収録本について
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まず最初に申し上げておきます。
『鬼太郎』シリーズに限らず、水木しげる作品を網羅したいなら、講談社の
『水木しげる漫画大全集』
が最強です。
価格はお高めですしサイズがデカいので財布と本棚に厳しいこと必須ですが、コンプを目指すなら、これしかないと思います。
電子版を選べば収納の問題だけは解決しますけどね。でも「所有」とは程遠いので、私自身は好きではないです。(;^_^A
ここでは、文庫本を主軸にしてコンプは無理でも、なるべく『鬼太郎』を集めたい、という方向でのお話となります。
漫画大全集は最後の手段ということで。
おおまかに『鬼太郎』を区分けしますと。
貸本漫画時代
兎月書房版、三洋社版、佐藤プロ版、東考社版
月刊ガロ版
少年マガジン版
連載、特別編
ベトナム戦記
少年サンデー版
死神大戦記
青年誌版
挑戦、続鬼太郎、スポーツ狂時代、新鬼太郎、大ボラ
雪姫
講談社復帰版
新編、地獄編、国盗り物語
鬼太郎霊団
他に短期連載や読み切りや絵物語やコラボなどなど多数
おおよそですが、こんな感じですね。
以下に、版ごとに収録本を挙げていきます。
※ 貸本版
所謂、怖いほうの鬼太郎ですね。
・ 角川文庫『墓場鬼太郎 貸本まんが復刻版』全六巻
何も考えずに、この六冊だけでコンプ完了します。
兎月書房版、三洋社版、佐藤プロダクション版、東考社版、すべて収録されています。
カラー頁もそのまま収録♪
※ 月刊ガロ版
貸本版のリメイクです。
読み切りの「鬼太郎の誕生」と、連載された『鬼太郎夜話』とがあり、単行本になっているのは『夜話』のほうだけです。「誕生」は少年マガジンに改稿転載されたものしか単行本になっていません。
・ ちくま文庫『鬼太郎夜話』
・ 中公文庫『ゲゲゲの鬼太郎』第8〜9巻
(写真は、ちくま文庫)
どちらでもOKだと思います。中公文庫のほうは読んでませんが(汗)。
なお、両方ともガロに発表されたときより大幅に“減量”されており、その意味では完全収録と言えないのが残念です。
で、完全収録したのが、こちら。
・ 中公文庫『決定版 ゲゲゲの鬼太郎 鬼太郎夜話』上下巻
・ 講談社『水木しげる漫画大全集 027 『ガロ』版鬼太郎夜話 上』
・ 講談社『水木しげる漫画大全集 028 『ガロ』版鬼太郎夜話 下』
(写真は講談社)
『漫画大全集』しか完全収録が無かったので、中公文庫の『決定版』は待望の刊行です。
従来の単行本では、貸本版で言う「下宿屋」の部分がメタクソに圧縮して分量的に言えば掌編化したものへと差し替えられています。
一方で割愛された部分は、一部修正されて少年マガジンに「特別編」として掲載されました。それが「牛鬼対吸血鬼」というわけ。と言いますか、順序からするとマガジン転載が先で、ガロ版の単行本化は後の事ですが。
『漫画大全集』では、差し替えになったそれぞれの部分も巻末資料として収録されていますので、すべてのパターンが、これで判ります。
『大全集』と『決定版』以外の単行本がこんな変な編集になってしまった理由と経緯についても、解説で明確にされています。さすが『大全集』。
※ 少年マガジン連載版
世間がよく知るところの正義の鬼太郎が、ここから始まりました。
アニメ第一期の頃ですね。
・ 講談社漫画文庫『ゲゲゲの鬼太郎 少年マガジン/オリジナル版』全五巻
・ 講談社コミックス『ゲゲゲの鬼太郎』第1〜12巻
・ ちくま文庫『ゲゲゲの鬼太郎』全七巻
・ 中公文庫『決定版 ゲゲゲの鬼太郎』第1〜6巻
(写真は講談社漫画文庫)
このどれでも、連載された分はコンプできます。
どのシリーズにもメリットがあります。
講談社漫画文庫のメリットは、
1:収録が雑誌発表順。
2:画報なども収録。
3:後に改題されたエピソードを原題に戻して収録。
4:長編が二冊を跨がない。
5:後日譚「その後の鬼太郎」も収録。
6:おまけの資料・解説が素晴らしい!
講談社コミックスのメリットは、
1:ガロからの転載である特別編三つ(* すぐ下を参照)も収録。
2:全巻を揃えると少年サンデー版も一気にコンプできる。
3:ある程度は雑誌発表順に準拠している。
4:後に改題されたエピソードを原題に戻して収録。
ちくま文庫のメリットは、
1:少年サンデー版も同時にコンプできる。
2:特別編「おどろおどろ対吸血鬼」を収録。
3:後日譚「その後の鬼太郎」も収録。
4:読み切り作品「海坊主先生」も収録。
5:なぜか『新鬼太郎』の「猫町切符」も収録。
中公文庫のメリットは、
1:収録が雑誌発表順。
2:後に改題されたエピソードを原題に戻して収録。
3:長編が二冊を跨がない。
4:少年サンデー版も同時にコンプできる。
5:全十巻を揃えれば、新編および地獄編もコンプできる。
6:特別編「鬼太郎の誕生」も収録。
7:後日譚「その後の鬼太郎」も収録。
8:読み切り作品「海坊主先生」も収録。
言うまでもありませんが、デメリットは、それぞれのメリットの裏返しです。
ただし、講談社漫画文庫、ちくま文庫に「鬼太郎の誕生」が収録されていないのは欠点ではありません。理由は「鬼太郎の誕生」が少年マガジン連載版に分類されないからです。
※ 少年マガジン特別編
月刊ガロに掲載・連載されたものから抜粋して改稿し、別冊少年マガジンに転載された
「鬼太郎の誕生」(後に「幽霊一家」に改題)
「牛鬼対吸血鬼」(後に「おどろおどろ対吸血鬼」に改題)
「ねこ屋のきょうだい」
の三作品です。
・ 講談社コミックス『ゲゲゲの鬼太郎 1』
これでバッチリです。
「鬼太郎の誕生」は中公文庫第1巻や中公文庫『決定版』第4巻にも、「おどろおどろ対吸血鬼」はちくま文庫の第6巻にも、それぞれ収録されていますが、三本とも収録している講談社コミックスが断然有利です。
※ 『鬼太郎のベトナム戦記』
鬼太郎たちがベトコンに味方するという、左派大喜びの話です。
ちなみに、後々に水木翁は、左派に乗せられたことを勉強不足だったと反省しておられます。
・ トクマコミックス『鬼太郎のベトナム戦記』
文庫ではありませんが、単行本では、これしかなさそうです。
表題作の他に読み切りの「妖怪ロッキード」と「蓮華王国」、さらに『大ボラ鬼太郎』全五話が収録されており、むしろこちらのほうで価値があります。
※ 「その後のまんがスター2 ゲゲゲの鬼太郎」
少年マガジン連載後の後日譚を描いた読み切り作品です。
・ 講談社漫画文庫『ゲゲゲの鬼太郎 少年マガジン/オリジナル版 5』
・ ちくま文庫『ゲゲゲの鬼太郎 7 妖怪花』
・ 中公文庫『ゲゲゲの鬼太郎 2 妖怪反物』
・ 中公文庫『決定版 ゲゲゲの鬼太郎 6 釜なり・ダイダラボッチ』
いちおうは、どれでもOK。
どのシリーズでどう組み合わせて『鬼太郎』を揃えるかの兼ね合いで、これらの中から選ぶことになります。
講談社コミックスに入っていないのが、返す返すも残念ですね。
※ 少年サンデー版
アニメ第二期の頃です。
・ 講談社コミックス『ゲゲゲの鬼太郎』第12〜13巻
・ ちくま文庫『ゲゲゲの鬼太郎』第2、7巻
・ 中公文庫『ゲゲゲの鬼太郎』第1〜2巻
・ 中公文庫『決定版 ゲゲゲの鬼太郎 6 釜なり・ダイダラボッチ』
(写真は中公文庫1〜2)
どれでもOK。
講談社コミックスのメリットは、
1:全巻を揃えると少年マガジン連載版も一緒にコンプできる。
2:収録順が雑誌発表順。
ちくま文庫のメリットは、
1:全巻を揃えると少年マガジン連載版も一緒にコンプできる。
2:読み切り作品「海坊主先生」も収録されている(第2巻)。
3:なんでか『新鬼太郎』の「猫町切符」も以下同文。
中公文庫1〜2のメリットは、
1:少年マガジンの特別編「鬼太郎の誕生」が収録されている(第1巻)。
2:読み切り作品「海坊主先生」が収録されている(第2巻)。
中公文庫『決定版』のメリットは、
1:全十巻を揃えると少年マガジン連載版および新編・地獄編もまとめてコンプできる。
2:読み切り作品「海坊主先生」が収録されている。
※ 『ゲゲゲの鬼太郎 死神大戦記』
「その後の鬼太郎」の続編に位置します。
・ 角川文庫『ゲゲゲの鬼太郎 死神大戦記』上下巻
大全集以外では現在、これしか選択肢がないと思います。
※ 『鬼太郎の世界お化け旅行』
鬼太郎と仲間たちが海外の妖怪を退治に出かけるお話。
どれの続編にあたるのかは、解釈により変わりそうに思います。
・ 中公文庫『決定版 ゲゲゲの鬼太郎 鬼太郎の世界お化け旅行』
・ 中公文庫『ゲゲゲの鬼太郎 3 鬼太郎のおばけ旅行』
・ ちくま文庫『鬼太郎のお化け旅行』
(写真は中公文庫『鬼太郎 3』)
基本的に内容は同じだと思われます。
※ 『ゲゲゲの鬼太郎 挑戦シリーズ!』
青年誌に異動した鬼太郎ですね。
お下げ髪の猫娘とか出てきます。
・ KCスペシャル『新 ゲゲゲの鬼太郎 第1集』
・ 角川文庫『水木しげるコレクションI 鬼太郎の地獄めぐり』
・ 角川文庫『水木しげるコレクションV 天界のゲゲゲの鬼太郎』
(写真はKCスペシャル)
全三話が、KCスペシャルの第1集に収録されています。
もう一方の『水木しげるコレクション』では、第1話「UFOの秘密」が第1巻に、第3話「地上絵の秘密」が第5巻に、それぞれ収録されています。第2話「太古の秘密」のみ残念ながら入っていません。
なお、KCスペシャルは全四集で青年誌版の『鬼太郎』あれこれが収録されているのですが、調べたところコンプはできないようです。
まあ、今では古本でしか入手できませんから、どうでもいいっちゃいいのですが。(;^_^A
※ 『続ゲゲゲの鬼太郎』
『挑戦シリーズ』と同レベルか、あるいはそれ以上に大人向けです。
鬼太郎が高校生になっており、大人になった猫娘とか出てきます。
・ 角川文庫『ゲゲゲの鬼太郎 青春時代』
大全集以外では、これしか無さそうです。
※ 『新ゲゲゲの鬼太郎 スポーツ狂時代』
もう何が何だか判りません(笑)。
鬼太郎がスポーツ選手を目指すお話。
・ 角川文庫『ゲゲゲの鬼太郎 スポーツ狂時代』
KCスペシャル『新 ゲゲゲの鬼太郎』でもコンプできるようですが、第1集しか持っていないため全巻の内容を確認できません。m(_ _)m
※ 『新ゲゲゲの鬼太郎』
『スポーツ狂時代』の続編に位置し、悪と闘う鬼太郎に戻ります。
・ 中公文庫『決定版 ゲゲゲの鬼太郎 猫町切符』
完全収録された単行本は、漫画大全集を除いて、これしかありません。
これが出るまで、バラバラを買い揃えていたのですよねぇ。以下に、その苦労の記録(笑)を。
・ 角川文庫『水木しげるコレクション』全五巻
・ 中公文庫『ゲゲゲの鬼太郎 4 猫町切符』
・ 講談社漫画文庫『水木サンの猫』
以上七冊を揃えないと全話をコンプできませんでした。orz
『水木しげるコレクション』全五巻に中公文庫の第4巻を足すことで残り一話になるのです。
が、その残った一つ「影くい猫」だけは鬼太郎シリーズの文庫に入っておらず、探したところ猫作品のオムニバスである『水木サンの猫』に収録されていたという……。「猫仙人」「猫娘とねずみ男」「猫町切符」などなども入っていますが、大被りは仕方ないと諦めるしかなかった……。
とまあ以上のような面倒さだったのです、はい。
※ 『大ボラ鬼太郎』
『新鬼太郎』の続編とまでは言いにくいですが、掲載が同じ出版社であること、内容が大人向けであること、ねずみ男と同居していること、などを根拠に時系列が続いているという解釈もできます。
・ トクマコミックス『鬼太郎のベトナム戦記』
・ ガドカワムック『怪 KWAI vol.0022』
上のほうでも述べましたとおり、トクマコミックスの『ベトナム戦記』は、『大ボラ』収録にこそ価値があります。
一方、『怪』には『大ボラ』の他に『鬼太郎とねずみ男』全三話と「三味線猫のなげき」、さらに幻の四コマ鬼太郎が三本すべて収録されています。それより何より、巻頭の鬼太郎大特集記事のボリュームが強烈すぎます。ムックなので再版ほぼ絶望的なのが残念ですね。後を継いだ形の『怪と幽』は電子版があるんだけどなぁ……。
(写真は『怪』)
※ 『雪姫ちゃんとゲゲゲの鬼太郎』
鬼太郎に妹がいた! というショッキングな始まりです(笑)。
大人版ではなく、少年の鬼太郎です。
・ 角川文庫『水木しげるコレクションIII 雪姫ちゃんとゲゲゲの鬼太郎』
大全集以外では、これしかなさそうです。
※ 『新編ゲゲゲの鬼太郎』
アニメ第三期の頃、水木プロ作品であるコミックボンボン連載『最新版ゲゲゲの鬼太郎』と併走して、少年マガジンに連載されていたものです。
・ 中公文庫『ゲゲゲの鬼太郎』第4〜7巻
・ 中公文庫『決定版 ゲゲゲの鬼太郎』第7〜10巻
(写真は『鬼太郎』4〜7)
どちらも四冊で、めでたくコンプできます。
なお、『決定版』第7巻には読み切り短編の『海坊主先生』が収録されています。
※ 『鬼太郎地獄編』
『新編鬼太郎』の続編。アニメでは第三期の最終章的な扱いでした。
・ 角川文庫『水木しげるコレクションI 鬼太郎の地獄めぐり』
・ 中公文庫『ゲゲゲの鬼太郎 7 鬼太郎地獄編』
・ 中公文庫『決定版 ゲゲゲの鬼太郎 10 鬼道衆・鬼太郎地獄編』
どれも全四話が入っているのですが、『新編』と一緒に揃えるとなると中公文庫のどちらかだと思います。
※ 『鬼太郎国盗り物語』
地上侵攻を企む地下ムー帝国に鬼太郎たちが立ち向かうお話。
『新編』および『地獄編』の設定を引き継いでいますので、『地獄編』の続編という位置付けでいいと思います。
・ コミックスボンボン『鬼太郎国盗り物語』全五巻
・ 角川文庫『鬼太郎国盗り物語』全三巻
(写真は角川文庫)
今は角川文庫しか手に入らないと思います。
その角川文庫も紙の本は在庫が怪しいです。
※ 『鬼太郎霊団』
水木翁が新たに大胆な構想で開始して……残念ながら頓挫してしまった鬼太郎。
・ ちくま文庫『京極夏彦が選ぶ! 水木しげるの奇妙な劇画集』
短編集ですが、「鬼太郎霊団」と、その第2話にあたる「セクハラ妖怪いやみ」と、さらに『続鬼太郎』の第2話「幽霊家主」が収録されています。
※ その他
鬼太郎とは無関係の水木しげる作品短編集ですが、アニメ版『鬼太郎』の原作となった作品が含まれています。
・ ちくま文庫『妖怪ワンダーランド』全八巻
・ トクマコミックス『ゲゲゲの素』
・ 講談社『水木しげる漫画大全集 069 世界怪奇シリーズ/サラリーマン死神 他』
(写真は『ゲゲゲの素』)
『ゲゲゲの素』の巻末には、アニメ第二期の全話およびその原作のタイトル一覧があります。
本の収集にあたって、以下のサイト様を参考にさせていただきました。
ありがとうございました。
「書店員のための『ゲゲゲの鬼太郎』講座」
(「語りか音か映りモノ 2.0」さんの記事)
「水木しげる作品リスト(鬼太郎シリーズ)」
(サイト名不明さんの記事)
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