その6・虫のお話


 
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 一部、梅雨明けしたそうな。いよいよ、夏到来。
 
 で、まあ、夏といえばな虫のお話。
 
 
 
 その一
 
 
 最近、というか、去年ぐらいから、ホームセンターとかで、カブトムシの成虫やら、幼虫やらを売るようになった。
 
 それだけなら、別にネタにもならない。
 
 んが。
 それがヘラクレスだとかなんとかの、異国の虫なのが、ネタなのである。
 
 検疫があるはずなのに、商売人がやると、そーも簡単に生きた虫を持ち込むことができるというのか? 正直、怒っているのだよ。妖之佑は。
 
 実際、マニアの話によると、これら外国産の虫(まあ、オスだろうねぇ)が逃げ出したり、捨てられたりして、その一部が奇跡的に生存可能な環境にたどり着いた――あるいは捨てる輩のエセ愛護精神で山に放す――場合、ガタイの有利さから、カノジョのゲット率が高いのだという。
 なにせ、カブトムシ、クワガタムシともに、お嫁さんはケンカして取り合う習慣なのだから、オスの体やツノの大きさは、決定的な差となる。
 結果、自然界では起こりえない(地理的にね)雑種が出現、在来種たるカブト、クワガタの種が脅かされつつあるのだそうな。
 
 だいたい考えてみてほしい。
 カブト、クワガタともに、日本の種の造形の素晴らしいことを。
 特に、カブトムシとミヤマクワガタの形は見事♪ 自然の芸術そのものといえる。
 
 比べて外国種の趣味の悪いこと。
 下手クソなデザイナーが造形した怪獣・怪人みたく、やたらアンバランスな大きさのツノやらアゴやらで飾っている。あれじゃ、タケヤリ・マフラーだってぇの。
 
 もっと日本の虫を愛そうよ。
 大切にしようよ。
 買う人がいなきゃ、業者は輸入しやしないのだから……。
 
 ああ、この夏、どっかに採りに行きたいな〜。
 と、歳甲斐もなく、思ったりして。(;^^A
 
 
 
 その二
 
 
 妖之佑が小学生の頃、少し離れた所にあるお寺が、虫採りの名所だった。
 なんでも寺の敷地内にある小山が実は古墳だそうで、手付かずのまま、森状態となっていたのだ。
 夏休みになると、早朝、まだ薄暗い内に自転車を駆ってそこに行ったものだ(学校側からは禁止されてたんだけどネ)。
 
 主にノコギリクワガタとカブトムシが採れた。
 噂では、オオクワガタを捕まえた子もいたらしい。
 夢中になって樹木と草ボーボーの中を進む内に、蚊にはメチャ喰われるわ、ふと見上げると枝からアオダイショウが睨んでいるわ、蛾が目の前に飛んでくるわと、けっこーな目には逢っている。かぶれる草木もあったし……。
 
 それでも、やめられなかった。楽しかったのだ。
 
 
 ところが、ちょい前なのだが、ここの寺が地元のTVで紹介されたのだ。
 観光名所としてである!
 
 どーゆーことかというと。
 
 この寺が、例の山を綺麗に伐採してしまい、境内には、梅雨時にマッチするあの花を植えまくり、勝手に「****寺」と名乗ったのである(****は花の名前ね。明記するとバレちゃうから)。
 おそらく、住職の代替わりでもあり、跡を継いだのが、どーしょーもない俗物だったのだろうと推測する。人集めのために、見た目の華やかさを追求したのだ。
 
 結果、長い年月、カブトやクワガタが繁殖できた貴重な環境は、この俗物坊主によって、完全に破壊されてしまったのだ。
 
 それ以後毎年、梅雨時の、この花の時期、寺はローカル・ニュースで紹介される。
 なーんにも知らないリポーター嬢が、呑気に「素敵ですねー」とか「綺麗ですねー」とか「心が洗われまーす」とか言うのを目にするたびに、はらわたが煮えくり返る。
 
 作り物の、しかも欲望ベースの美など、欲しくない。
 あの遊び場は、もう存在しないし、甦ることも、決してないのである。
 
 
 
 その三
 
 
 半月ほど前か、父がスズムシの幼虫を貰ってきた。ご近所のお宅で大量発生(よーするに去年の子供がかえったワケ)したので分けていただいたのだ。
 ほんのゴマつぶのよーなものがモゾモゾと蠢いていたのだが、それでも昔を思い出し、ナスと鰹節をエサにし、毎日霧吹きをかけてやっていた。
 
 いや〜、たった二週間で、でっかくなるもんだねー。
 まだ羽根はないものの、生意気にスズムシの形をしてきている。
 後ろ足も立派になり、エサ替えに手を入れると、ピョンピョン跳ねる。
 暑さの盛りの頃には、綺麗な声(本当は音)で鳴いてくれることだろう♪
 
 だが、その前に。
 
 数が多すぎる!
 
 このままだと、共喰いするよ〜、絶対。
 入れ物、増やさなきゃ…………。
 
 ところで、マツムシって、どんなの?
 見たことも、声を聞いたこともないのよねー。
 
 
 
 
2001.07.11.の日記より

 
 
庭に出る

 
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