その13・銃器の扱い


 
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 ソルトレーク・オリンピックにおける不祥事。
 
 
 バイアスロン競技の日本人選手だかコーチだかが、宿泊しているホテルにて、銃器を不適切に取り扱ったってヤツ。
 
 NHKによると、ホテルの自室の窓から外に銃を向けたそうだ。
 それを見咎めた警備中の警察官が近づき注意しようとしたところ、今度はあろう事か、その警官に銃口を向けたとされている。
 
 報道では、「意図的に向けたのか、たまたま向いてしまったのかは不明」と、慎重な言い回しをしている。
 が、問題の本質は、そんなところにあるのではない。
 
 念のために申し上げておくと、バイアスロンとは、クロスカントリーと標的射撃を混ぜた競技である。
 つまり、競技に銃器を使用する。
 問題の銃も、競技に使用するものだったのだろう。
 
 
 が。
 
 
 そもそも、撃って良い所以外では、銃を構えるべきではないのだ。
 まして、射殺や脅しの意思もなく(あったら、それはそれで大変だが……)人に銃口を向けるなど、もっての他である。向けられる身になってみろってーの。間違って向いてしまったなどは、言い訳にもならない。
 
 
 意外に思われるかもしれないが、アメリカは銃器の取り扱いには、けっこうやかましい国なのである。
 自由の国ゆえ個人の家の中の事には口出しはしないが、例えばシューティング・レンジ(射撃場)などで、ルール違反・マナー違反をしようものなら、監視係に怒鳴りつけられる。場合によっては、お金を払っている利用客であるにもかかわらず追い出されてしまうこともあるのだ。
 
 州にもよるが、銃器に関する免許や許可がほとんど無いゆえにトリガー・ハッピー(引き金に指をかけたまま、銃を振り回して暴発させるようなおバカのこと)も多いアメリカだが、少なくともスポーツとして真剣に射撃に取り組んでいる人達は、銃器の取り扱いに関してきっちりしている。
 
 
 対して日本という国は装薬銃ばかりでなく、空気銃(玩具屋さんで扱っているエア・ソフト・ガンではない!)の所持・使用についても銃刀法による厳しい規制がある。
 一丁の所持許可を受けるまでには、七面倒くさい手続きが延々と続くのだ。しかも二丁目以降も、一から同じ手続きを必要とするぐらいに厳しい。
 おまけに何か問題を起こせば(要するに銃刀法違反を犯せば)、許可はすべて取り消し、当分の間、許可の取り直しは不可能になる。
 
 問題の日本人選手も、日本国内でのトレーニングもしてきたわけだから、この許可を受けていたわけだ。当然、取り扱いのルールやマナーを熟知していたはずである。
 にもかかわらず、ルール違反を犯してしまった。外国ゆえにハメを外したというのでは、あまりにおそまつだ。
 
 
 もっとも、銃刀法に基づく厳しく面倒な行程を経験しているはずの日本人シューターの意識レヴェルは、実は、さほど高くない。
 射撃場での事故、猟期における誤射や悪質な射撃、あるいは自宅や車等での暴発…………。
 
 頭でっかちな所持許可試験ゆえの弊害かと思われるこのギャップ。
 どこか、お受験を突破した大学生の学力の低さと似通ってはいないだろうか。
 
 
 ともかく、銃口を人に向ける(誤ってスイングした場合を含む)という意味を、ちゃんと考えてほしい。
 
 
※ 銃を手にしたら、すぐに薬室の弾薬の有無を確認する
 
※ 銃口は決して人には向けない
 
※ 撃つ時以外は、引き金に指をかけない
 
 
 この三点のどれか一つだけでも確実に守れば、事故は防げるのだ。
 なぜ、守れないのだろうか。
 
 
 
 妖之佑は、玩具のエア・ガンや、弾の出ないモデルガンですら、銃口を向けられたら本気で怒る。
 そういういい加減な気持ちが、例えば海外旅行の際に、皆を不幸にしかねないからだ。
 
 
 
 
 
 蛇足だが、上記の理由から妖之佑は、志村けん(あえて呼び捨て)が大嫌いである。
 
 
 


 
 上の記事の補足。
 
 
 
 銃器を警察官に向けた馬鹿者は、射撃には無関係のコーチだったそーな。
 
 にしても、銃の管理がなってないね。
 
 
 
 
2002.02.21.の日記より

 
 
庭に出る

 
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