コスモドラグーン
(タイトー)



 
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 コスモドラグーンは、松本作品世界における銘銃と位置づけられています。
 設定によると宇宙にたった四丁しかなく、作者のトチロー、ハーロック、エメラルダス、そしてトチローの母親から譲り受けた星野鉄郎の四人が所有している、とされています。
 まあ、この設定には、読者の立場では色々と異議ありなんですけどね。それは、また後で。
 
 名称からも判るとおり、デザインは実銃であるコルトM1848ドラグーン・モデルを元にしています。
 ただし、そこに松本氏独自のアレンジ、と言いますかパーツが付加されており、独特のシルエットとなっているのは、ご承知のとおりでしょう。

 
© 松本零士・東映アニメーション
 
 
コスモドラグーン
 まずは全体像。
 これまた大人向けのサイズです(握ってみて、少し小さい気もせんではないですが)。

コスモドラグーン
 白状しますけどね(笑)。
 少年キング版『銀河鉄道999』に初出のときから、これは憧れの銃器でした♪

コスモドラグーン
 銃口部分です。

コスモドラグーン
 銃身部分です。

コスモドラグーン
 チャンバー付近です。
 実銃のドラグーン・モデルでは弾丸装填用のローディング・レバーに当たる、銃身下部の再現が素晴らしいですね。不可動なのに触れば動かせそうで。
 なお、コスモドラグーンのこれが何の役割をするパーツなのかは不明です(笑)。

コスモドラグーン
 レシーバー部分です。
 
 シリンダーが回転します、この商品(ロックはされず、不安定な空回り状態ですが)。
 設定でもそうなのかどうかは知りませんが、そもそも実弾を撃たない宇宙銃なのにシリンダーが回る必要があるんでしょうか。つか、シリンダーである必要すらない気がしますね。実際、初出のときのデザインは回転しなさそうでした。
 
 また、トリガーにはスプリングによるテンションがかけられており、引くと心地良いです。
 残念ながら、後部に突き出たボルトは動きません。

コスモドラグーン
 グリップです。木目調が、なかなか♪
 これも初出では、海賊マークはありませんでした。
 と言いますか、そもそも宇宙海賊の銃器という設定ではなかったと思います。初出の呼称は「宇宙戦士の銃・コスモガン」でしたから。
 個人的にも、髑髏マークはデザイン的に余計だと思います。

コスモドラグーン
 後方から。
 実銃ではハンマーがある位置に、前後に動く(という設定の)ボルトがあります。
『銀河鉄道999』にて、999号をトレイン・ジャックした盗賊アンタレスが、このパーツに親指を挟まれた痛さで涙をこぼしてましたっけ(笑)。
 松本氏は各デザインで共通して、このボルト方式を採用しておられます。重力サーベル然り、『宇宙戦艦ヤマト』のコスモガン然り、果てはヤマトの艦首波動砲用発射トリガーまで♪
 元は大日本帝國軍の十四年式自動拳銃、さらに遡って南部式自動拳銃の構造を模しているんでしょうね。
 
 しかし、このボルトがある以上、シリンダーが回転する必要も、と言うか回転できる余裕がないと思うんですけどねー。

コスモドラグーン
 
コスモドラグーン
 
コスモドラグーン
 上から、トリガー上、シリンダー前、バレル上の、それぞれ刻印です。「2979年1月25日 タイタン・ぶどう谷」ということですね。
「ぶどう谷」というのは原作エピソード「タイタンの眠れる戦士」(鉄郎が老婆からコスモガンを譲り受ける話)に出てきた地名ですが、これ、メーテルを攫った戦士崩れの盗賊どもが巣窟にしている場所のはずなんですけどね、「ぶどう谷の戦士」って言われて地元で恐れられている存在……。
 ちなみに劇場版第一作が公開されたのは、1979年です。

コスモドラグーン
 シリンダーの刻印です。「1」とあります。
 これはトチロー所有の銃を示しているそうで。
 タイトーのプライズでは、他に2〜4までもちゃんとあるそうです。
 妖之佑は、この“刻印遊び”に興味はありませんから、別に何番でもよかったのです(苦笑)。

 
 コスモドラグーン、重力サーベルともに素晴らしいデザインだと思います。できれば『宇宙戦艦ヤマト』のコスモガンも商品化していただきたいところですね。
 コスモドラグーンは、かつてモデルガン・メーカーのマルシンから出ていたのですが。ベースが同社のモデルガン、コルト・シングル・アクション・アーミー(俗に言う「ピースメーカー」)だったことが、かなりの違和感でした。ぶっちゃけ、見た目が変っ!
 さらにその前に同じくマルシンからABS製の品も出ていた気がしますが、これは子供向けサイズだったように記憶しています(同シリーズにガンダムのビームライフルがあったはず)。
 つまり、このタイトー版が、妖之佑にとって初めての納得のコスモドラグーンということなのです♪
 
 設定上はトチロー、ハーロック、エメラルダス、そして鉄郎の四人が所持しているわけですが。
 この銃をメインに使うのは実のところ鉄郎だけですよね。
 ハーロックは撃つにも重力サーベルですし。エメラルダスはマガジン版を見る限り、これとは別種の短銃を用いています。トチロー本人もマガジン版『エメラルダス』の中で「射撃が下手」だが「重力サーベルは得意中の得意」と言っていますから、コスモドラグーンを使うことはなかったと思います。
 
 以下、やたら長い余談です。
 さしてご興味のないかたは、スルーなさったほうがよろしいかと。(;^_^A
 
 
 
 キャプションでもお察しのとおり、妖之佑はデザインを誉めてはいますが、設定についてはあれこれ不満があります。
 
 まず、コスモドラグーンをトチローの手作り品とした点が承伏できません。
 反復になりますが、この銃の初出は少年キング版『銀河鉄道999』で、999号が土星の衛星タイタンに停車したときの「タイタンの眠れる戦士」というエピソードです。
 タイタンで下車してすぐに、ぶどう谷の戦士にメーテルを攫われ負傷した鉄郎は、見ず知らずの老婆に助けられるわけですが。
 メーテルを助けに行くと言う鉄郎に、老婆は帽子とマント(これ以降の鉄郎の定番スタイルとなりますね)と、そして一丁の銃を貸し与えてくれました。それが宇宙戦士の銃・コスモガン。「銃なら持ってる」と断る鉄郎に「あんたのはオモチャさ」と切って捨てるほどに、その威力が絶大なのは闘いの結果で明らか♪
「これ、助かったよ」と返そうとする鉄郎に「あんたにあげるよ」と言って、銃の由来を語る老婆。それによると、何十年も昔に亡くなった老婆の息子さんの形見だということです。この回の扉に描かれたシルエットがそうなのでしょう。ええ、はっきり言って、トチローとは体型が違いすぎます(笑)。時系列的にも老婆の息子さんが、そして銃の作者がトチローであるはずがありません。
 さらには、その威力を目の当たりにして驚愕する、ぶどう谷の戦士の一人が「戦士の銃をどうして?」とつぶやいたり。あるいは999号をジャック、鉄郎のボディ・チェックをした盗賊アンタレスが言った「宇宙戦士の銃じゃねえか! こりゃあ本物だ!」という言葉。これらからすると、宇宙戦士の銃は珍品ではあるものの、けっこうその筋では知られた品であり、しかも偽物まで流通しているということが判ります。さらに、アンタレスの台詞から、アンタレスは本物も見たことがある。到底、全宇宙に四丁しかないハンドメイド品なはずはありません。
 アンタレスが鉄郎に「おまえのこの銃は長いこと撃ってなかったな。そう、三十年くらい」という言葉からも、時系列的にトチローの存在が宇宙戦士の銃の設定に入り込めないことが裏付けられます。
 タイタンの老婆をトチローの母としたのは、劇場版第一作の罪だとすら、妖之佑は思っていますよ。はい。
 
 構造上については、シリンダーが回転すること、銃身下のローディング・レバー形状、この二点が不満ではありますね。バレル上部の形状から、どう考えても狙いが付けられない点も問題かな。ああ、あと髑髏マークも。
 特に回転はしなくていいんじゃないかと(笑)。
 
 都合だけで既存の設定がコロコロ代わったり、後設定がどんどん追加されるところ(コスモドラグーンの設定、銀河鉄道運行規則の内容、アルカディア号が三番艦まである、等々)とか。
『999』『ハーロック』『エメラルダス』ばかりか『ヤマト』まで同一世界での物語としてしまうところとか。
 はっきり申し上げて、松本氏が「SF漫画家」を自称されるのは、作風と対比させていささか不釣り合いではないかと思います。もちろん、作品がつまらないとか、そういう意味ではありませんがね。
 
 
 何だかんだ申しましたが。
 松本デザインは好きですよ。ええ。

 

 
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