その30・写真使用はサジ加減


 
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 とあるさくら色なおかたのところで、サイトに使う写真に関しての著作権がらみの話題を拝見し。
 触発されたということになるのかな? 日頃から妖之佑が考えていることを述べてみようかと思い立ちました。
 ある意味、当サイトの方針というかスタンスというか考えかたと申しますか。
 
 すべての創作物に著作権が存在するので、それを撮影した写真を著作者と無関係なサイトにアップすることは、すべて違法になる可能性を内包しているということになります。当然、当サイトも抵触するリスクを抱えています。
 つまり、その手の写真をアップしているサイト、ブログすべてがヤバい? 厳密には、そのとおり。
 
 聞くところによりますと U.S.A. の映像会社、特にウォルト・ディズニーは厳しいそうです(子供の落書きにクレームをつけた伝説は超有名)。そう言えば、ジャケ写が並ぶ映画ソフトのカタログで、ディズニー作品の欄にだけは必ずコピーライト表記がありましたっけ。
 日本でも、『ポケモン』関係はかなり厳しいと聞きます。これの流れでか、任天堂と小学館は他の作品にも厳しくなる傾向にあるとかないとか。
 
 ただね。
 こういったキャラクターやキャラクター・グッズの写真についても、盗作の意志のない、純粋な紹介や感想なら、(厳しい所は別として)そうそう叩かれないと思うのですよ。きちんとした紹介文なら宣伝効果も期待できますしね。
 問題は、その写真が鑑賞に耐えるかどうかではないでしょうか。
 つまり、その写真を見た段階で、もうその作品・商品を満喫したと感じさせたらアウト。ということになるのではないかと。
 例えば、絵画やイラストをサムネール画像で掲載する程度なら、到底鑑賞には耐えないので、見逃してもらえるかな?
 CDなどのジャケ写も、サムネールの解像度なら許される? 内容の感想とともにジャケ写も載っていれば、レビューによって欲しくなった人が店で探すのに助かりますから。
 
 逆に。
 例え画質が粗くとも、キャプチャー画像満載でストーリを詳細に記述した映画やアニメのレビューなどは、かなり危険だと思います。
 番組を観逃したときには助かるんですけどね。でも、この「助かる」ということこそ「これで番組を観なくて済む」結果にもつながります。だから、著作者・制作者の権利を侵しかねません。
 
 もう一つ。
 著作権法に触れない「引用」という定義もあります。
 具体的には、論文や論評などの本によく見られる手法ですね。他の本から一部の文章を引用して、それを参考にする、比較する、もしくは批判する。
 これは著作権法でも認められているので、まっとうな内容の論文なら問題ないはずです。無論、全文引用は、やりすぎだと思いますが(判例では、一ヶ所につき20行程度を上限と解釈してたかな?)。
 文章のことに話がズレましたが、これは画像でも同様。例えば、盗作検証サイトを起こすとします。ここで、原典と盗作疑惑作品それぞれの画像を比較して類似点を指摘する、あるいは相違点を指摘する。これはOKでしょう。掲載した原典が鑑賞に耐えないように配慮する必要はあるでしょうが(全体画像はサムネールにして、指摘する箇所のみを拡大するとか)。
 
 商品レビューは、この引用に近いんじゃないかと、個人的には思っています。
 写真がなくても伝えられなくはないけど、写真があれば、その品の魅力を一層伝えやすい。だから参考程度には写真を使いたい。
 あるいは、誉めるだけでなく、「ここは改善してもらわないと」と感じた部分を提示するにも写真は必要だと思います。
 それに品物の場合、例えばトミカを紹介するのに現物の写真を掲載したとしても、閲覧なさった人がそれでトミカを楽しめたことにはならない。手に取れませんからね。ですからセーフだと思うのですよ。
 
 トミカの話ついでに。
 この手のスケール物のグッズには、これまた元になった実物に意匠権が当然あるわけです。デザインの権利ですね。
 ですから、実物の製造者に許可を取らないスケール模型は、厳密にはすべてアウトの可能性があるわけです。
 
 トミカの例ですとね。一時期、日産車がトミカから消えたことがありました(既発売を除く)。
 発売日程に載っていたにも関わらず、すべて発売中止になったのですよ。カタログ付きトミカという商品の二種はそのまま没。トミカリミテッドの三種は、後に商品番号を変えて発売されました。
 そのときから今年の秋頃までは、トミカ公式サイト上の日産車トミカすべての欄に「日産の承諾を得た」旨が記されていました。
 事情を知るわけではありませんが、日産からトミー(今のタカラトミー)へ意匠権についてのクレームが来たと考えて、まずまちがいないでしょうね。
 
 トイガン(モデルガンやガスガン、エアソフトガンなど)にも似たようなことがありました。実銃のメーカーがトイガン・メーカーに権利を主張した例が。
 そもそもトイガンとは1/1スケールの模型ですから、実銃そっくりの外見に作るのはあたりまえで。当然、デザインだけでなく、メーカー・ロゴなどの刻印やメダリオンもコピーします。許可は取っていないものの、業界としては、実銃の宣伝にもなるからいいのではないかという解釈だったようです。
 ただし、銀行系に支配されたS&W社だけは怖いイメージが古くからあったのか、国際産業(今のコクサイ)のトイガンだけは、「S&W」の花文字を「T&M」にしてきています(「T&M」が何の略かは知りません)。
 で、S&Wを含め長らく問題なかったようなのですが、十年近く前だったかな、ドイツのワルサーというメーカーが、自社のロゴの無断使用を禁じました。
 ワルサー社のロゴは波打つリボンの中に「WALTHER」の文字が入るもので、当然、各トイガンはこのロゴをそのまま使っていました。そこにクレームが来たわけです。
 これを受け、国内では最も多くワルサー銃のトイガンを製造販売していたマルシン工業はロゴを「MARUSHIN」に替えましたよ(この品を持ってるんですよね、私。雰囲気ぶち壊しったら…… orz)。いち早くマルゼンがワルサーの許可を取り、堂々と「WALTHER」ロゴをP99に使用したのは、よく憶えています(マルシンも今では許可を取ったらしく、ちゃんと「WALTHER」になっているようです)。
 
 ゴジラ映画のエピソードで。
『ゴジラvsビオランテ』で新宿新都庁をぶっ壊す予定だったのが、建築中の建造物には著作権だか意匠権だかがあって勝手に映画に使えない。で、新都庁を舞台にする案は没となり、都庁破壊は次作の『ゴジラvsキングギドラ』まで延びた、という話をどこかで目にした記憶があります。
 完成した建築物にはその手の権利はないのだそうな(落成した時点で、風景の一つという考えなんでしょうか)。
 
 だいぶ脱線しました(汗)。
 
 要するに、個人的には。
「素人がやっているサイトやブログでの商売抜きのレビューや感想にまで、そーそー目くじら立てんでも」なんですよ。
 それに、著作権違反は親告罪ですから、権利者が訴えない限り、そこに罪(容疑?)は存在しない。これが、レビュー・サイトやレビュー・ブログが存在できている根拠にもなってますね。
 
 だからと言って、なんでもやっていいわけじゃない。
 何事も、やりすぎれば殴られます。
 とある文庫本の内容が、熱烈なファンのサイトに全文掲載されたという話がありました。当人は著者を応援する“布教活動”のつもりだったのでしょうが、これはどう考えても著者の権利を侵害してる(全文をそのサイトでタダで読めるわけですからね)。出版社からの警告にびっくりしたのか、サイトを消してトンヅラしたらしいですけどね。
 さじ加減は必要でしょう。ですから、自分なりにその感覚が掴めないうちは、写真掲載はしないほうが無難かな。
 
 妖之佑は、とりあえず被写体の帰属を明記することにしています。
 
 
i
 © 2006 TOMY
 
 トミカ 117 三菱 i。
 例の欠陥隠し連発騒動で半死状態になった三菱自動車が、起死回生をかけて発表したコンパクト・カー。
「もう三菱の車には近寄りたくない」と思った妖之佑にして、かなり興味を惹かれたデザイン。
 写真に写してはいないが、最近のトミカには珍しく、後部ハッチが開く!

 
 ↑な感じで。
 本体にもパッケージにも「©」が記されていないときは、メーカーや作者の名前を表記するだけになりますが。
 それと、なるべく被写体の本家、つまりメーカーや発行元へのリンクを張ることにしています。品物の著作権者をより明確にするためと、興味を持った人が正しい商品情報を得られるようにと思うからです。
 ただし、本家のサイトがない場合、代わりに大手販売業者(例えばAmazon)へのリンクを張ることはしません。以前は張っていました(無論、アフェリエイトの類は無しで、です)が、一つの通販サイトに張るというのが他店に対して不公平な気がするので、やめたのです。
 
 なお、ご存じのかたには釈迦に説法ですが、「©」の表記は日本では不要です。日本では著作物ができたときから、その著作権も存在します。
 ただ、インターネットに国境はありませんし、こうして表記することで盗用の意志がないことを権利者に示せもします。もしもメーカーの人が見たときも、こうしておけば、いきなりお怒りになることにはならないと思いますからね。
 
 そうでなくとも、いきなり訴えられる例はまれだと思います。
 まずは警告が来て。それで写真などの削除に応じればよし。さもなくば……の流れだと思います。
 
 結論としては。
 明らかに鑑賞させることを目的とするなど、度を過ぎた行為は論外として。
 
 
 怒られたら、やめればいい。
 
 
 ということではないかと。
 
 以上。
 サイトに使用する写真等々について、妖之佑の考えかたでございました。
 
 
 
 
「宿坊」ご常連のかたがたには無用の記述ですが、一見さんに向けて念のため。
 妖之佑が言ってたから、ってのを言い訳にしちゃダメですよ。ここに書いたのは、あくまでも妖之佑個人の意見ですから。サイトの管理は管理人の自己責任ですからね。

 
 
庭に出る

 
壁紙 by 「森と湖亭」