畳む
あきらかに打ち切り喰らったと思えるのはね。
読後感が、まるで『ガンダムX』第3クールを観た感じに似てるんですよ。要するに、残ってた設定とプロット全部強引に押し込んじまった感が凄い。
この第二巻、前半こそ新キャラのバーサーカー(第一巻巻末の次巻予告にでっかく出てた野郎)をきっちり描いてますが、後半はもう風呂敷畳むのに全力で慌ただしいったら。あーもー、もったいねー。
組織でトップ級の実力者だったはずの No.1 と No.3 がプロと名乗るには弱すぎたのも、あれですかね、端折りの弊害でしょうかね。あそこも、もっと緻密に描く予定だったのでしょう、きっと。
とは言え、詰め込みすぎたわりに作品として崩壊していないのは作者さんのご苦労の賜だと思います。『ウルトラマンネクサス』最終話並みの見事な仕事ぶり。よく圧縮したなぁ、あれだけの内容を。
当て推量ですが、最低でも全四巻くらいの分量を予定していたプロットだったんじゃないかな、と思います。復活した西部劇野郎とか、寡黙なソウとか、第一巻と違ってなぜか関西弁のアサシンとか、掘り下げるべきキャラもいろいろいますし。バルバトスに制圧されていながら仲間にならなかったギャングスターやアドバンスド、そして最後に少しだけ出てた「引き篭もりのウジ虫ヤロー」のその後も気になりますし。
とにもかくにも、打ち切られない仕様で読みたかったですね。残念。
まーねー。第一巻の感想で書きました、妖之佑の悪い予感が的中したとも言えますかね。
ほら、あの敵組織の殺し屋たちを姿と名前とナンバー添えてズラリ紹介した手法。ジンクス的に短命作品で終わらないかと懸念してましたからね。
これは個人的な意見なのですが。
大相撲の幕内土俵入りよろしく、歌舞伎の口上よろしく、序盤に敵がズラリと名乗りを上げる演出は失敗率が高いと思うのです。
それをやって打ち切りあるいは短縮された場合、どうしても「大風呂敷」だった印象を否めません。
逆に、敵をギリギリまで描かずにおけば「次は、どんな敵が出てくるんだろう?」とwktkさせることになり、効果的です。
また、最初に全員の姿まで描いてしまうと、後々になって新しいアイデアが出たり修正したくなったりしたときに困ります。『キン肉マン』の「7人の悪魔超人編」は、たった七人なのに当初の三人がすぐ消えて別の三人が入りましたよね。そうなるんです。反省からでしょうか、すぐ後の「黄金のマスク編」では悪魔六騎士の姿を小出しにしてきましたよね。
同じく少年ジャンプの『コマンダー0』こそ、打ち切り→大風呂敷のコンボ罠にはまってしまった気の毒な作品だと思います。たしか冒頭で、敵組織のメンバーをタロット大アルカナの二十二枚になぞらえたんじゃなかったかな(ここは記憶違いかもですが)。でもって、打ち切りで敵の大半が登場できず、しかも最終決戦も所謂「俺たちの闘いはこれからだ」で終わってしまった不完全燃焼の作品。なら最初の大風呂敷こそ不要だった。
これは打ち切りではありませんが。特撮版『キカイダー』でも第一話でダーク破壊部隊十三名が揃い踏み(シルエットですが)で名乗りを上げました。で、ご想像のとおり何名かは名前やデザイン変更の憂き目に遭い、さらには出番のなかった者もいた。
つまり序盤での「敵がズラリ揃い踏み」は基本的には、やるだけ損ですよ。
第一巻に続いて、この巻でも作者さんのこだわりが見られたのは嬉しかったです。
バーサーカーが武器を使わず敵部隊をほぼ全滅させた戦法は、その後の尾行をやり過ごす方法ともども、士郎正宗さんあたりが好きそうだなー♪
打ち切られなければ、他のキャラたちの個性的戦法もじっくり描かれたんだろうと思うと……やっぱ、もったいねー。
前巻で妖之佑が指摘・批判した、組織の殺し屋に付けられるナンバーですが。
ライアンの「No.66」が「ろくじゅうろく」でなく「ろくろく」でも成立することが判明。
なるほどね。十の位は戦術を分類するナンバリングでしたか。で、ナンバー一桁組は戦術関係なく突出してムチャクチャ強い連中。
だからライアンの刻印がローマ数字で「VI VI」でも無問題、と。なるへそ。
ここは誤解したことを素直に謝ります。m(_ _)m
ですが、申し訳ないが返す刀で。一点だけ、見過ごせなかった箇所を。
いかれたJKを倒したヴィヴィの技が、第一巻で対決した西部劇野郎のテクを“見稽古”した「ゲットオフ スリーショット」だったのはダメです。いけません。
理由をわざわざ言う必要もなさげなのですが……レッドホークはダブルアクション・リボルバー。で、ダブルアクションではメカの構造上、ファニングできないんですよ。ブラックホークかカスールだったら、よかったんだけどね。
このミス、『ルパン三世』(第一期)で次元も、やらかしてるんだよなー。
最後に、第一巻とで激変しているカバー絵について。
これも当て推量なのですが。
第一巻カバー絵の無表情なヴィヴィが、数巻を経て少しずつ表情豊かになっていき、最終刊で最終決戦の激怒顔になる。
というのを考えておられたんじゃないのかなー、それが全二巻になっちまって、こうなったんじゃないのかなー。
と思ったのでした。
追記。
何度も読み返していて、気づいてしまいました。
この作品のキーとなる銃、スーパー・レッドホーク。
第一話の最初の大ゴマでこそ、ちゃんとスーパー・レッドホークなのですが。
それ以外のシーンでは「スーパー」の取れたレッドホークにしか見えないばかりか。
アップの大半が、S&W の銃(たぶん M29)になっています。シリンダー・ラッチを見れば明らか。
どうして、こうなった?