おみやげ
作 妖之佑
「ほらよ」
男は腰にすがりつくオカッパの少女に、持っていた、まあるい物を手渡した。
「わぁい♪」
少女は、大喜びで両手で受け取ると、それをもてあそび始める。
「さあ、帰るか。母さんが待ってる」
少女の持っていた真紅の傘を差し上げた男は、そう言った。
「ひとーつ、ふたーつ、みーっつ……」
少女は歩きながら、まあるい物を宙に放っては受け、放っては受けしていた。
――気に入ってくれたか。採ってきて良かった。
男は思い、我が娘を見つめた。少女は無邪気に遊び続ける。
そんな二人を、宙に舞っているまあるい物の二つのまなこが、恨めしそうに睨んでいたのである。
2001年6月13日に笑う満月さんに進呈したものを、あらためてここに掲載させていただきました。
掲示板での会話から派生したお遊びだったのです(笑)。
2007.8.7.
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