出生から死亡までの連続した戸除籍謄本というのは、謂わば、その人の生涯の要約と言えます。
家系図から、その人に近しい部分だけを抜き取ったもの、と言ってもいいかもしれません。
これが必要な理由は、被相続人に法定相続人がどれだけいるかを、はっきり把握するためです。
法定相続人は、無条件で該当する配偶者以外は、親族の中から優先順位に応じて決まります。それが誰と誰かというのを探すために、つまり、子供はいるか両親・祖父母は健在か兄弟姉妹はいるか、などなどを調べるために連続した戸除籍謄本が必要となるのです。
どこかで途切れると、その途切れたところに「いるかもしれない」となり、確定情報ではなくなりますからね。
※ 請求先
戸籍関連の書類の請求先は、住所ではなく、本籍地のある市区町村の役所・役場です。
ですから、遠方だと郵送での申請となります。方法は、市区町村の公式サイトに説明があります。
なお本籍地が判らないときは、住民票や住民票の除票を「本籍地記載」で取りましょう。
※ 注意点
本籍地を変えている人の連続した戸籍謄本を求める場合、一度でも本籍地となった市区町村すべてに申請しなくてはなりません。
例えば、A市に生まれてB町に婿入り・嫁入りして、さらにC市に引っ越した際に戸籍も移して、そこで亡くなった人の場合は、A市とB町とC市のすべてから戸籍を取ることになります。でないと「連続した」ことになりません。
また、実家から一度も出ていなくても、結婚して名字が変わった人は結婚相手の本籍地に移っています。
例えば、フグ田サザエさんは実家の磯野家に住み続けていますが、戸籍はフグ田家の本籍地に移っているわけです。
ご注意を。
「出生から死亡まで連続した戸籍謄本」と申請すれば、「これより過去の戸籍は、うちにはない。**の役所に問い合わせて」という返事が返ってくると思います。
万が一にも役所の人が教えてくれなくても、戸籍に「**より転籍」といった旨の記述があるはずで、その地名の役所・役場に申請する。というのを「出生」の記述を見つけるまで繰り返すことになります。
遡ろうとしても地名が古すぎて現在のどこだか判らないという場合は、素直に専門家に任せたほうがいいかもしれません。
※ 無駄を回避
故人の戸籍謄本を取る場合、同じ戸籍にいる人の名前も全員分が載りますから、添付書類として遺族の分の戸籍謄本を求められても、別々に申請する必要は通常ならありません。亡くなった人の謄本で事足ります。少なくとも我が家は、それで足りました。
もちろん、結婚している人は違う戸籍になっているはずですので、別に戸籍謄本を取る必要があります。
※ 戸籍と原戸籍
戸籍は昭和32年と平成6年に、それぞれ法改正によって書式が変更されています。
なので、おおよそ昭和32年以前(実際には、書式変更の実施年度は役所役場ごとに違う)に生まれた人ですと二度の改訂がされています。よって、戸籍を出たり入ったりしていなくても、改訂前の古い書類が二種類と現行の一種類の合計三種類の書式が存在するわけです。
同じ理由で、おおよそ昭和32年から平成6年あたりまで(同じく、書式変更を実施した年度は役所役場ごとに違う)の間に生まれた人なら、二種類あることになりますね。
古い手書きの縦書き戸籍を「改製原戸籍」略して「原戸籍(はらこせき)」と呼び、現行である電算書式の横書き戸籍と区別します。
上のほうで触れました本籍地の移動のこともあって、出生から死亡まで連続した戸籍謄本を求めると、たいてい束で出てくるわけです。
※ 除籍
除籍とは、かつて存在した戸籍の謂わば“遺跡”みたいなものです。
一人でも残っている限り、その戸籍は存在し続けます。
が、最後の一人が結婚したり亡くなったりすると、つまり“空き家”になると戸籍そのものが削除されます。
そんな削除された戸籍の記録が「除籍」です。
※ 要するに
ともかくです。
戸籍であれ除籍であれ、キーワードの「出生から死亡までの連続した」を「相続に必要」という理由と共に確実に伝えれば、たぶん係の人は判ってくれます。
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