その16・猫問題


 
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 猫派のかたにはあるいは不愉快な文章になるかとも思いますが、それでもお読みいただけるとありがたいです。
 
 
 
 我が家のワン子が亡くなって、もうじき49日も来ようとしています。
 
 そのせいか、最近、ウチの庭をテリトリーと主張する猫が現われました。
 飼い猫なのか野良猫なのかは知りません。
 
 が、そのトラ猫(あるいは「ドラ猫」と言うべきか)が、ウチの今や唯一のペットである鳩ぴょんを狙っているのです!
 
 ってか、白昼堂々と狙われました。
 
 左脚をやられました。表皮がむけ、中の腱が露出した状態です。
 命が助かったのですから、これでも幸運と言うべきではありましょうが。
 籠の隙間からでも手を入れやがったのでしょう。
 
 
 
 実は、襲撃はこれが最初ではありません。
 
 
 ワン子が亡くなってちょうど一週間経った夜、事件は起こりました。
 熱帯夜だったため、夜間、籠を外に出していたのは、私の完全なるミスです。
 
 夜中、激しい羽音がするので出てみると、鳩ぴょんが血を流していました。
 屋内に入れて調べますと、喉をザックリとやられています! 喉の臓器(砂嚢ですか?)や首の腱が見えるのです!!
 それでも辛うじて紙一重で、喉笛をやられずに助かったのでした。
 
 翌日、獣医さんで縫合していただき、化膿止めのお薬もいただきました。
 
 
 喉の傷はそれですんだのですが、心の傷はたいへんです。
 それからしばらく、食事を摂りません。
 やむをえず、フォアグラ用のガチョウの扱いをしました。強制的に口に餌を押し込むのです。
 
 二週間ほどで自主的に食べてくれるようになりましたが、次なる問題が。
 
 自虐行為です。
 
 自分の羽毛を自分で毟り取ってしまうのです。
 これは未だに続いていて、現在、ハゲワシ状態なのです。
 
 
 それでも、喉の傷がまったく見えなくなり、ひと安心した時の今回の襲撃。
 鳩ぴょんは、今、ずっと震えています。
 可哀相ですが、外の空気に触れさせてやれません。
 
 昨日の母上の報告ですと、そのドラは、室内の鳩ぴょんを狙って網戸に張り付いていやがったそうです。
 
 
 
 
 前置きが長くなりました。
 
 そう。
 ここまでは、前置きです。
 
 妖之佑が申し上げたいのは、ここからです。
 
 
 
 犬を飼うには、鎖か檻が必須ですよね。狂犬病の関係からも条例で決められてますから。
 あるいは、猿やその他の生き物についても、檻の中で飼うこと、放し飼いにしないことを義務付けられています。
 ですが、条例以前に、鎖か檻は犬飼いさんのマナーともされてますよね。
 飼い犬が人を噛めば大事件。外に糞を放置するのだって非難の対象。
 
 なのに、なぜ猫の放し飼いは、咎められないのでしょうか?
 
 猫だって糞をします。
 人を引っ掻きます。
 そして、人のペットを傷つけ、殺します。
 でも、猫の放し飼いが批判されたことは妖之佑の知る限りありません。
 
 無論、それらは猫の本能からくるもので、その行動そのものを批判するつもりはありません。
 ですが、飼い主の責任という点では、どうでしょうか?
 
 
 猫飼いさんだって、少し想像すればお気づきになるはずなのです。
 自分の猫が、ひょっとして、人様に迷惑をかけているのではないか、と。
 
 実際、我が家では、母上がスーパーで買ってきたロールイカをさらわれ、父上の大切な盆栽の苗の上では昼寝をされ、台無しになった過去があります。
 池の金魚・鯉を一晩で全滅させられたことだってあります。
 庭には糞があり、妖之佑のボロ愛車はマーキングの対象です。自慢のワタナベのマグネシウム・ホイールが白く染まるほどに……。
 文鳥やセキセイインコも狙われました。
 
 
 ワン子のいたこの十年は、彼女のご威光にあやかり、被害は最小限度ですんでいました。
 ですが、奴らはここにきて攻勢をかけてきました。
 
 
 もちろん、すべてが飼い猫だとは申しません。むしろ野良のほうが多いでしょう。
 
 ですが、飼い猫を外に自由に出していれば、他人に迷惑をかける危険性がある、ということを認識していただきたいのです。
 猫飼いさんにも、猫好きさんにも。
 
 鈴をつけた猫が外を歩いていれば、それは飼い主さんの認識の低さ・甘さの証明です。
 
 もしも、これまで「そんなこと考えもしなかった」という猫派のかたがおられましたら、どうか考えてください。
 お願いします。
 
 なお、十何万円もするアメショだのペルシャだのを外に出さないというのとは、本質的に別問題だということは、言うまでもありません。
 
 
 
 
 
 あるいはこれをお読みになり、
 
「それは鳥や魚を飼っている飼い主が悪い。猫が獲物を襲うのはあたりまえだ。無防備なのが罪だ。猫は放し飼いするものだ」
 
と主張なさる猫派のかたもおられるでしょう。
 そうおしゃるかたは、きっとご自身や、ご自身の大切な人が、放れた飼い犬に噛まれても、噛まれたほうが悪いと、決して犬の飼い主さんを批判なさらないのですね?
 
 でないならば、妖之佑は、そんな自分勝手な猫派とは、決して相容れないということを、ここではっきりと申し上げておきます。
 
 
 
 猫は放し飼い。
 
 
 この“常識”は、いいかげん見直すべきではないでしょうか。
 
 
 
 
 
 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 
 
 
2002.08.23.の日記より

 
 
庭に出る

 
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