その5・声優さんじゃダメなの?


 
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『魔女の宅急便』を観た。
 もう何度目だろうか。でも、いいものは、何度観てもいい。
 
 ただ…………。
 
 なぜ、ジブリのアニメ作品では、アテレコに素人を起用するのだろうか?
 ずっと疑問に思っている。
 
 今、「素人」といったが、要するに俳優さんやタレントさん、という意味だ。
 彼らは、たしかに業界人で、マイクロホンとかスタジオには慣れているかもしれないが、こと、アテレコという声の仕事に関しては、声優さんよりも上手なはずがない。
 にもかかわらず、なにゆえ、あえてプロをさしおいて下手な人たちを使うのか?
 
 この現象は、『となりのトトロ』以降、回を追うごとにひどくなっていく。
 
『トトロ』にて、糸井重里氏が、「おとうさん」をアテたのは、愛敬ですませられた。
 
 が、はっきりと怒りを憶えたのは、『おもひでぽろぽろ』だ。
 主役の二人を、今井美樹氏と柳葉敏郎氏が担当なさったアレ。
 ストーリーはともかく、あれは画もひどかった。しわの描きかたなど、アニメのディフォルメというものを完全に無視しているため、不自然になってしまっている。第一、なして、お二人に似せる必要があるの?
 聞くところによると、この作品では、あらかじめ今井、柳葉両氏の台詞をすべて録ってしまい、その音声に合わせて動画を作成したのだという。
 そこまで手間をかける意味が、まったく判らない。
 少なくとも、観た限りでは、それによる効果というか、成果は感じられない。むしろ、うっとーしい。
 
 これに次いでひどかったのが、『平成狸合戦ぽんぽこ』だ。
 これには、有名どころの役者&タレントさんが、ズラリと並んだ。おかげで見事、救いようのない作品に仕上がったのは、ご承知のとおり。
 断っておくが、野々村真氏が悪いと言っているのではない。出演なさったタレントさんがたは、全力をつくされたと信じている。
 
 問題は、キャスティングをするスタッフ、あるいは、スタッフに命令するお偉いさんの側にあるのではないだろうか。
 
『もののけ姫』の制作発表記者会見で、石田ゆり子氏を中心に据えた光景が思い出される。
 
 監督などのメイン・スタッフ、つまりオヤジだらけの記者会見では画にならない。
 とはいえ、出演声優さんを並べても、世間的には知られていない顔ばかりなので、これまた画になりにくい。
 
 ところが有名タレントを主役、あるいは重要キャラに起用すれば、必然的に記者会見の見栄えがよくなる。
 アニメ・ファン限定ではなく、より広い客層を狙っているジブリ作品なら、ありえる策略ではなかろうか?
 
 これには、日*テレビの意向が投影されているような気がしてならない。
 某有名球団ベッタリのこの放送局なら、ありえる話だ。なにしろ、あの新聞社ともども、常日頃、勘違いだけで行動している所なのだから……。
 
 古い話だが、『STAR WARS』の第一作目(後に「エピソード4」と命名されたヤツ)が初めてTVで放送された時のこと。
 放送したこの局は、何をとち狂ったのか、主役三人の吹き替えを、渡辺徹、大場久美子、松崎しげる三氏にさせたのである。
 結果は、笑うしかないほどの低レヴェル。
 実際に笑ってしまったのは、二回目のオン・エアの際には、すべて声優さんの声に変わっていたこと。(;^^A
 
 しかし、この局は、今でも時々、この手のミスを犯す。学習能力がないのか、はたまた確信犯なのか……。
 
 ジブリ作品の傾向にも、この病が影響しているのではないかと、ついつい勘ぐってしまいたくなるのである。
 
 餅は餅屋。
 
 非常に意味のある言葉だと思う。
 
 
 
 
2001.07.06.の日記より

 
 
庭に出る

 
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