その33・劇場版『00』を予想してみる(笑)。


 
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 あえて釣られてみましょう。
 制作の意図に、あえて踊らされてみましょう。
 
『機動戦士ガンダム00』本編各所(とりわけ、セカンドシーズン最終回)に敷かれた伏線らしきシーンから、2010年の劇場版を予想してやろうじゃありませんか。
 ええ、ええ、もちろんミスリードされてますとも。絶対、予想は外れますとも。あれだけ見え見えの伏線ですからね。そのままストレートに生かされるわけありません。騙す気満々なのが見え見えですよ。
 
 それでも、あえて釣られてみましょうとも。
 
 
 
 The Childhood of Humankind Ends
 
 木星圏をバックにした、この文。
 あからさまに、アーサー・C・クラーク氏の『Childhood's End』(幼年期の終わり)を示唆していますね。
 
 ネタバレにならない範囲で言いますと、この『幼年期の終わり』という作品は、地球人類が地球外知性体に導かれて新たな段階に進化、地球から巣立つ物語です。
 
 そう。
 キモは「地球外の知性体によって」の部分です。
 
 ガンダムの強さの根幹であり、イオリア計画の要でもある「GNドライヴ」という名の永久機関太陽炉。
 物語世界より二百年も前に、イオリア・シュヘンベルグがイオリア計画とともにその設計理論を提唱、イオリアの遺志を継ぐソレスタルビーイング(以下「CB」)が木星圏で完成させた。
 ように言われてきましたが。
 
 本当に、そうかな。
 
 本編ラスボスであり、イオリア計画のすべてを記録・管理している超巨大コンピュータ「ヴェーダ」をも掌握したリボンズ・アルマークが、真のGNドライブだけはCBから強盗するしか、できなかったんですよ。自分で作れるのは人体に有害な疑似GNドライヴだけなんですよ。
 CBが開発・製造したのなら、リボンズにも容易に手に入れられるはずです。
 
 にもかかわらず、リボンズはGNドライヴを作ることができなかった。
 存在するGNドライヴは五機のみ。決して増えない。
 
 つまりね。
 真のGNドライヴにはブラック・ボックスがあるんですよ。構造解析しても解明できない部分が、あるんですよ。
 だから作れない。コピーしても疑似GNドライヴにしかならない。
 
 しかも、GNドライヴが放出するGN粒子は、隔たった人と人の心をつないだり、瀕死の者を蘇生させたり、人をイノベイターに覚醒させたり……。
 とにかく、人類の科学を明らかに超越した効力を持っている。
 
 と言うことは。
 GNドライヴを作ったのは、人類ではない?
 
 おそらく、そうでしょう。
 ラストの背景が木星だったことからも、それは容易に想像できます。
 
 なぜなら。
『幼年期の終わり』同様に、アーサー・C・クラーク氏が手がけた名作に、『2001年宇宙の旅』および『2010年宇宙の旅』、さらにはその続編があります。
 映画でご存じのかたのほうが多いでしょう。
 この作品群の主な舞台が木星なのです!
 
 地球人の進化を導こうとするらしき謎の知性体(「神」と呼んでもいい)が、太陽系における活動拠点(?)としているのが木星圏なのです。
 ここには、謎のモノリス(地球と月面で発見された漆黒の石版で、その不可思議な性質を探査するために木星に向けて飛び立ったのが、物語の軸となる宇宙船「ディスカバリー号」)が無数に展開していました。おそらくは、謎の知性体が端末として使っている物なのでしょう。
(ちなみに、このモノリスという謎の石版、後々の色々なSF系作品でモチーフに使われています)
 
 GNドライヴが木星圏で作られた。
 そして、エンディングには木星の背景。
 
 この二点が『2001年宇宙の旅』を意識していないはずがありません。
 
 しかも!
 劇場版は2010年に公開予定ですっ!!
『2001年宇宙の旅』の続編『2010年宇宙の旅』に被らせてなくてどうしますか。
 
 GNドライヴは、おそらく『00』なりのモノリスでしょう。
 木星圏には、さらにGNドライヴがあるのでしょう。
 
 すると。
 CBという組織を興したイオリア・シュヘンベルグは、実は天才でも何でもなく、ただのコンタクティーだったと考えられます。
 つまり、イオリア計画はイオリア自身が考えたものではなく、それこそ彼の頭の中に電波(毒電波でも可♪)が飛び込んできて、それの命ずるままに書き記した計画書が、そうだった。
 くらいのことなのでしょう。
 イオリアの脳にデータを送ったのは、もちろん木星にいる“誰かさん”です。
 そうでなければ、イオリア計画のあの人知を越えて世紀を跨いだ長期的緻密さが説明できません。二百年後の人類の行動を正確に予想して巨大な計画を立てるなんざ、人の所業とは思えませんぜ。
 ついでに指摘すれば、ヴェーダの存在も怪しさの根拠ですね。あんな凄いコンピュータ設備一式が二百年前に人類の技術力で作られたとは、とうてい考えられません。
 
 イオリア計画の遂行はCBによって行われていますが。
 実は、人ならぬ“誰かさん”によって立案・管理されている。実は、人ならぬ“誰かさん”が手綱を引いている。
 おそらく、これが真相でしょう。
 
 その“誰かさん”によって、人類の新たな進化が始まりました。
 そう。イノベイターとして覚醒した刹那です。
 
 The Childhood of Humankind Ends
 
 人類の幼年期は終わり、新たな段階が始まる。
 
 劇場版では、いよいよ“誰かさん”が直接行動を起こすのでしょうか。
 木星からやってくるのか、CBが木星に赴くのかは判りませんが。
 木星の周囲に漂う無数のGNドライヴを、今から楽しみにしておきましょう。
 
 
 
 いや。
 ガンダムに乗って宇宙人と闘う話にだけは、さすがにならないと思うぞ。

 
 
庭に出る

 
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