その14・「ご自由にどうぞ」でのお姿


 
道草に戻る
 
 
 
 
 母上から聞いた実話。
 
 
 
 近所のスーパーで、いつも何かしらの無料サーヴィスをしている。
「ご自由にどうぞ」ってヤツ。
 全開した花の鉢植えだったり、多少痛んだバナナだったりと色々。
 これがセルフ・サーヴィスゆえに、人の本音が垣間見えるらしい。
 
 
 で、その日は、ぜんざいのふるまいだったそーな。
 母上が、そのぜんざいをいただいている横に来たどっかのオバサンが、鍋底に残っていたお餅三個(母上が来た時点で、もうそれだけしかなかったらしい)を自分のお椀に詰め込んだ。
 呆れる母上を気にするそぶりもなく、そのオバサンは、お餅をぱくつき始めた。
 そこに来た、別のオバサン。
 自分のをよそいかけて、
「あらっ、もうお餅がないわっ!」
 三個取りのオバサンは、そーっと背中を向けて、自分のお椀を体で隠したそーな♪
 
 
 他にも、野菜や果物を「ご自由にお持ち帰りください」てな時に、でっかな袋や箱を持ってきては目一杯詰め込んでしまう人が多いそうだ。
 もともとが痛みかけでお店が見限った品。そんなに沢山持って帰っても腐らせるだけで使い切れないのにねぇ。
 
 
 
 今夜のごはんにも困っているならともかく、ゆとりがあるのなら、欲の皮を突っ張るのはカッコ良くないように思う。
 後から来る人のために、遠慮しといてあげるのが、気分的にもいいと思うのだが……。
 
 みんなで幸せになろうよ、っていう妖之佑の感覚って変なのかしらん。
 
 
 
 
2002.02.22.の日記より

 
 
庭に出る

 
壁紙 by 「森と湖亭」