本 スピーチ 1
 
 
 まずはじめにお断りしておきますが、トラウマ仮面にとってのUFOとは、地球外知的生命体の操る飛行物体のことなのであります。プラズマだの浮遊生物だの某国の秘密兵器だのは、考えておりません。
 なぜなら、それらは脅威ではないからです。某国の開発中の新兵器だとしても、すでに存在するABC兵器のほうが余程、脅威的であります。
 
 よく「UFOを見たい」とか「宇宙人に会いたい」とかおっしゃるかたがおられますが、トラウマ仮面は「とんでもない!」と考えております。
 相手――つまり異星人ですが――がタチの悪い連中であった場合、遭遇はすなわち危機そのものでありましょう。
 あるいは、悪意はなくとも、地球人たる我々と価値観・道徳観がまるっきり違った場合も、悲劇的展開は容易に想像できるではありませんか。
 そういった知性体が魔法にも匹敵する優れた科学力――地球に飛来しているという前提ですから――を持っている。脅威でなくて何でありましょう。
「人類に明日はないかもしれない」
『ダーク・スカイ』の文句ですが、取り越し苦労であってほしいと、トラウマ仮面は本気で思っているのであります。
 
 さて、暗くなりましたので、少し明るく。
 トラウマ仮面は、色々な書物を読むうちに、異星人たちは、昔から地球に来ていたと考えるようになりました。
 旧約聖書『エゼキエル書』を始め。それらしい記述・伝承が多いのであります。
 例えば、妖怪。あなたは、いかがお考えですかな?
『ウルトラセブン』にありましたな。河童は異星人である。クチバシはエア・マスク、甲羅は生命維持装置、ぬるぬるした皮は気密服なのだと。
 水木しげる先生は、ご自身の著書の中で、妖怪の狸は実は狸に似た姿の、まったく別の知的生命・異星人ではないかという説を述べておられます。
 有名な遮光器土偶が宇宙船のパイロットの姿だという説もございます。
 この宿坊に巣くっている烏天狗の六光坊。あれも怪しいですぞ。空を飛び、神通力を使う人の姿をした怪物……。天狗一族も異星人なのかもしれませんな。
 
 さすれば、安心してもいいのかもしれません。
 それだけ昔から、大量の訪問者を迎えながらも、未だ地球人類は支配も根絶もされてはいないのですから。
 それとも、映画『ゼイ・リブ』のように、秘かに管理されていたりして……。

 
 
‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡
 
 
2へ

 
 
書斎へ
 
庭に出る

 
壁紙 by 「雪だるまさんが転んだ♪」