その23・リンクと転載と引用と


 
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 ちょっと気になること。
 
 
 
 まずは「探偵ファイル」さんのページをご覧あれ。
 
 
 
 要は、産経新聞さんという大手企業のサイトが、「自分チの記事ページに勝手にリンクするな!」と各ニュース・サイトさんたちに噛み付いた、ってコト。
 たいがいの大手企業サイトは、宣言をしているね。「トップ・ページ以外へのリンクには、あらかじめ当社の許諾を得なさい」ってヤツ。
 
 妖之佑は、この手の要求には何ら法的根拠はないと思ってきた。
 だが、まあ、あえて野良モンスターの尻尾を踏むこともないとも思うから、あんまりたくさんはやらないようにしていた。数を控えめにしてた。ウチはニュース・サイトでもないし。
 
 
 にしても、だ。
 
 
 だいたい、インターネットってのが、自由なリンクのおかげでここまで発展したっていう重要な事実を、完全に無視していると思うのだよ。リンク制限を宣言している企業たちは。
 新聞・出版社のサイトだけでなく、Webニュースで成立している企業サイトですら、そんな主張してるのには苦笑させられる。一例を挙げれば某Z*N*tさんとか(そのわりに雑誌『ネット*ンナー』の記事の中には、けっこうきわどいのもあるのにねぇ……)。
 
 
 他のところはともかく、産経新聞さんの主張は「無許可なリンクは著作権法違反に当たる」というもの。
 
 それって変じゃないかなぁ。
 別にコピー&ペーストしているわけでもないのに、不思議なことをおっしゃるものだ。
 リンクは、あくまでもそのページに飛ばすワケで。リンク先、つまりユーザーが閲覧するのは、その記事のあるサイトさんそのものなのだから、盗用・転載・複写などにはあたらないはず。ちゃんとページ・タイトルも表示されてるでしょ、ブラウザのステータス・バーに。
 
 
 
 ところで、もっと疑問なのは。
 産経新聞さんは
http://www.sankei.co.jp/pr/copy/001006tyosaku_01.html
(リンクしないのは、産経に対してのいちおーの保身です)
にて、無許可で「ホームページや携帯電話サイトなどにテキストや写真、図面を、転載したり、クリッピングなどに引用すること」(この程度の引用なら違法とは言えまい)が著作権法違反となる、と述べておられる。
 
 お判りだろうか。
「無断リンクが著作権法に触れる」とは書かれていないのだ。
 一番近いかもと思えるのは“クリッピング”だが、これとて単純なハイパー・リンクと同義とは言えないと思うし。
「など」を抜け道にしているのかもしれないが、“リンク”と“引用”とはまったくの別物だからねー。
 
 けっきょく「無断リンクが著作権法に触れる」とおっしゃっているのは、産経新聞さんの名前で各ニュース・サイトさんに警告メールを送付した伊東氏なる人物(社員さんなんだろーね)のようだ。
 
 念のため、上で挙げたページにて産経新聞さんがご自身の著作権の見解の根拠であると言っておられる、日本新聞協会さんの「ネットワーク上の著作権について」という文章を読んでみたのだが、やはりここにも「無断リンクが著作権法に触れる」とは記されていない。
 
 個人的印象としては、伊東氏なる人物が自らの私的解釈のままに社名での警告を発するに至った、といった感触がぬぐえない。
 ひょっとすると、あんまり深くお考えにならずにの勇み足っぽいかもね。
 ニュース・サイト「連邦」さんの管理人さんと、この伊東氏とのやりとりを見る限りでは、お気の毒ながら、伊東氏=ヘ*レ、って印象すら受けてしまう。
 一方的になるのは皆さんが不本意だろうから、各ニュース・サイトさんとのやりとりについては、伊東氏なり産経新聞さんなりも、ご自身側の視点からの経過報告とかを公表する必要があるんじゃないかな。
 
 あるいは別の可能性として。
 産経新聞側あるいは伊東氏は、法的根拠皆無なのを承知の上で。
 企業名で脅しをかければ、個人サイトの管理人などは皆ビビッて逃げ出すだろうと思っての、確信犯的プロパガンダかもしれない、という見方。
 だとすれば、アテが外れたってトコかな♪
 
 
 
 もう一つ。
 産経新聞さん側は、リンクされることについて、アメリカでの判例とかを勉強したらしいけど。
 あれの争点は、記事に直接リンクされると広告が出ない、という点だそうで。
 ならば、記事そのものの著作権がどーのこーのという問題ではない。
 だから、もしも「アメリカでも裁判になったのだから日本でも無断リンクは著作権法に触れる」などとおっしゃるなら、それは論理のすり替えだと言わざるをえない。
 
 
 
 無断リンクが違法になるかどうかの法的解釈は、けっきょくは法律の専門家に委ねるしかないだろうが。
 
 少なくとも、企業サイトがリンク制限を主張するのは、インターネット後進国である日本の企業の頭の固さが顕著に現われた一例のように感じるね。特にマスコミってのは、一見すると先進的に見えるが、実は日本では官庁の次に時代に乗り遅れた保守的旧式石頭組織なのだから。
 
 
 
 ちなみに妖之佑の個人的意見としては。
 それが他所さんのページだとはっきり判る形でのリンクには、何も問題ないと思っている。
 
「問題あり」なのは、フレーム構成のサイトにて、そのフレームの中に他所さんのページを表示するやり方じゃないかな。俗に“フレーム・パクリ”とか言うそうだ、これ。
 これはあかんと思う。ブラウザのタイトル欄には、肝心のページの「title」が表示されずに、元のページ・タイトルのまんまだからねぇ。これじゃあ、リンクを張った側に属するコンテンツだと、閲覧者に誤解されちゃう。
 だから、フレーム・パクリはしちゃいけないと思う。だって、されたら嫌でしょ?(ウチはされた場合の用心のために、ささやかな対策を取ってはいるけどネ)
 
 あと、新窓を開く場合に、ポップアップ広告の形のようにJavaScriptとかを使ってそのサイトの付属窓みたくするのは感心できないし、妖之佑がこれをやられたら嫌だな。
 
 
 
 長々と書いたけど。
 
 それでも、企業サイトへのリンクは慎重にならざるをえないかな。
 法的に根拠のない主張であっても、それが企業相手の裁判に発展したら個人は弱いし。仮に勝てる裁判であっても、相当にしんどいだろうから。
 負ける可能性もゼロではなかろうし(日本の判事って、阿呆が多いからねぇ)。
 
 ズルイようだが、どっかで大きな裁判とかが起こって、大企業側敗訴の判例が出るまでは、妖之佑のような弱者で貧乏でしかも法律の素人は安心できないとも思う。
 
 あるいは、みんなで大挙(ただし「事前の打ち合わせ無し」に限る)して“赤信号”を渡ってやるか、だね。企業サイトへの嫌がらせ(♪)の意味も込めて。
 
 
 もっとも。
 ウチみたいな弱小サイトからのリンクなんて、大手はイチイチ把握してないと思うゾ。
 
 
 
 なお、この件に関してたいへん参考になるサイトさんを挙げさせていただきます。
 
 これってパクリ?さんの「無断リンク禁止/直リンク禁止」命令に関する想定問答集
 
 “presented by tatuya”さんの日記
 
 
 
 
2003.03.14.の日記を少し修正

 
 
庭に出る

 
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