後飾りについて


 
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 後飾り祭壇とは、遺骨が帰宅してから四十九日間を過ごすための祭壇です。
 関西では中陰壇と呼ぶそうです。
 
 そのお宅に佛壇があれば、その手前や脇に設置するそうです。
 その場合、壇は、こぢんまりとなるようです。
 
 我が家の場合、佛壇がありませんでしたし、とにかく何もかもが初めてでした。
 そんな中、後飾りの祭壇を葬儀屋さんに設置して頂いたのは助かりました。
 
 ですが。
 
 とにかく。
 狭い部屋が、さらに狭くなりました(汗)。
 
 四十九日が終わってみれば。
 この祭壇、自分でも作れたな。
 という思いが出てきました。
 
 それを以下にて。
 
 
 


 
 
 葬儀屋さんが我が家に設置してくれた中陰壇を、記憶に沿って再現してみます。
 
 
 




 



 


 
 




 






 









香 香
台 合
 

 


 
 
 だいたい、こんな感じだったかな。
 奥が祭壇、手前が経机です。
 
 祭壇は三段になっていて、その手前にくっつけて白木の経机が置かれます。
 祭壇の材質は段ボール。四十九日が終わると解体して箱にして(と言うか、葬儀屋さんが持ってきたときが箱の状態で、そこから組み立ててた)、そこに遺品も含めて処分するものを入れて連絡すると、葬儀屋さんが引き取って供養してくれる。
 までがセットになっています。料金がかかるだけあって便利です。
 たぶん、もっとお高いセットだと、祭壇の材質も違ってくるんでしょうね。
 
 また、祭壇一式が貸し出し形式の葬儀屋さんもあるでしょうから、確認は必要ですね。
 たぶん、先方から言ってくれると思いますが。
 
 
 


 
 
 祭壇にある物について、一つひとつ触れていきます。
 
 
 
※ 遺影
 
 葬儀の遺影そのものです。
 黒いリボンがかかっていて、四十九日が明けたらリボンは外すそうです。
 自宅に戻ると、ガチでデカいです。少なくとも地味な家族葬での遺影は、業界でサイズを考えなおすべきだと実感しました。
 
 
※ 白木位牌
 
 仮位牌とも呼ばれ、戒名や法名が書かれています。
 四十九日の間を故人の魂が宿るもので、これも遺影と同じく葬儀で祀られていました。
 四十九日明けに魂を本位牌に移す(浄土真宗を除く)ことで、御役御免となる物です。
 魂を抜けば単なる物体に戻るので、極端な話、自治体の決まりに従ってゴミとして処分してもいいのですが、我が家では葬儀と四十九日法要をお願いしたお坊さんが(追加料金無しで)引き取って供養してくださいました。「私が字を書きましたから、当然のことです」とおっしゃってましたね。
 
 
※ 骨壺
 
 何も言うことは、ないですよね。
 火葬からの帰りにこれを包んでいた布と、納骨に使う骨袋が一緒に置かれていますので、四十九日明けのタイミングで、うっかり処分してしまわないように、納骨式のときまで無くさないように。
 
 
※ 佛飯と水
 
 ともに白い器で供えます。
 ただし、浄土真宗では、御飯も水も不要です。
 
 
※ 火立
 
 蝋燭を立てて点すもの。つまり燭台です。
 
 
※ マッチ消し
 
 読んで字のごとく。
 蝋燭を点すのに使ったマッチの燃え殻を入れる小さな消し壺です。
 
 
※ 香立
 
 これも判りやすい。線香を立てるためのもの(浄土真宗では線香を寝かす)。
 線香はマッチで点けるのではなく、蝋燭の火で点けます。
 
 
※ 焼香台
 
 少なくとも、我が家が設置していただいた祭壇では、線香用と同じ型の香立を焼香台として使っていました。
 
 
※ 香合
 
 抹香入れのことです。
 
 
※ りん
 
 語る必要はないでよすね。
 もちろん、りん棒と、りん用の座布団や台も一緒です。
 
 
※ 白い花
 
 遺影を囲むように大量の白い花が飾られました。お高かったと思います(汗)。
 祭壇のルールとしては、無くても問題ありません。
 
 
※ 花立
 
 白い花は実は、これに生けたものだけが決まり事です。
 三、五、七と、とにかく奇数本の白い花を四十九日の間、欠かしてはならないそうです。
 一般的には白菊ですが、白であれば花の品種は問われません。ただし、棘のある種類だけはNGです。
 遺影を囲む花々は萎れたら取り除いていけばいいのですが。
 花立に生けたものは、萎れる前に新しい花にどんどん替えていく。そして奇数本を維持する。
 冬は長持ちしますが、夏だと大変だと思います。
 葬儀屋さんに、お高めのオプションを依頼すると四十九日の間、定期的に新しい花を届けてもらえるようです。
 自分で求める場合は、花屋さんに「後飾り用の白い花」と言えば、伝わります。
 なお、切り花を長持ちさせる薬もあるそうなので、花屋さんに相談しましょう。
 
 
※ 消耗品
 
 蝋燭、線香、焼香用の炭、マッチ。
 
 
 
 経机に置かれた佛具は、りんを除きすべてが白磁器でした。
 骨壺も白磁ですし、それを包む布も白。
 そして経机と仮位牌は白木ですから、白に意味があるのでしょうね。
 
「白は穢れを浄化するから」という説がありますが、大嘘です。そもそも佛教は死を穢れと捉えません。
 個人的には、後飾りにおける「白」は「使い捨て」を意味するのだろうと思っています。
 実際、後飾り祭壇の佛具は、四十九日明けに処分するのが慣習のようです。葬儀屋さんに訊いたところ、残しておく人は稀なのだとか。むしろ、「葬儀を引きずるから早く捨てたい」という声が多いとも。
 で、あらためて佛壇用の黒色や金色の佛具を買い求める。という流れのようで。
 
 我が家の場合も、大きすぎる遺影ともども、白いのはすべて葬儀屋さんに引き取って供養してもらいました。
 りん一式だけは白くないし綺麗なので、そのまま残してあります。
 
 聞くところによると、これら仮祭壇用の白い佛具は、普通の磁器として自治体の決まりに従って捨てても、不敬とはならないそうです。
 
 
 


 
 
 自分で設置できるかな。
 
 
 できると思います。
 最低限のものに限れば、大がかりになりません。
 それであっても故人に失礼ともならないでしょう。
 
 






 
 実は、これだけで済みます。
 これだけを置いた台なり机なりを佛壇の手前脇に据えれば、いいでしょう。
 台や机は専用の物でなくても、柄物でさえなければ普通の折り畳みでもかまわないでしょう。気になるなら、それに白い布をかければ祭壇っぽくなります。
 燭台、香炉、りん、焼香台は佛壇のものを使えばいいと思います。
 花立も佛壇のものを使ってもいいかもしれません。供える花を普段の色とりどりから、奇数本の白に変更するだけで。
 佛壇が無いなら無いで、ミニ・サイズの佛具だけ求めてもいい。佛具屋さんだけでなく、ホームセンターや百均にもあります。
 個人的には巨大な遺影そのものに疑問を抱いていますので、仮祭壇にまで大きな遺影は不要と考えます。遺影を飾るにしても、普通サイズの写真立てで、いいではありませんか、黒リボンさえ付ければ。
 
 また、浄土真宗だと、こうなるそうです。
 
 






 
 花や線香などは佛壇に供えるそうです。
 これだと佛具が増えなくて助かりますね。
 
 なお、宗派に関わらず、後飾り祭壇があっても佛壇は閉じません。
 この点が神棚とは違います。
 
 
 


 
 
 もちろんのこと。
 葬儀屋さんが設置してくれた祭壇に(価格も含めて)何の不満もなければ、このページの内容はスルーしてください。
 素人よりプロの仕事のほうが良質なのは、まちがいないのですから。