成長しない鬼太郎の感想など
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『海坊主先生』
読み切り作品です。
鬼太郎は新型のゲゲゲハウスに住んでます。
一切闘わずに解決というのは、サーガ全体を見ても珍しいと思います。
『雪姫ちゃんとゲゲゲの鬼太郎』
雪姫とは鬼太郎の妹です。閻魔様が発行した血統書付きなので、まちがいありません。身に覚えのない目玉親父も納得しましたし。
でも、私は納得していません。
いや、そもそも鬼太郎を産む前に母親は絶命しているのだから、妹とかありえんやろ。
雪姫の成長の早さと言い強力な超能力と言い、何か裏があるに違いありません。残念ながら、その真相が明かされることなく連載は終わりました(掲載誌休刊のため)。
※ 1「雪姫ちゃん登場」
鬼太郎の家は「ゲゲゲハウス改々」といったところか。
マンモス殿下は、「おばけナイター」で活躍したマンモス男の同類だよね。
※ 2「ニセ鬼太郎」
貸本版のニセ鬼太郎のくだりをリメイクしたもの。
※ 3「宇宙人レストラン」
「強い宇宙人」を殺ってしまって大丈夫か。仲間が報復に来やせんか。
姿も喫茶店も同じタイプなので、『続鬼太郎』の「キノコ」に出てきた宇宙人と同族と思われる。
※ 4「狐つき」
扉の絵を見た限りでは管狐のよう。
※ 5「ねらわれた雪姫ちゃん」
西洋トリオ再来。
ねずみ男が初対面って感じて会話してたので、「妖怪大戦争」の連中とは別口か。
雪姫が早くも超能力覚醒。
※ 6「妖怪「いやみ」」
かつての奴とは違う外見。
とは言え、身体の構造からすると同族なんだろう。
※ 7「鬼妖怪」
雪姫が、もう喋って歩いてる。
第7話にして、二歳なんだそうで。早っ。
※ 8「妖怪実力選手権試合」
「妖怪ラリー」のコンセプトそのもの。
※ 9「化けグモ」
見た目が、『悪魔くん』のクモ仙人。
※ 10「大ダコ」
作戦としては、家康がやった「外堀を埋めろ」なんだけど。
それにしても大ダコが馬鹿すぎると思う。
※ 11「妖怪傘化け」
少年サンデー版「傘化け」のリメイク。
これで終了。唐突に終わるので、真の結末がお蔵入りになった説を私は主張する。
「鬼太郎の地獄めぐり」
読み切り作品です。
鬼太郎とねずみ男が退屈しのぎに地獄観光に出かけるお話。
と言うか、鬼太郎を使って八大地獄、六道、そして極楽を紹介したものですね。
地獄観が水木翁のそれではないので、おそらく編集部主導で地獄の解説が構成されたと思われます。なにせ、掲載されたのが「百科入門シリーズ」ですから。
『新編ゲゲゲの鬼太郎』
原因回帰と言いますか、『新鬼太郎』以上に元の設定に戻した鬼太郎ですね。少年マガジンは言ってみれば古巣ですし。
原作としては、猫娘がレギュラー入りした初めての作品でもあります。
また、ゲゲゲの森の村長として、油すましも鬼太郎ファミリーに加入しました。
※ 1「妖怪万年竹」
『ウルトラセブン』のワイアール星人を思い出す。
要は、同化増殖型モンスターね。
※ 2、3「妖怪危機一髪」(前後編)
「ヒ一族」という存在は厄介。
こいつらの育てかたって蠱毒そのものだな。
※ 4「妖怪ラーメン」
カップ麺が一個十円という時点で疑えよ、おまえら。
生活に困窮した狸たちが屋台の蕎麦屋をというのは涙ぐましいけど、なんでタヌキ蕎麦だけなん? それじゃあ、お客もつかないよ。キツネ蕎麦やオカメ蕎麦はプライドが許さんかったん?
※ 5「ガマ妖怪」
たった一ヶ月のポッと出の新人が大人気漫画って、このガマ、才能ありすぎる。
※ 6「吹消婆」
ぬらりひょんの相棒だった蛇骨婆に、よく似てるなぁ。
吹消婆が鬼太郎に言った「正義をふりかざす万年子供」は、たぶん水木翁の本音。
※ 7「妖怪猫魈」
猫股に、さらなる進化形があったとは、びっくりだ。
※ 8「妖怪大百足」
大百足が言ってた蛇とは、たぶん日光の蛇だと思う。
赤城の百足と日光の蛇は長年のライバル関係。
※ 9「月の妖怪 桂男」
餅搗き兎まで妖怪として登場させる水木サンに拍手。
※ 10「死霊軍団」
肉体が無限再生するゾンビみたいなものか。
これは勝ち目が見えない。
※ 11、12「煙羅煙羅」(前後編)
野槌がシリーズで二度目の大吸引。
ヤカンズルもだけど、問答無用の大食漢な“掃除機”妖怪って便利ではある。
※ 13「手長足長」
無神経な土地開発はするなという教訓。
せめて、祠や碑は、きちんと扱おうよ。
※ 14「小豆連合軍」
小豆系妖怪大集合は楽しい。
人の顔を小豆畑にするのは、まんま『ウルトラセブン』の「人間牧場」なんだが。
※ 15「めんこ天狗」
別に「天狗」でなくてもよかったと思う。「めんこ小僧」でも。
※ 16「逆さ首」
『稲生物怪録絵巻』に出てきたあやかしを、そのまま妖怪の種族にするあたり、安定の水木クオリティ。
※ 17「化けぞうり」
物は大切にしよう。
※ 18「串刺し入道」
カラクリがそのまま妖怪化してるのは、おりたたみ入道の親戚なんだろうか。
もちろん、水木オリジナル妖怪。
※ 19、20「吸血鬼ラ・セーヌ」(前後編)
囚われ姫な猫娘は、原作では貴重。
ラ・セーヌは、かつて鬼太郎の手に翻弄されたのとは別人だよね? あっちのラ=セーヌは焼け死んだから。
吸血されても吸血鬼化しないというのは、ドラキュラやピーなどとは違う系統ということか、ラ・セーヌは。
※ 21「豆腐小僧」
山の神であれば女神のはず。
とすると山神のほう?
※ 22「家獣」
『悪魔くん 千年王国』における十二使徒の一体。
それが、なんでか暴れるだけの悪者に(笑)。
※ 23「麻桶毛」
うち捨てられた市松人形はトラウマ級に怖い。
※ 24「妖怪クリーニング」
これまた同化増殖型妖怪。
本体を倒すと皆、元通り。ってのはご都合主義ではある。
※ 25「石妖」
水木サンがご登場。
結婚詐欺に騙される役だけど。
※ 26「針女」
目玉親父の「猫を十匹ばかり」という作戦が楽しい。
それにしても『鬼太郎』には「花子」という名の被害者が多いな。
※ 27「魔女ロンロン」
偽物に犯罪させて荒稼ぎってのは『妖怪人間ベム』でもやってた。
魔女のテンプレ姿って、何が元祖なんだろう?
※ 28「竹伐り狸」
まさか万年竹の親戚だったとは。
本来の竹伐り狸は音だけの妖怪。
※ 29「黒坊主」
水木オリジナルと思われ。
絵の中の赤子が増えていくというのは、怖い。
※ 30「土転び」
やたら「先生」と呼びかけてくる奴らはロクなもんじゃない。
※ 31「地獄マラソン」
皆で参加とは、親切な。
※ 32「魔猫」
美人教師が生徒たちを洗脳するってのは、平井和正さんの短編にもあった。
※ 33「妖怪王将戦」
油すましが大活躍。
ゲゲゲの森の村長とは、お見それしました。
※ 34「ペナンガラン」
水木翁大好きな南方系妖怪。
※ 35「木の子」
隠れ里系には珍しくハッピーエンドなお話。
それにしても素っ裸でよく風邪ひかなかったものだと小一時間。
山天狗は天狗族の面汚しだと思う。
※ 36、37「こそこそ岩」(前後編)
悪魔より神様のほうが一枚上手だったというお話。
※ 38「妖犬」
ここに出てくる「悦子」は、たぶんまちがいなく水木サンの娘さんがモデル。
※ 39「カニ妖怪」
黒髪切りが堂々と仕立屋の店を出してるとは。
※ 40「壺仙人」
人の弱みにつけ込むクズ仙人がまたも……。
それはそれとして。
契約は契約。約束したうえで恩恵を得たのに対価を支払わないのは、よくない。ここは鬼太郎も少し考えるべきところ。
※ 41「手足の怪」
水木サンが再び♪
奉納場所が寂れたから、板きれが妖怪化したということなんだろうか。
※ 42「ぬけ首」
本来の抜け首は人の首だけが夜に離れて飛び回るという、轆轤首の親戚。つまり幽体離脱の一種。
頭と胴体が分離できる怪物は、大陸の飛頭蛮。小泉八雲の『ろくろ首』に出てきたのが、この仲間。
※ 43「皿合戦」
皿屋敷の話は全国にあるそうな。有名なのは播州皿屋敷と番町皿屋敷。
※ 44「井守」
家屋を守る家守と、水を守る井守。
どちらも無下にすることはない。
※ 45「けらけら女」
野槌じゃないけど、野槌方式での退治。
※ 46「魔女ジニヤー」
ジニヤーの父は、たぶんバフォメット。
猫娘がバイトしてるというのは、原作では珍しいシーン。
※ 47、48「鬼道衆」(前後編)
クズの集まり鬼道衆。何のための修験者集団なんだか。
一方的に人を襲う妖怪の、これは裏返しだね。
『鬼太郎地獄編』
『新編』からのストレートな続編です。
鬼太郎が母親に会うべく地獄を旅する物語です。
と言うか、鬼太郎の母親の設定が、とんでもないことになっています。
※ 「母を求めて地獄旅」
なんと、「ねずみ男」は名前ではなく種族名だった! よって、ねずみ男は半妖ではなかった!!
そんな、ねずみ男族の献立が……トラウマすぎる。
またしても「花子」さんかよ。
※ 「血戦三途の川」
本来、賽の河原で子供たちをいじめるのは獄卒どもの役割なんだが。
で、そこにお地蔵様が来てくださるはずなんだが。
※ 「閻魔危うし! 白骨軍団」
ドラキュラと狼男は、「妖怪大戦争」のときの奴らだと思われる。
なんでか、デーモン閣下が、こいつらが地上に送り出したスパイってことに。許可取ってる?(笑)
いちいち人を襲って吸血するより、血の池地獄を占領するほうが手っ取り早いとは考えたもので。
がしゃどくろが話の判る相手になってて、びっくり。
※ 「最後の出会い」
夜行さんと言うより、あれはほぼデュラハンだと思う。
鬼太郎の母が人間で「岩子」という名前で、あの有名怪談のおかたの親戚なんだそうで。
つまり鬼太郎は半妖で、鬼太郎の隻眼は母親の遺伝だったと(隻眼については、貸本版を読んでのオイラの推理が的中だわ♪)。
あれ? ってことは、そもそもの血液銀行の騒動は、どうなるん?
これまでのあれこれと矛盾が生じるので、違う世界線と考える必要が出てきたのかもしれない……。
『鬼太郎国盗り物語』
地下ムー帝国の地上征服計画に立ち向かう鬼太郎たちの物語で、シーサーが登場したりと『地獄編』を引き継いでいます。
ムー帝国は地球空洞説に基づいて地下の大空間にある、という設定。
後半、ムー帝国を目指して鬼太郎たちが地下を旅しつつ、いろいろな事件と遭遇・解決するという、『地獄編』と同じくロード・ムービー構成ですね。
※ 一「雷虎」
竜虎相搏つ。
これに鬼太郎たちが巻き込まれたものの、実は前兆にすぎなかった。
※ 二「怪エンバン」
鬼太郎に兄がいた!
※ 三「妖怪大口」
恐山の妖怪病院が大忙し。
※ 四「おどろ砂」
モグラ人間は幽霊族の親戚なんだそうな。
※ 五、六「旧鼠王」
毒娘がなかなかのキャラで♪
※ 七「ラグレシア」
何げにゲゲゲハウスが大きくね?
ラグレシアとはラフレシアのことだね。
※ 八「金霊」
ゲゲゲハウスにはテレビがあった。
※ 九、十「決戦!箱根城!!」
箱根に決戦用の秘密基地があるなんて。
その妖怪箱根城が格好良い。
毛目玉も久々に参戦。
あの、ぬらりひょんも共闘してくれる。これは心強い。
※ 十一「八百比丘尼」
ただの婆ァで幻滅した。
人魚の肉は不老じゃないのかよ!
※ 十二「ゴーストカー」
朧車が自動車のカテゴリに入るとは思いもせんかった。
※ 十三「ムーの潜水艦」
この潜水艦は空を飛ぶぞ。
※ 十四「人面瘡」
久々の人助け。
※ 十五「ガジュマルの精」
心を読む敵の倒しかたが楽しすぎる。
ねずみ男、最強やな。
※ 十六「五徳猫」
シーサーが再登場。
いないと思ったら、沖縄に帰ってたのねん。
※ 十七「ゴルゴーン」
完全予言的中率を誇る件は、よく考えたら最強メンタルの持ち主だな。
生きてて楽しみってあるのかな?
※ 十八「鬼太郎カンヅメ」
役行者の末裔が、なんで沖縄暮らし?
あ、突っ込んじゃダメっスか。
※ 十九「元興寺」
元興寺と言えば調布、調布と言えば元興寺。(違っ
※ 二十「妖怪大相撲」
ベアードまで参戦する相撲大会。
妖怪のノーサイド・ルールは不思議だ。
※ 二十一「ムーへの道」
ずっと防衛に終始していた鬼太郎たちが、ついに地下へ攻め入る。
※ 二十二「かめおさ」
地下世界には地下世界の住人たちがいて、そこは地上とも地獄とも変わらない。
※ 二十三「魔導師」
片耳豚は本来、沖縄あたりの妖怪。
※ 二十四「天空船」
鬼太郎たちが空飛ぶ古代妖力船を手に入れ、それをムー帝国指揮下の幽霊海賊船が襲撃する。
大スペクタクルだけど、これ妖怪モノじゃないな。
※ 二十五「万年グモ」
天空船が巨大蜘蛛の怪物に喰われるとか、もうスペオペやん。
※ 二十六「ムーの首都へ突入!」
ヤドカリマンモスって……ゲルショッカーの新怪人かと思った(笑)。
※ 二十七「大決戦前夜」
黒幕“創造主”の姿は悪魔ベリアルの戦闘形態みたいで不気味。
※ 二十八「さらば鬼太郎!!」
大団円。
事件の原因は地上の汚染だったという。
あー、人間が悪いということかー。
『鬼太郎霊団』
これまでの鬼太郎作品の設定・経緯すべてを否定しリセットした、まったく違う鬼太郎です。
鬼太郎たち妖怪はすべて霊的存在で人の目には決して見えないし、もちろん会話もできない。なので、鬼太郎に怪奇事件の解決を依頼するには、半妖怪のねずみ男を通す必要がある。ねずみ男が唯一、妖怪とも人とも直接に会話できるわけです。
という前提で、事件とその解決が描かれます。
が、作画上の都合でか、けっきょく依頼人と鬼太郎が、悪い妖怪と被害者が、それぞれ直に会話していたりと、いささか計画倒れの印象が拭えません。
連載予定そのものが頓挫したようですし、あれこれ残念なシリーズとなりました。
※ 「鬼太郎霊団」
よりにもよって水木家を舞台にするとは!
悦子さんが酷い目に……水木翁、ご自分の娘さんに厳しいな。
※ 「セクハラ妖怪いやみ」
水木翁は、いやみが大のお気に入りのようで、少年サンデー版と『雪姫』に続いて、これで三度目の登場。
猫娘にあんなことをさせるあたり、水木翁の本性はエロだな。うん。まちがいない。
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