悪魔くんの感想


 
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 悪魔くんは実は四人おられるのである。
 
 などと、夢幻魔実也について語る高橋葉介さんの言いかたを拝借しましたが。
 水木しげる作品群において「悪魔くん」と呼ばれるキャラクターは実際、四人います。それぞれ別人であり、うち三人については世界観も異なります。
 
 松下一郎
 
 山田真吾
 
 埋れ木真吾
 
 一万年前の先代(名無し)
 
 この四名ですね。
 以下、それぞれについてあれこれ述べることで作品の感想に代えようかと思います。
 
 
 
※ 松下一郎
 
 東考社の貸本版『惡魔くん』、週刊少年ジャンプ連載『悪魔くん復活 千年王国』、月刊少年ジャンプ掲載『新作悪魔くん 悪をほろぼせ!!』(『鬼太郎対悪魔くん』)、コミックBE!連載『悪魔くん世紀末大戦』の主人公。
 日本三大電気メーカーの一つ「太平洋電気」社長の御曹司で小学二年生。
 一万年に一人しか出現しない超天才(劇中では「精神的奇形児」「精神的異能児」)で、遙か昔から出現を予言されていた救世主。誰ともなく「悪魔くん」と呼ばれている。
 その知性ゆえ世を憂い、悪魔たちを召喚して世界の大革命を目論む。
 最終目的は、すべての人々が平等に幸福になれる世界「千年王国」を造ること……なのだが、そのやりかたが独善的で、目的のために罪のない人を犠牲にすることも厭わず、蛙男やヤモリビトという異形の部下を呼び寄せるため、家庭教師の山田と佐藤を次々と生け贄にした(ただし佐藤は辛うじて助かる)。しかも、悪びれず三人目の家庭教師を父親に要求する始末で、同志以外の人間の命を大切に思っている様子が一切見られない。父親のことすらバカにしている。
 貸本版のリメイク作品である『千年王国』では日本政府に対する独立宣言に留まらず、自衛隊や米海軍、ソ連軍と交戦までしており、世を救うというわりに人命を軽視するあたりの自己矛盾がやはり子供である。ヤモリビトのふりをして行動を共にしている佐藤が悪魔くんの言動に疑念を抱く根拠の一つが、この点である。
 貸本版では暗殺者の銃撃により死亡。その後、十年かけて統一した地獄から地上へと侵攻し鬼太郎と対決する(『鬼太郎対悪魔くん』)。死亡から三十四年経った 1997年に完全復活を遂げ、あらためて千年王国の樹立に向けて動き出す(『世紀末大戦』)。
『千年王国』では警官隊に射殺されるも、その数年後(三年後?)に復活、十二使徒および信奉者たちを再集結させる(所謂「おれたたエンド」)。
 救世主と言うよりは革命家あるいはテロリストの肩書きこそが相応しい人物である。
 が、復活した『世紀末大戦』では、一度は裏切った町田をそれでも仲間として認めたり、協力を申し出る父親に子供としての感情を垣間見せるなど、かなり寛容な性格になっている。死んでいる三十年ほどの間、天上界でいろいろ修行していたそうなので、その賜かもしれない。
 
 
※ 山田真吾
 
 週刊少年マガジン連載『悪魔くん』の主人公。
 小学生で、平々凡々な家庭の子供。
 天才児であり、平和で平等な世界を目的として魔法の研究に没頭している。そのせいか、あだ名が「悪魔くん」。
 ただし松下一郎のような独善家でも革命家でもなく、ごくごく普通の倫理観を持つ。しかも松下一郎に比べて、かなり抜けているので失敗も多い。
 悪魔メフィストを召喚し契約してからの行動は、メフィストの力を借りて悪い悪魔や妖怪を退治するという典型的な正義の味方、つまり『ゲゲゲの鬼太郎』そのまんま。
 これは同じ時期に並行して放送されていた東映の実写TVドラマ『悪魔くん』の路線と一致する(と言うかマガジン版を原作としたのがドラマ)。朝松健氏の評によれば「テレビ化を意識しすぎ」とのこと。
(なお、同じく山田真吾が活躍する辰巳出版『ノストラダムス大予言』は水木しげる名義でなく水木プロダクション名義であり『悪魔くん』とはパラレルらしいので、私自身が未読でしかも容易に本の入手見込みがなくわざわざ本気になって探すまでして読む気が起きないこともあって、ここではスルーさせていただきます。m(_ _)m )
 
 
※ うもれ木真吾
 
 月刊コミックボンボン連載『最新版 悪魔くん』(平成元〜2年に放送されたTVアニメ『悪魔くん』の原作)の主人公。小学五年生。
 メフィスト二世の力を借りて悪者退治。
 十二使徒を集めて世界の危機を救う。
 この、松下一郎と山田真吾の両方の要素を与えられた「悪魔くん」。ただし、性格も言動も山田真吾にかなり近い。
 実のところ、原作未読でアニメの視聴記憶だけで語っているため、これ以上のことは記せない。m(_ _)m
 
 
※ 先代の悪魔くん
 
 埋れ木真吾より一万年前に出現した悪魔くん。
 それ以上のことは知らない。(;^_^A
 
 


 
 それぞれの共演キャラについても、感想代わりに主観を書いていこうと思います。
 複数タイトルを跨がって登場するキャラについては、一括しておきます。
 
 
 
※ 佐藤
 
 松下一郎版に登場。
 一郎の父親が経営する大企業・太平洋電気の社員で、社長から直々に一郎の家庭教師を命ぜられたのが運の尽き。東大卒の大企業社員というエリート・コースから一転、魔物どもに付き合わされ引き回された挙げ句、最後には無一文で体を壊し惨めな姿に落ちぶれてしまう。貸本版の続編『世紀末大戦』では蛙男の台詞によって十年ほど前(1980年代半ば?)に死亡したことが明かされた。
 千年王国樹立のために十二使徒の一人・ヤモリビトの器となるべく悪魔くんの罠にかかり、体をヤモリビトに乗っ取られる寸前、フラン・ネールに助けられ、その対価として悪魔くんを探るスパイにさせられる。ために、表向きの姿と名はエピローグ手前までヤモリビトで、貸本版では第二使徒、『千年王国』では第三使徒として行動する。どちらでも最後には、イスカリオテのユダ同様、救世主を既存権力側にカネで売った。
 基本的には彼の視線で悪魔くんが描かれるため、貸本版および『千年王国』の、もう一人の主人公と言える。
 
 
※ 蛙男
 
 松下一郎版に登場。
 佐藤の前任の家庭教師・山田の体を乗っ取った第一使徒。劇中で誰よりも強く悪魔くんを敬愛する、謂わば悪魔くんの右腕的な存在。
 当初はゲロゲロと鳴いたりカエルそのものの顔だったりと不気味なキャラとして描かれていた。
 が、悪魔くんとの契約にノラリクラリと応じない悪魔をイラついて殴ったり、行方知れずとなった息子を探して旅している山田の父親をヤモリビト(佐藤)に諭されて慰めたり、エピローグでは裏切り者として探していた佐藤が落ちぶれていることに同情、彼が裏切りを後悔しているのを知ってあらためて仲間として迎え入れたり、さらには『世紀末大戦』でも亡き佐藤のことを同朋として偲ぶなどなど、本編中で最も人間味溢れる人物となっている。
『世紀末大戦』では、悪魔くんの死後、毛呂山と名乗りオカルト作家として大成功、その財力で悪魔くんの復活を目指していたらしい。
 
 
※ ふくろう女
 
『千年王国』に登場。
 梟を器として甦った秘術師。
 正確な魔方陣の作りかたを知る唯一の存在として、第二使徒に選ばれた。
 甦る際、生け贄の梟を見て「美人の体がいい」と悪魔くんに文句を言っていた。
 
 
※ ヨハン・ファウスト
 
「東方の神童」の出現を待って四百年(コマによっては三百年とも)を生きてきた魔法の大家。
 悪魔くんの悪魔召喚に力を貸して命を落とす。その際、悪魔を従わせる「ソロモンの笛」を悪魔くんに与えた。
 山田真吾版では、その後も魂となって悪魔くんを助ける。
 埋れ木真吾版では、死亡することなく「見えない学校」の校長として、悪魔くんたちをサポートする。
 歴史上のヨハンと言うよりは、ゲーテに代表される創作物の登場人物が元だと思われる。
 
 
※ ロソン
 
 貸本版、『世紀末大戦』に登場。
 悪魔くんが召喚した悪魔だが、大した力もなく口先のみ、ほぼ詐欺師なだけの低級悪魔。
 ソロモンの笛で従わされているに過ぎず、悪魔くんに傾倒したわけではない。なので悪魔くんの死を大歓迎、同じく解放されて喜んでいる佐藤を巧みに利用して経済界で大成功を収める。なお、用済みになった佐藤は、金品すべて剥ぎ取り捨てた模様。
 貸本版では終始「悪魔」と呼ばれており、『世紀末大戦』で初めて名前が「ロソン」であると明かされた。このときは多少の魔力を披露する。
 低級悪魔らしく、貸本版では蛙男に殴られてばかり、『世紀末大戦』ではロソン・コンツェルンの会頭になっているにも関わらずリリスに完全に尻に敷かれていた。
 とは言え、全編を通して一瞬たりとも信用してはならない相手であることは、まちがいない。
 
 
※ ベルゼブブ
 
『千年王国』に登場。
 基本的には貸本版のロソンに相当する。
 いちおうの第五使徒だが、もちろん悪魔くんを崇拝などしていない。
 貸本版ではエピローグで佐藤の台詞のみだった、悪魔が日本の経済界を掌握する過程を具体的に見せてくれたキャラ。
 また別荘番の妻を魔女に改造する、サタンと戦うなどなど、魔力もふんだんに発揮。
 悪魔くんを警察に売るよう、飴と鞭で佐藤をそそのかした。その後、佐藤にすべての責任を押し付ける腹積もりで社長の地位を与えるなど、かなり狡猾。
 
 
※ フラン・ネール
 
 松下一郎版に登場する印度の呪医。
 ヤモリビトに体を乗っ取られつつあった佐藤を救った。それを理由に佐藤に圧力をかけ、悪魔くんを監視するスパイに仕立てる。ちなみに、彼が佐藤に施したタマシイを用いた手術は、後の読み切り短編作品や『鬼太郎』で、のっぺらぼうが使う「霊形手術」と同類の手法で面白い。
 一方で、自ら悪魔くんのアジトに潜入しソロモンの笛を奪うなど、行動力も併せ持つ。
 貸本版では、佐藤をそそのかし、悪魔くんを警察に売らせた。
『千年王国』では、雇い主である八大仙人に、悪魔くんが「東方の神童」ではないかと疑問を投げかけ、もしそうなら敵対でなく協力すべきだと説いた。
 山田真吾版で、外見がそっくりの「パコダ」というインド人魔術師が同様にソロモンの笛を奪うが、こちらは単なる悪人だった。
 
 
※ 八大仙人
 
 松下一郎版に登場する、蓬莱島に住まう八人の大仙人。
 典型的な現状維持派で、世界の変化を望まない。それゆえ革命家の悪魔くんを危険視、フラン・ネールにソロモンの笛の奪取および悪魔くん抹殺を命じた。
 ただし『千年王国』では、悪魔くんと直接対面したことと、フラン・ネールの説得もあってソロモンの笛を返却、さらに最悪の事態を予測して予防策を施すなど、悪魔くんサイドに付く。
 
 
※ ロナルド・サタン
 
 松下一郎版に登場。
 表の顔はアメリカの石油王で、裏の顔は魔術師。スフィンクスの手下でもある。
 悪魔を召喚していいのは自分だけだと、悪魔くん廃除に動く。
 貸本版では、軍を動かし悪魔くんのアジトを砲撃させるも反撃に遭い、あえなく死亡。
『千年王国』ではベルゼブブとの魔法合戦に破れ、海を渡ってきたスフィンクスに助けられる。
 三千年前に地上に召喚された悪魔サタンの末裔で二百五十年も生きているとは、あくまでも本人の談。
 
 
※ ハワード・サタン
 
『世紀末大戦』に登場。
 ロナルド・サタンの息子。
 悪魔くん復活を知り、父親の敵討ちに来日した。
 ロソンを説得しようとして、あえなく返り討ちに遭う。
 
 
※ 松下太平
 
 松下一郎版に登場する、一郎の父親。
 貸本版および『千年王国』では太平洋電気の社長だったが、貸本版から三十四年後の『世紀末大戦』では太平洋コンツェルンの会長になっている。
 一郎の超天才ぶりを恐ろしいと思うと同時に、社会に馴染めそうもない息子のことをずっと気にかけてもいる。そのため凡人にすべく家庭教師を付けたことが、山田と佐藤の不幸に繋がる。
 貸本版エピローグによると、その後の太平洋電気はロソンに支配され、太平は傀儡社長になり下がっている。
『千年王国』では、ベルゼブブの奸計にはまり太平洋電気を実質的に乗っ取られ財産すべて奪われ膨大な負債まで背負わされ絶望したが、悪魔くんの思想に共鳴し第十一使徒となる。
 醜い姿に変わってしまった佐藤を切り捨てず、お詫びとして昇進を打診する。ハワード・サタンに恐喝されても悪魔くん暗殺に加担せず、その情報を危険を犯して一郎に伝える。などなど、心優しい人物。
 商売敵呪殺の謝礼を山本に渡していたが、呪いに限らずライバルを殺すという手段を選ぶような人ではない。あれはロソンの使い走りだったと思われる。
 
 
※ 別荘番
 
 松下一郎版に登場する、軽井沢に在る一郎専用の別荘の管理人。
 貸本版では、単なる傍観者に過ぎない。
『千年王国』では、「いらずの家」に閉じ込められたことから、なし崩し的に第七使徒に。
 
 
※ お花
 
 松下一郎版に登場する、別荘番の女房。
 亭主と同じく、貸本版では単なる傍観者で名無し。
『千年王国』では、亭主と一緒に「いらずの家」に閉じ込められたことから、なし崩し的に第八使徒になるが、ベルゼブブによって魔女にされ邪悪な心を持つ。
 
 
※ 警察官
 
『千年王国』に登場する、非の打ち処のない完璧な被害者。
 お花の通報を受け、悪魔くんを取り調べようとして逆に罠にかけられ、別荘番夫妻共々「いらずの家」に囚われることに。
 その後に悪魔くんに平伏、第九使徒となるが、あっけなく死亡。
 たぶんシリーズを通して彼を越える被害者はいないと思われる。
 
 
※ 幽霊
 
『千年王国』に登場。
 別荘番夫妻や警官よりもずっと前から「いらずの家」に閉じ込められていた。悪魔くんによると、もともとは研究室に住み着いていたそうで……研究の邪魔でもしたのかな?
 別荘番たち同様、成り行きで第十使徒となる。
 おそらく女性。みつ豆が好物らしい♪
 
 
※ 家獣かじゅう
 
『千年王国』および『世紀末大戦』に登場する第六使徒。
 石の建物に手足が付いた怪物。
 悪魔くんが邪魔な者を閉じ込めるための「いらずの家」として静かに活動していたが、悪魔くんが決起してからは移動基地の役割を担う。
『世紀末大戦』では巨大な球根状の胴体に多数の窓が付いた外見。と言うか、そもそも貸本版に家獣は出てこなかったのだが? ちなみに、この外見は埋れ木真吾版の家獣バウーと一致する。
『新編鬼太郎』に洋館の形をした家獣やじゅうという敵が登場するが、親戚筋なのかもしれない。
 
 
※ 占い杖
 
『千年王国』『世紀末大戦』に登場する第四使徒。
 使徒とは言うが、見たところ不気味な格好の杖でしかない。
 ただし、自分で移動するし、動きで喜びを表現するなど、自我がある模様。
 
 
※ 阿部切人きりひと
 
 松下一郎版に登場する、悪魔くんのクラスメート。
 大真面目かつ敬虔な優良児童で、悪魔くんにぶたれると反対側の頬を差し出すほど。
 貸本版では最後にキーマンとなる。
『千年王国』では第十二使徒として悪魔くんの革命に参加。
 
 
※ 琵琶法師
 
 松下一郎版に登場。
 蛙男の器にされた家庭教師・山田の父親。
 行方知れずになった息子を探して旅をしている途中、顔が変貌して途方に暮れている佐藤と出会い、友人の占い師を紹介する。
 
 
※ 佐久間道山どうざん
 
 松下一郎版に登場。
 友人である琵琶法師の紹介状を受け、佐藤を視た占術の大家。
 悪魔くんのことも十二使徒のこともヤモリビトのことも、すべてお見通しの恐るべき実力者。
 
 
※ 首相
 
『千年王国』に登場した日本の総理大臣で、連載当時の佐藤総理にそっくり。
 悪魔くんの独立要求を突っぱねたため自衛隊を壊滅させられるという大失策を取った挙げ句に逃亡して米海軍に助けられるという、『鬼太郎』の「妖怪獣」とほぼ同じルートを辿っている。この人、学習能力が無いらしい。
 ただ、自衛隊を襲う悪魔くん側の戦力が子供ばかりで「殺すわけにはいかん」と言うのは世間体だけではなく、大人としての心をちゃんと持ち合わせていたと思われる。
 
 
※ スフィンクス
 
 貸本版と『千年王国』に登場するエジプトのアレ。
 ロナルド・サタンの親玉で、貸本版では悪魔くん討伐のために動きだし太平洋を航行、悪魔くんの死を知ってそのまま引き返す。
『千年王国』では、窮地に陥ったサタンを助けるために太平洋を泳いできた。
 Pプロの特撮作品『スペクトルマン』に、スフィンクスが動きだして日本を襲撃するエピソードがあるが、『悪魔くん』に影響されたのではないかと個人的には思っている。水木翁は何においてもパイオニアなのだ。
 
 
※ 町田
 
『世紀末大戦』に登場。
 雑誌「オカルトBe」の編集で、オカルト作家・毛呂山の担当。
 過去の佐藤に代わる、今回のユダ役。
 だが、流れの中で良心の呵責が生じ、最終的には悪魔くんに味方し、使徒として迎え入れられることに。その際、自分には使徒の資格などないと固辞していた。
 典型的な“巻き込まれ型”のキャラ。
 
 
※ 山本さんもと魔州ましゅう
 
『世紀末大戦』に登場。
 怪しい密教である隠言教の大管長。
 その大寺院が永田町にあるほど竹久政権とガッチリ繋がっており、首相の政敵を次々と呪殺しては報酬として大金を得ている呪い屋。
 自分こそ唯一絶対のメシアだと確信し、悪魔くん抹殺に動く。
 その自画自賛ぶりと俗物ぶりは『新編鬼太郎』の鬼道衆と大差ない。
 
 
※ 灰努羅はいどら
 
『世紀末大戦』に登場。
 山本の一番弟子である尼僧だが、どう見ても“くノ一”。
 山本の命令で悪魔くん暗殺に動いていたが、実は純粋な心の持ち主で十二使徒の一人であることが視鬼魅によって明かされる。
 悪党である山本に服従していたのは、それが正義と信じていたからだと思われる。
 
 
※ 視鬼魅しきみ
 
『世紀末大戦』に登場。
 二千年ほどを、メシアを待って眠りについていた十二使徒の一人。
 老子、孔子、孟子を弟子に持ったほどの偉大な予言者。
 町田と灰努羅が十二使徒であることを悪魔くんたちに伝えた。
 三十四年前に目覚めなかったのは、そのときの結末も予見していたからだろうか。
 
 
※ ウラエウス
 
『世紀末大戦』に登場する聖蛇。
 十二使徒に数えられてはいないが、悪魔くんを「東方の神童」と呼び、その意志に従うと宣言しており、潜在的な十二使徒と言える。
 
 
※ リリス
 
『世紀末大戦』に登場。
 経済界のトップとなったロソンを裏で支配していた女教皇。
 彼女自身は悪魔でなく魔術師なので、それに頭が上がらないとか助けを求めるとか、ロソンの下級悪魔ぶりがよく判る。
 
 
※ 竹久総理
 
『世紀末大戦』に登場。
 山本に依頼して政敵を次々と暗殺し、政権安泰を謀っている腹黒政治屋。
 悪魔くん復活の動きを知らされて「よりによって自分の就任期に」と、国民そっちのけで自分の損得しか考えていない。
 実力で総理になったわけではなく、その邪心に目を付けた地獄の四王子の支援を知らぬままに受けていただけの小者。四王子からの悪魔くん討伐への協力申し出をあっさり受けるほどに性根の腐りきったクズ。
 ついでに、人には言えない下劣非道な趣味の持ち主でもある。
 などなど、とうてい人の上に立つような器でないだけでなく、人間として最低。『千年王国』の首相のほうが桁違いにマシ。
 ちなみに、某「ウィッシュ」な人の爺様で消費税を成立させた我々庶民の仇敵と見た目が、よぉく似ている。
 
 
※ メフィスト
 
 山田真吾版に登場。
 初登場したシーンでの言動は、いかにも悪魔らしくロソンやベルゼブブとほぼ同じく威張っててガメツイ。
 その魔力は万能多彩で、今で言うスーパーヒーロー級。鬼太郎とガチ対決したら、どちらが勝つか興味深い。
 悪魔くんの主戦力と言うより唯一の戦力となるが、ドラマ版と違って悪魔くんに好意などカケラも持っておらず、悪魔くんがソロモンの笛を紛失したときも、最終話でも、あっさり悪魔くんとサヨナラした。
 キャラクター・デザインは、松下一郎版のヤモリビトそのもの。あちらで名前ばかり出て自身はフラン・ネールに殺されただけのヤモリビトを不憫に思った水木サンが、こちらで粗品(活躍の場)を与えたのかもしれない。
 
 
※ 百目
 
 山田真吾版のマスコットあるいはヒロイン(笑)のような存在。
 父親の百目を殺されて身寄りがなく、悪魔くんの家……ではなく犬小屋に居候したり、悪魔くんと一緒にランドセルしょって小学校に通ったりと、水木ワールド全開のキャラ。
 妖怪だが、まだ子供のため特筆するような能力はない。
 
 
※ ひん
 
 山田真吾版に登場する、悪魔くんのクラスメート。
 物語の冒頭では、松下一郎版の蛙男同様に、深夜に悪魔くんの部屋を訪れて密談したり、悪魔の召喚を手伝ったりする。
 外見も、蛙男をそのまま若くした感じ。
 
 
※ 情報屋
 
 山田真吾版(と埋れ木真吾版)に登場する、悪魔くんのクラスメート。
 こいつがいないほうが悪魔くんの世直し活動が上手く進むんじゃないかと思えるほどの典型的なトラブルメーカー。
 本人に悪意が無いだけに始末が悪い。
 
 
※ 魔女
 
 山田真吾版に登場する、メフィストの親戚。
 出番は少ないが、その活躍ぶりはメフィストを上回る濃さ。推測だが、メフィストより魔力が強いのではないかと。
 最終話で、百目を養子に引き取るなどなど、物語にきっちり幕を引いた人物でもある。
 
 


 
 以下に、各タイトルの収録本を。
 
 なお『鬼太郎』のところでも申しましたが、全作品コンプが目的なら講談社の
『水木しげる漫画大全集』
 が最強確実です。念のため。
 
 
 
『悪魔くん 貸本まんが復刻版 角川文庫
 
 『悪魔くん 貸本まんが復刻版』
 
 東考社版の『惡魔くん』が収録されています。
 同じく角川文庫の『墓場鬼太郎』同様、カラー頁も復刻されており、資料的価値もあります。
 
 
 
『悪魔くん』 ちくま文庫
 
 『悪魔くん』
 
 週刊少年マガジン連載のほうの『悪魔くん』を収録しています。つまり、山田真吾版ですね。
 東映による実写ドラマ『悪魔くん』の原作に相当します。
 ちくま文庫ですので、初出情報は載っていません。
 
 
 
『悪魔くん千年王国』 ちくま文庫
 
 『悪魔くん千年王国』
 
 東考社版をリメイクした、週刊少年ジャンプ連載の『悪魔くん復活 千年王国』を収録しています。
 ちくま文庫ですので、初出データなしです。
 
 
 
『コミック怪 vol.01』 角川書店
 
 『コミック怪 vol.01』
 
 かつて月刊少年ジャンプに発表された読み切り短編『新作悪魔くん 悪をほろぼせ!!』(『鬼太郎対悪魔くん』)が転載されています。
 ただ、この本の目玉は、巻頭を飾る京極夏彦氏の『魍魎の匣』コミカライズ第壱話でしょうね(笑)。
 
 
 
『悪魔くん世紀末大戦』 チクマ秀版社
 
 『悪魔くん世紀末大戦』
 
 貸本版の続編として、コミックBE!に連載された作品です。
 ですが内容的には貸本版だけでなく『千年王国』の要素も混じっており、制作サイドの混乱が見て取れます。
 なお、水木翁ご健在中の本であるにも関わらず、奥付によるとコピーライトは水木プロ名義になっています。
 企画原作が朝松健氏ということから水木翁が遠慮なさったのかもしれませんし、制作そのものが水木プロ主導だったのかもしれません。
 そう考えると、何となくですが『新編鬼太郎』や『鬼太郎地獄編』などと共通する空気感があるようにも思えてきます(こっちは水木翁名義ですが)。どちらもタチキリが多用されていますし。
 カバーを外すと、こうなります。
 
 『悪魔くん世紀末大戦』
 
 連載当時の扉絵でしょうか。同じ絵が、光文社コミックス『悪魔くん 世紀末大戦』のカバー絵に使われています。
 他に徳間書店からも単行本が出ていたようですが、残念ながら 2021年現在、『漫画大全集』を除き、すべて絶版と思われます。
 
 


 
 
 
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