します。
 この謎の飛行物体は「幽霊戦闘機」“Foo Fighter”と呼ばれ、当時のパイロットたちの話題の的であったようです。
 軍上層部やCIAなどは、これが、大戦中はナチの秘密兵器、戦後はソ連の新兵器ではないかとの疑いを持ち、危惧しておりました。
 
 そこへ、有名な「ケネス・アーノルド事件」であります。マスコミが「空飛ぶ円盤」“Flying Saucer”をハデに取り上げ、世間も騒ぐようになり、放ってもおけなくなったのでしょう。ついに空軍は1948年、「プロジェクト・サイン」を設置して、空飛ぶ円盤目撃事件の調査・分析をさせました。
 この機関は、たいへん真面目にこの任務に取り組んだとみえ、「空飛ぶ円盤=異星人の宇宙船」による脅威説を唱えたのであります。
 
 もちろん石頭なお偉いさんの怒りを買いました。そして一年足らずで「サイン」は解散。代わりに設けられたのが悪名高い「プロジェクト・グラッジ」であります。
 これは、あからさまな「空飛ぶ円盤否定機関」でありました。顧問として、たいへんに保守的な天文学者のジョセフ・アレン・ハイネック博士を迎え、科学者の言葉で否定論を裏打ちしようと目論んだのです。
 彼の保守ぶりはなかなかのもので、あらゆる目撃事件をすべて沼地ガスによる発光現象と結論づけるほどの強引さなのであります。まるで、UFOをすべてプラズマと言いきってしまう、どこかの大学教授氏みたいですな。(失笑)
 
 ですが、この石頭博士も、軍のあまりにもかたくなな態度には呆れたのか、ずっとのちにはUFO肯定論者へと転向なさっておられます。
 ちなみに、このアレン・ハイネックという名前、コアな映画好きのかたなら、あるいはご存じかもしれません。そう。有名なスティーブン・スピルバーグ監督の“CLOSS ENCOUNTERS OF THE THIRD KIND”という作品のテクニカル・アドヴァイザーをなさっておられます。
 
 おっと、脱線しました。で、この「グラッジ」も一年経たずに解体されました。UFOが、あるいはUFOのまことしやかな噂が、アメリカ国民を不安に陥れるために敵国によって放たれたものであるとの結論を受け、ネット上の「荒らし対策」のごとく、無視するのが最善という判断によるものでありました。
 
 ところが、依然としてUFO目撃はあとを絶たず、やはり無視できないとして、軍は1951年に「グラッジ」を再編、さらに「プロジェクト・ブルーブック」へと改名し、本格的な情報収集に当たらせました。
 この機関の責任者になったエドワード・J・ルッペルト大尉という人が、これまた真面目な人だったらしく、仕事に熱心に取り組みました。結果、「ブルーブック」は、かなりの量の貴重なUFO情報(目撃報告や写真)を集めたといいます。
 が、この仕事ぶりが、米国民を誤魔化すのを目的としていたであろう軍上層部のお気に召すはずもありません。彼はすぐにクビになり、「ブルーブック」自体もどんどん縮小されていきました。そして1969年に、閉鎖となったのであります。
 先のハイネック博士がUFO肯定派になるきっかけには、この時期の軍の大尉に対する待遇の悪さも一因となっているようです。
 
「ブルーブック」解散後、米軍は、UFOには全く関心を持っていないと公言しておりました。が、のちの情報公開法により、それが大ウソであったことが明るみになった裁判は有名であります。
 
 当然、今でも米軍はUFOの調査・研究を進めていることでありましょう。用心に越したことはないのですから……。
 
 結局、「プロジェクト・ブルーブック」とは何だったのでしょうか? 一説には、本物の対UFO組織の実態を隠すための衝立の役をさせられていたのではといいます。
 本物のUFO組織。マジェスティックとかMJ-12とか、外交評議委員会とか色々な名前が飛び交っておりますが、表に出てくる名前ですからなぁ…。すべてダミーでありましょうな。
 実体は決して表に出ず、着実に任務をこなす。もしもこの私が一国のリーダーなら、そういう組織を望みますからな、やはり。

 
 
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参考文献:『世界UFO大百科』学研

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