成長した鬼太郎の感想など
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『ゲゲゲの鬼太郎 挑戦シリーズ!』
SF的なテーマで展開された新しい鬼太郎ですね。
ただ、これねぇ……『死神大戦記』と似た空気を感じるのですよ。
つまり、水木サン以外に別に原案者がいるんじゃないのかと。モブが水木キャラでないのも『死神大戦記』と同じですし。
※「UFOの秘密」
UFO地球内部飛来説を元に、ゾンビ系パニックを描くときたもんだ。
水木サンは、昭和に有名になった写真(北極に大穴がある、というヤツ)に基づく「地球空洞説」がお気に入りのようで、これより後の『国盗り物語』でも地下世界(地獄ではない)を扱っておられる。
※「太古の秘密」
これは酷いエロ(笑)。
事件に巻き込まれた……と言うか事件の軸となった水木の言動あれこれが、これまた酷い(爆)。
この話だけは、すべて水木サンの手による原稿に思える。
※「地上絵の秘密」
最初っから最後まで、とにかくスケベに終始したエピソード(苦笑)。
猫娘がお下げ髪になって登場したが色気ゼロで、むしろオカンっぽい(爆)。
しかしながら、ねずみ男は猫娘のことを美人と認識し続けている。ということが確認できる。
『続ゲゲゲの鬼太郎』
高校生になった鬼太郎のお話です。
チャンチャンコと旧制制服と下駄ではなく、セーターとジーンズと靴です。
妖怪も人間社会で生きていくためには学校に通ったほうがいい。という民生委員の世話によって、「田中ゲタ吉」なる偽名で人間として墓の下高校に通っています。
とは言え、学校はほとんど舞台とならず、もっぱら鬼太郎の周辺で怪事件というか珍事件が起こる、という構図ですね。
従来の鬼太郎を想像して読むと、ひっくり返ります。基本的に、ナンセンスドタバタオゲレツエロギャグと言って差し支えないと思います(笑)。
目玉親父は目玉親父で、茶碗風呂ならぬ酒風呂ウイスキー風呂が習慣化しており、堕落してきてます(苦笑)。
※ 1「貧乏劇画家」
鬼太郎に東大を目指すよう言ったり、幽霊族の歴史を世に残そうと執筆に勤しんでいたりと、目玉親父の俗物化が酷い。
むしろ、鬼太郎が思春期を迎えながらも善人すぎて、ほっとする。
※ 2「幽霊屋敷」
第1話で下宿を追い出された鬼太郎父子が、ねずみ男と再会、幽霊屋敷に同居することに。
※ 3「皮はぎ魔」
鬼太郎に恋人がいた!
でも、その恋人は芸能界デビューしており、鬼太郎が捨てられるのも時間の問題……。
※ 4「悪魔払い」
生兵法怪我の元。ねずみ男が散々なことに。
※ 5「妖虫」
夢落ちだが、他の作品と共通点が見られて面白い。
これが現実なら、野槌かヤカンヅルを呼ばないとダメだな。
※ 6「川猿」
三日間もブランコに興じて帰りの列車を逃すなんて、川猿が無邪気すぎる。
※ 7「ダメな死神」
適材適所。この死神は死神職が向いてなかっただけのこと。
※ 8「タコ人間」
青年誌版ではアラカンさんのそっくりさんが何度も出てくる(「地上絵の秘密」でも活躍してた)。
ここに出てきたアラカンならぬマラカンさんは、絶倫を通り越した怪物級(笑)。
※ 9「招かれざる客」
人間の女性に「魔女の印」を付けて魔女化、魔女の国を作ろうという陰謀が進行中。
鬼太郎に相談しに来た女性は、貸本版のガマ令嬢そっくり(ただし、口は普通サイズでチャックも無い)。
作品を跨がって、ベティー・ブープを善に、マリリン・モンローを悪に配置するのは、水木サンの趣味が出てるのか?
※ 10「円盤じいさん」
円盤に懐かれて修理やら何やらと世話している世捨て人の爺さん。
ユニークすぎて、いいなあ♪
※ 11「精露丸」
そんな爺さんの素敵な設定をすぐにブチ壊すこの回。
※ 12「立体テレビ」
なんでか幽霊屋敷には変な入居希望者ばかり来るなあ。
※ 13「ろくろ大合戦」
これは酷い酷すぎる。
ろくろ首婆さんと、十何メートルも魔羅が自在に伸びる中年男との、壮絶なる闘い。婆ァのケツなんて誰得やねん(爆)。
※ 14「尻子玉」
夢落ちではあるものの、かなり壮大なディストピア物でありSF要素も強い。
※ 15「チンポコ紛失」
だから、こーゆータイトルはサー。(;^_^A
天狗さんにも困ったものだ。
※ 16「羽衣」
羽衣を盗まれて途方に暮れた天女を連れ帰り、手まで出すとは。
※ 17「浮気部長」
ねずみ男も溜まってるようで。
※ 18「猫娘」
謎の猫娘が登場。
いや本当に、こいつがあの猫娘とは思えないんだよ。
※ 19「肉ぶとん」
江戸川乱歩だなぁ。
※ 20「運命」
またもアラカンさん登場♪
※ 21「貧乏くじ」
別の死神が登場。
こっちは怖い。
※ 22「キノコ」
変な物に寄生されても動じない鬼太郎とねずみ男が鉄メンタルすぎて。
この宇宙人は、後に『雪姫』にも登場する。
※ 23「幽霊自動車」
本来は『鬼太郎』と無関係の短編『妖怪自動車』(アニメ版『鬼太郎』に使われた)を大幅にスケール拡大したもの。
『新ゲゲゲの鬼太郎 スポーツ狂時代』
『続鬼太郎』の続編に位置します。
主に経済的理由で高校に通えなくなった鬼太郎が、ひょんなことからスポーツで身を立てようとするお話。
とにかく、目玉親父のダメダメぶりが目立つ作品です。あれだけ鬼太郎に「幽霊族の末裔が東大くらい行けなくてどうする」と言っていたのが、ここまで落ちぶれるとは……(苦笑)。
※ 「うばわれた超能力」
このシリーズのプロローグ的なエピソード。
罠にかかって、大切なチャンチャンコと血液まで奪われて、凡人レベルに弱体化する鬼太郎。
しかし変だな。前シリーズ『続鬼太郎』では、ねずみ男が押し入れから盗み出したチャンチャンコなのに、ここではセーターに作り替えたことになってる。
ともかく、そんな大切なチャンチャンコセーターを相手に渡すよう鬼太郎に軽々しく言う目玉が耄碌しすぎててもう。そもそもが、覚えのない義妹(鬼太郎のおばさん)が名乗り出てきたことを疑わない時点で駄目すぎる。
※ 「相撲」
能力を失い路頭に迷っていた鬼太郎を拾ってくれたのが、アラカンさんそっくりな(笑)大相撲の親方。それが縁で鬼太郎の力士としての生活が始まる。便乗して、番付が序の口に過ぎない鬼太郎のマネージャーを名乗り相撲部屋に住み着くねずみ男が通常運行でもう♪
その稽古の日々を、鬼太郎の血を狙うモモ子一派がしつこく襲撃する。さらに、砂かけ婆と子啼き爺も参戦して大乱戦に。
決着が土俵の上なのはともかく、美女・モモ子がトップレスのまわし姿というのは、さすが青年誌と褒めるべきところなのか?
※ 「野球狂」
大相撲を破門となった鬼太郎が、成り行きで野球チームの勧誘を受けるが、なぜか墓の下高校野球部からも誘われるという流れに。
それはいい。
問題は、墓の下高校の設定。
『続鬼太郎』の墓の下高校は普通の高校。だからこそ鬼太郎は「田中ゲタ吉」という偽名で人間として通っていた。校門も校舎も学友たちも至って普通。鬼太郎は電車通学してたし。
ところが、ここでは墓の下高校は墓地に建つ妖怪の高校になっている。校舎の見た目も不気味で、まるで、たんたん坊の妖怪城。
さらに困ったことに、猫娘がレギュラーで登場してしまう。
『続鬼太郎』にセレブ姿で登場&一発退場した猫娘だが、ここでは『挑戦シリーズ』に出ていたのと同じ、おさげ髪にワンピース。
つか、そもそも『続鬼太郎』の猫娘は女子大生。で、こっちの猫娘は女子高生。辻褄が合わない。
当時の青年誌漫画なんてそんなレベルだと言えば、たしかにそうではある。脈絡なく唐突にエロに発展するだけで真っ当な起承転結など期待できないのが多数派だったからね。
とは言え、やはり腑に落ちない。特に猫娘については読者側独自の考察・補完が必要。
ちなみに、妖怪チームと試合するハメになった名門校野球部の監督は、サブタイトルから想像できるあの人に違いない(笑)。
『新ゲゲゲの鬼太郎』
『続鬼太郎』『スポーツ狂時代』と日々の生活に追われていた鬼太郎が、UFO事件を受けて目玉親父に言われて現場に本格復帰します。
とは言え、妖怪事件と言うよりはSF事件です。半分近くが宇宙人絡みの事案。
ここらあたりが、後の『新編』などとは違うところでしょうか。
※ 1「UFO宇宙突撃隊」
大事件が起きたのを受けて、ずっとだらしなかった鬼太郎をついに目玉親父が叱咤(いや、自分はどうだったんだよ……笑)。鬼太郎はセーターを脱いでチャンチャンコに戻す。
砂かけ婆ら仲間たちも登場するが、この第1話のみ。
それにしてもタコ形宇宙人とは連載当時でも古風な。
※ 2「タイムマシン」
チャンチャンコ姿の鬼太郎だけど、パチンコしてるし。
※ 3「ロケットハウス」
『ウルトラセブン』の「あなたはだぁれ?」だね。
※ 4「竹やぶの小人」
ねずみ男が地味にクズで迷惑な回。
爺さんにとっては疫病神だったわけで。
※ 5「火星人現わる」
こっちの外見も古風なBEMだな。
※ 6「エンバン実験」
ねずみ男が気の毒な回。
さすがに、これは災難だわ。
※ 7「不思議な家」
ある意味、これも一種のアブダクション。
用済みになった人が塵になって消えるのは、ほぼ隠れ里。
※ 8「猫町切符」
人間蒸発の真相をこうきたかー。さすが。
水木サンは同じテーマで何本か短編を描いておられる。
※ 9「宇宙人落下」
宇宙人も頭を使わないと地球で生き残れない。
※ 10「ムーン大王」
貸本版「水神様」そのまんま。
※ 11「狸ばやし」
ほぼ貸本版『河童の三平』の「大根畠の珍事」。
※ 12「メキシコの石」
試練タイプの妖怪と同類と言える。
頼まれて赤子をだっこするとどんどん重くなって、耐えきれないと圧死するとか、耐えきると褒美を授かるとか、耐えきっても喰われるとか。この手の妖怪は素人では良否の区別ができないんだよね。
※ 13「かくれ蓑」
おいおい。露骨にアレを描くなあ水木サン。
なんと、ねずみ男に妻子がいた?
※ 14「終末株式会社」
同じテーマの作品は、いろいろな作者が扱っておられる。
が、これの結末は流石ねずみ男。
※ 15「海坊主」
『サイボーグ009』の「海の底編」とか『ウルトラセブン』の「ノンマルトの挑戦」とか、このテーマは数多。
※ 16「奪衣婆」
妖怪が職場放棄って……。
※ 17「透明人間」
「七年ぶり」とのことなので、ここで暗躍した悪魔ベリアルは、あのベリアルなんだろうな。ホットケーキ好きのあいつ。
※ 18「悪魔博士」
そのベリアルの親戚筋が登場。
それにしても、鬼太郎はねずみ男に甘いよな。
※ 19「二人狸」
退治した妖怪を喰っちまうのは、『お化け旅行』以来だ。もっとも、あっちで倒した敵を喰ったのは、ねずみ男だけだったが。
※ 20「わんたん妖怪」
クズな仙人が多いな。
どいつもこいつも何のために修行してるんだか。
※ 21「影くい猫」
『影をなくした男』って短編小説があったよなぁ。
頑張って画面から影を無くしたんだろうけど、作画の無意識によるクセなのか、あちこちに残ってる(苦笑)。
※ 22「死人列車」
死んだ者は生き返らない。ということに尽きる。
赤ちゃんが指輪を握って産まれてくる「再生リング」というのは聞いたことあるようなないような。調べたけど判らなかった。
※ 23「つきもの」
「つきもの」は見たところ、たぶん管狐。
それを使う「つかい手のばばァ」は、ぬらりひょんとコンビ組んでた蛇骨婆によく似てる。
『大ボラ鬼太郎』
別に『新鬼太郎』の続編ということでもなさそうなのですが。
ただ、これが掲載された DON DON は『続鬼太郎』『スポーツ狂時代』『新鬼太郎』の週刊実話と同じ出版社の雑誌であり、また『新鬼太郎』に引き続きねずみ男と同居しているので、ここに感想を置くことにします。
鬼太郎がチャンチャンコの少年姿ですが内容が大人向けであり、また鬼太郎たちも妖怪退治より衣食住に重きを置いています。
第3話で、ねずみ男が「解決や」なる商売を始めます。何と、ねずみ男自ら「解決黒頭巾」となって活躍、鬼太郎は営業、目玉親父は顧問という位置付け。
この商売のおかげで、鬼太郎も毎日、美味しい物を食べている模様。やっぱり大人向けです。
絵、特に背景が簡素で、アシスタントを使わず、水木サンが独り好き勝手に仕事をなさったのかなと思います。絵柄が踊ってて楽しそうなんですよね。
タイトルの「大ボラ」とは、どういう意味だろう?
と考えて「従来の鬼太郎とは違う」という表明なんだろうか? と。
ひょっとすると、この鬼太郎は『新鬼太郎』のではなく、貸本版のその後なのかもしれませんね。コンビの空気感は佐藤プロ版とよく似ています。
とは言え、妖怪アンテナや髪の毛針も出てくるんですが(汗)。
※ 1「完全車」
この完全車は、アニメ第二期「死神と貧乏神」、その原作『サラリーマン死神』の「枯れ葉」に出ていた発明品「ゆりかごから墓場まで」そのもの。
さらに遡って、貸本版『惡魔くん』で、悪魔くんの父親の会社が開発していた新製品でもある。
結末は、むしろ「死神と貧乏神」からの逆輸入。
ねずみ男はともかく、鬼太郎もあっさり人殺しになっちまうあたり、凄いな。
※ 2「未来テレビ」
鬼太郎に家電品を作る能力があったとは。
確定した未来が判ってしまうなら、人生つまらんよね。
※ 3「〆切病」
これは怖い。かの手塚治虫先生も慢性化させていた難病だから。
解決方法が、ほぼ佛陀方式でブラック。
※ 4「夢男」
インキュバスやサキュバスとは微妙に違うのかな、夢男や夢女は。
ねずみ男も、これと似た経緯で妻子持ちになったしなぁ、『新編』で。
※ 5「横取男」
千年モノの猫又にしては、狙いがセコい。もっと大きな事やれよな。
その退治された猫又の死体が、何度見ても笑う。
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