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『ワルプルギスの廻天』っちゅーくらいですから、本編と同じく、あの魔女が物語の軸になるんでしょう。
であれば、ワルプルギスの夜について妄想するのが一番。
「ワルプルギスの夜」は謂わば俗称で、一般名は「舞台装置の魔女」、真名は不明。
TVの企画段階での初期設定では、過去に敗れた魔法少女たちの集合体とされており、ハノカゲさんによる本編コミカライズ最終決戦は、ほむほむを翻弄する敵としてのマミ影、さかや影、杏子影という形で、この初期設定に準拠しています。
「舞台装置」という言いかたからしても、魔法少女たち皆が、それどころか『まど☆マギ』の物語そのものが、ワルプルギスの夜の手のひらの上なんじゃないか、という不安は出てきますよね。だったら、ほむほむが例えガンダム……いや、ガンバスターに乗ったところで勝てるはずがない。
しかしながら、本編で唯一、ワルプルギスの夜を倒した魔法少女がいます。そう、まどかですね。その代償として、まどかは最悪最凶の魔女と化してしまいますが……。
なぜ、まどかがワルプルギスを倒せたかは、QBが親切にも説明してくれました。まどかが無数の世界線の要だったから。ほむほむがしつこく繰り返した結果、まどかにすべての力が集まったから。「鹿目まどか」というフルネームの伏線回収回でしたね、あれは。
その集まった桁違いの力をまどか本人が利用して魔女問題を強引に解決したのが「円環の理」というワケ。
そして、『叛逆』は、円環の理を資源として利用しようとするQBと、まどかを守ろうとするほむほむとの闘いでもあったと言え、最終的には、まどかのパーソナル部分のみを理から切り離すという、これまた強引な解決策。
ここ、気づいてますよね?
なんで、ほむほむが神様からパーツをもぎ取るなんて芸当ができたのか? そして世界を作り替えるほどの悪魔になれたのか?
本編における「数えるのを諦めるほどに」繰り返した結果のエネルギーの膨大なる集束。その中心に、まどかがいた。
ん?
もう一人いましたよね? その集束点に。
ほむほむですよ、ほむほむ。
ほむほむもまた集束点にいて、謂わばもう一人の「かなめ」なんです。
だからこそ、『叛逆』での離れ業コンボができたに違いありません。
この意味でも、まど神様&悪魔ほむほむ、という対比は見事に成立している。
さて、少し戻ります。
ワルプルギスの夜は物語の舞台装置であり、魔法少女たちは、その舞台で踊らされている。
一方で円環の理は、舞台での踊りに疲れ果てた魔法少女たちすべてを回収する謂わば、お疲れ様の打ち上げ会場。もっと言うと、死後の世界であり浄土なんですけどね(この考えからすれば魔女化は地獄堕ちということで、まど神様は地獄を消したわけだね)。
似てると言うか、こちらも対比になってません?
自説を申しますと、円環の理とワルプルギスの夜は謂わば光と闇の双極なのだと思います。同じ物、と言うか同じシステムが救済に働くのか、最悪の結末に導くのか、という。
まど神様が出現した時点で、世界から魔女は消え去り(と言うより、そもそも魔女の存在しない世界になった)、よってワルプルギスの夜も存在しない。なので、円環の理とワルプルギスの夜は同時に存在しない。そもそも同一のものだから。
その消えたはずのワルプルギスの夜が登場すると思われる『廻天』。
同時に存在できないとすれば、『廻天』には円環の理が存在しないことになり、それはえらいことです。
ただ、少なくとも『叛逆』の終盤では、円環の理は存在していましたね。帰国子女転校生まどかが記憶を取り戻しかけ、ほむほむが必死で抱きしめたシーン。あれは、まどかの円環の理へのアクセスが復旧しかけた状況だと解釈しています。ギリギリで繋がらなかったけど。
なので、円環の理は、いちおう健在。「いちおう」と言ったのは、その中心たる、まど神様が不在だからですよ。システムだけが自動運行してる状態。これを本当に円環の理と呼んでいいのかどうか。
そろそろ妖之佑の言いたいことは、お判りいただけると思います。
ワルプルギスの夜とは、コントロールを失い暴走した円環の理の成れの果てなのではないか。
ということ。
であれば、消えていった魔法少女の集合体という初期設定にも合致しますし、どうやっても勝てないのも当然です。元々が神様のものですから。
ただ、もう一つの説も捨てきれないのです。
まどかだけでなく、ほむほむも「かなめ」だと申しました。
もしそうならば、まどかに円環の理が作れたように、ほむほむにも同様のものが作れるのではないか、と。
つまり、まど神様が作った円環の理に対して、悪魔ほむほむが作ったのがワルプルギスの夜である。
という説も成り立ちそうなんですよね。
TV放送時。
ワルプルギスの夜は、ほむほむの魔女化した姿なのでは? という説が巷にありました。
これはこれで、なかなか納得できる説ではあったのです。
少し確認しましょう。
ほむほむが魔女化した真名は「Homulilly」で、これは確定情報だそうな。
で、このホムリリィ、今のところ三ついるんですよね。
一つは、ゲームに登場した「此岸の魔女」。聞くところによりますと1カットの姿だけで、その全容は一切不明だそうで。ただ、こいつが出てくると世界は終わるらしい……。
一つは、『叛逆』にて大暴れした「くるみ割りの魔女」。
一つは、『マギアレコード』の「ドッペル」。
これら三体、すべてホムリリィなんですよね。
ドッペルはドッペルであって魔女そのものではない。
くるみ割りの魔女は、そもそも『叛逆』が、QBによって“眠れる美女”となったほむほむの内部で展開された物語。よって、本当の意味での魔女とは呼びがたい(くるみ割りの頭部に彼岸花が咲いていたことも、此岸の魔女とは別物だという暗示と解釈できる)。
つまるところ、詳細が一切明かされていない此岸の魔女こそが真のホムリリィなのだと思われます。つか、ほむほむが本物の魔女になってしまったら、もう時間を巻き戻せなくなって、完全バッドエンド、おしまいですからね。
ドッペルも、くるみ割りの魔女も、ワルプルギスの夜とは繋がりそうにない。
可能性があるのは、此岸の魔女の完全体がワルプルギスの夜なんじゃね? というところかな。
いずれにせよ、「ほむほむ魔女=ワルプルギスの夜」というのは、ワルプルギスの夜の真名が明かされていないことからも、ありえる説ですね。
ただ、↑で申しましたとおり。
円環の理とワルプルギスの夜とを対比させるなら、此岸の魔女の対比は、まど神様しかいないでしょう。
此岸の魔女とワルプルギスの夜、ともに世界を終わらせる魔女ですが、その内容は違う。
此岸の魔女は、物語の中で唯一やりなおしできるキャラ・ほむほむが魔女化するから、もはや手詰まり。ここは、過去現在未来すべての魔法少女を救済する円環の理との、まさに対極です。
ワルプルギスの夜は、まだ本気出してないだけで、本気になった瞬間に終わる。つまり最終兵器。
普段のワルプルギスの夜は逆立ちの体勢であり予選モードで軽く流してるようなもの。で、正位置になると本気モードらしい。
ここは新作のタイトルに繋がりそうではあるのですが……でも、それだと「廻天」じゃなく「廻転」ですよね。
『廻天』とは「天を廻る」のか「天が廻る」のか。
うーん。やっぱり“浄土”が暴走するってイメージあるよなぁ。
ちなみに辞書で「廻天」と言うか「回天」を見ると、
「世の情勢をすっかりと変えること。」
「勢いがなくなったものが勢いを取り戻すこと。」
とあります。
一つめのほうは、それこそ、まど神様が本編で、ほむほむが『叛逆』で、それぞれやらかしたことですよね。
二つめは、まど神様に消されたワルプルギスの夜が逆襲してきそうです。
となれば二つめの意味なのかなぁ。
そんな感じであれこれ考えてたのですが。
特報第1.1弾を見るとね。
ほむほむ×ほむほむ
に見えてしまいます。
これは、ひょっとするとあれか?
『叛逆』で自らをヒールにしてまで、まどかをQBの陰謀から守った悪魔ほむほむの前に。
まさかまさかの、此岸の魔女が現れた? つまり並行世界の別ほむほむ。
そして、此岸の魔女こそが、やはりワルプルギスの夜? まど神様が円環の理であるように?
だってさ。
ワルプルギスの夜のことを「回り続ける愚者の象徴」って……これ、本編からこっち思い込みが強すぎて自らドツボりまくってるほむほむにしか思えんやん(コミック『魔獣編』でも自分で勝手に地雷踏んでるんだよな、ほむほむ)。
つまり『まど☆マギ』の物語は、すべて、ほむほむが元凶?
とかね。
いや、あと一年以上待てって、酷すぎだわ。