『ウルトラＱ』

　この作品こそ、日本の特撮作品の未来を決定付けた、と言っていいのではないかと。
　映画『ゴジラ』で、その名を轟かせた円谷英二監督。彼が指揮を取るＴＶシリーズというのは、それだけで快挙だったと思われる。
　言ってしまうと、U.S.A. の『One Step Beyond』（邦題『世にも不思議な物語』）や『The Twilight Zone』（邦題『ミステリーゾーン』）や『The Outer Limits』（邦題『ウルトラゾーン』）のパクリ。少なくとも企画自体は、タモリさんと同列（笑）。
　が、そこに特撮の神様である円谷英二さんが関わることで、その映像完成度がトンデモ御殿なものとなる。映像の出来だけ見れば、北米の作品群はゴミカス。
　我々の知る世界は実は微妙なバランスのうえに成り立っていて、そのバランスが少し崩れると？　……という「アンバランスゾーン」の考えかたが素晴らしい。中でも、いちおうの最終話とされている「あけてくれ！」は秀逸。
　当初、ＳＦアンソロジーとしてスタートした『アンバランス』が局の注文によって巨大怪獣モノ『ウルトラＱ』へと路線変更したのは、歴史上の大分岐点と言える。局の意向を無視して従来路線のまま進んでも、後の世に語り継がれる日本製ＳＦアンソロジーの名作となったはず。が、そのルートを進んだ場合、ウルトラマンは歴史上に存在しないことに（汗）。
　結果として局の言いなりになったのは正解だったのかな。最近は、そう思うようになった。怪獣が出ない怪奇ＳＦな『Ｑ』も、もっともっと観たかったけどね。え？　『星の伝説』？　『dark fantasy』？　出がらし茶になんか興味ないよ。

『ウルトラマン』

　語るまでもなく、日本の巨大変身ヒーローのテンプレを構築した偉大なる作品。
「ウルトラシリーズ」でなく「ウルトラマンシリーズ」と認識している層には知る由もないことだが、実はこれ、『ウルトラＱ』のストレートな続編である。世界観もしっかり統一されており、『ウルトラＱ』の“その後”が描かれている。ラゴンやケムール人を皆がすでに知っていたり、タイトルロゴが「ウルトラＱ」をぶち抜いて「ウルトラマン」になるのも、その顕れ。
　ついでに言うと、これに出てくる科特隊は、以降のウルトラ警備隊などとは違い、軍ではない。「科学特別捜査隊」の名称に見られるとおり捜査機関。劇中の石坂浩二さんの語りによると「パリに本部を置く国際警察機構」（たぶん I.C.P.O. を意識してるね）に属する怪奇事件専門の部署とのこと。だからハヤタたちは（いちおう）警察官なのだよ。国境を越えて活動するので「国際警察官」とでも言えばいいのかな。なので普段はブレザーだし、戦闘服でもネクタイ着用なのよね♪　ウルトラマンも宇宙警備隊の隊員で、犯罪者ベムラーの護送中に地球へ飛来したから、職としては相通ずる。
　ところがぎっちょん。科特隊は、軍隊である他の怪獣退治チームを差し置き、単独での敵撃破数が一位なのだよ。ハヤタがイデに「科特隊がウルトラマンを助けたことだってある」と言ったのは伊達じゃない。
　ウルトラマン、怪獣、星人、制服、メカ、基地と、ほぼすべてのデザインと造形を成田亨さんが担った（主役機のジェットビートルは成田さんのデザインでなく、映画『妖星ゴラス』で使われた模型を流用）。これも何げに凄いこと。
　ちなみに、ムラマツ・キャップを演じられた小林昭二さんは『Ｑ』から『Ａ』までの円谷ウルトラすべてにゲスト出演されているうえに、『セブン』の後番組である円谷作品『怪奇大作戦』では、ふたたびレギュラー入りなさっている。
　フジ・アキコ隊員の桜井浩子さんは前作『Ｑ』でもレギュラー出演。『セブン』と『怪奇』にはゲスト出演されている（この二回、ともに実相寺監督なんだよね）。
　アラシ隊員は言わなくてもいいよね？　座布団一枚。
　イデ隊員は、気の毒にもノンマルトによって海の藻屑に……。
　ウルトラマンの内臓は、めでたくウルトラ警備隊に転職♪
　岩本博士も地球防衛軍に転職、さらには七曲署に転職してるし♪
　ハヤタ……ああ、彼だけ、いやホシノくんとともに消えたのか。それで、やさぐれてゴルゴムに参加したのか（笑）。
　警察や消防のように、市民が怪獣や星人を見かけた場合の科特隊直通の緊急ダイヤルも設定されている。番号は某・銀河鉄道の超特急。

『ウルトラセブン』

　元々の企画では『ウルトラマン』の完全続編になるはずだったらしい。過去にウルトラマンと闘った怪獣たちも登場する予定だったとのことで、つまりは第二期ウルトラシリーズのようになるはずだった。
　ところが蓋を開けてみれば、物語を観る限りは『ウルトラマン』との世界観が違いすぎる。共通するのは「ウルトラ」という単語と「M78星雲」という名称のみ。
　なので、個人的意見となるが、『ウルトラセブン』は『ウルトラマン』とは違う世界線上にあり、M78星雲も名前が同じだけで別の存在だと思われる。例えるなら『ウルトラマンメビウス』までのウルトラの系譜と『ウルトラマンマックス』との距離感みたいな感じかな。いわゆる“平成ウルトラセブン”の存在が、この説を裏付けてくれる。“平成ウルトラセブン”では、セブン＠ダンが地球を去って後、ずっと地球を守り続けてきたのは地球防衛軍ウルトラ警備隊であり、この世界にはＭＡＴもＴＡＣもＵＧＭも存在しなかった。もちろん父も母もタロウも来てないし、ダンが最弱組織の隊長に就任した事実も髭を生やした事実もない。キング？　何それ？
　妖之佑としては、この解釈のほうがＳＦ色も濃くなって断然良いと思う。今になってみれば、『帰ってきたウルトラマン』で無理矢理にマンとセブンの世界をくっつけてしまったのは松本零士的な失策だとすら思う（商業的には成功なんだろうけどね）。
『帰マン』〜『レオ』、あるいは“平成ウルトラセブン”により生存が確認されたセブンだが、『ウルトラセブン』単独で解釈するなら、あの最終話の直後（あるいは最中）にセブンは死んだとするのが妥当。満身創痍で辛うじてパンドンを倒したセブンが M78星雲まで飛行できるはずがない。フラフラのセブンが、それでも飛び立ったのは、寿命を悟った猫が姿を消すのと同じ。だからこそ、夕焼け空にダンの笑顔が大きく浮かび上がる。あれは遺影であり、警備隊の仲間たちがダンを想う告別式のシーンなのである。
　ウルトラシリーズ中で最もハードＳＦだとする評価は極めて正当。
　何度か登場したステーションＶ３のクラタ隊長は、後にアップルのマイティジャック隊長に転職、さらに後にＭＡＴステーションへ転属なるもベムスターにステーションごと喰われてしまう……。
　ＭＡＣ隊長となった未来、昔の風来坊姿で地球に再来した未来、時空生命体を倒した後にアンヌと再会した未来など、いくつもの世界線を歩んだダンだが。最凶の世界線は、やはり人類基盤史研究所BOARD を設立しアンデッドと融合した未来だろう（爆）。

　

『怪奇大作戦』

『ウルトラＱ』が怪獣モノに路線変更したため不完全燃焼に終わった怪奇ＳＦ部分を復活させた作品なのだろうと解釈している。
　ただ、この作品で言う「怪奇」は基本的に劇中の最先端科学で説明できる（一部に例外あり）。思いっきりザックリ例えると、山田と上田と、ついでに矢部がドタバタするドラマの、あの路線ね。
　平成になってリメイクやリブートされているので説明不要だろうが、いちおう。
　科学の発達によって犯罪が巧妙化。従来の捜査に限界を感じた腕利きの鑑識さんが警察を辞職、科学調査によって完全犯罪を暴く私設組織ＳＲＩを設立し、警察に協力して怪奇事件の真相を究明する。
　というのが基本ストーリ。ＳＲＩを貧乏欠食手品師に入れ替えれば『TRICK』になるワケ♪
『Ｑ』から雑誌ムー的要素を排除したとも言えるので、その点が実は不満。とは言え些細なことだけどね。
　ともあれ、本当の意味での「アンバランスゾーン」は、ついに復活することなく現在に至る……（円谷は後年、『恐怖劇場アンバランス』という作品を世に送り出したが、残念ながら妖之佑を満足させるレベルのものでは到底なかった。この頃の円谷自体、以前の円谷ではなかったから仕方なかろ）。

　

『マイティジャック』

　U.K. の名作『サンダーバード』のメカ・シーンに触発されたのが『ウルトラセブン』のウルトラホーク発進シークエンスであることは誰でも知っていると思われ。
　だが、円谷はそれに飽き足らず、メカを主役にした大人向け作品を作ってしまう。それが、この『マイティジャック』。マイティジャックが官営でなく、大企業のオーナーが悪の組織に対抗すべく自主的に設立した民兵だとする点も、ジェフ・トレーシーが私的に作った国際救助隊の真似ッ子。
　デザインに円谷作品に欠かせない成田亨さん、音楽に富田勲さん、主演に日活スターの二谷英明さんという盤石体制！　しかも大人向けということで、北米のＳＦ作品群に倣ってか、一時間番組という贅沢ぶり。
　たしかに、万能戦艦マイティ号（ＭＪ号）と艦内に格納されたメカ群は素晴らしい。でも、それだけ。本当に、それだけ。
　ストーリがねぇ、あるようでないようで……内容が無いよう？　それが一時間もあるから、水で割ったジュースか牛乳みたいに薄っ。
『サンダーバード』は国際救助隊による人命救助という基本骨格があるので、それに沿ってメカの活躍を描けば成立する。
　しかし『ＭＪ』では敵として秘密組織「Ｑ」を置いたがために、かえって動き辛くなった印象がある。そもそも、万能戦艦を操るＭＪの面々が普段は本業を持っていて、しかも諜報活動や潜入捜査までする、というのに無理がある。「ジャック」ということでメンバーを十一人にしたのだが、それならそれで、ＭＪ号搭乗、兵器開発・鑑識、拠点での指揮、連絡係、潜入捜査・護衛などと完全な役割分担をすれば良かったのに。そうしとけば、二谷氏が齟齬からの不満からの反抗期に至ることもなかったのではないかと（二谷氏についてはスターとしての自尊心が強すぎたきらいはある。が、それを考慮したうえでの出演オファーを円谷側がきちんとしていたのかどうかも疑問）。キャラそれぞれで分業しない限り、諜報活動と戦艦戦は両立しないよねぇ、普通……。
　ちなみに、とある消息筋によると、このＭＪに死神博士が潜入していたらしい♪
　ＭＪ号は、豪天号に並んで歴史に残る名艦。これは、まちがいない！

『戦え！マイティジャック』

　設定や現場のアンバランス（まさか、これもアンバランスゾーン!?）さが仇になって１クール打ち切りを喰らった『マイティジャック』のセットをそのまま流用した作品。設定や配役も一部、継承されているものの、基本的には別世界の別物語。
　要するに子供番組に修正したということ。なので怪獣も出るし宇宙人も出る。地球侵略を成功させかけたゴース星人の親戚筋も出るし、モロボシ・ダンも出た（笑）。
　でも、ウルトラに比べると魅力に欠ける。子供向けなのに明確なヒーローがいないのは致命的。しょせんは失敗作の尻ぬぐいを目的とした二番煎じか。

　

『帰ってきたウルトラマン』

　前作の（と言うには何年か跨いでいるが）『ウルトラセブン』同様、最初は『ウルトラマン』の完全続編として企画されたそうな。
　ウルトラマンが去って後、怪獣も星人も姿を見せず平和になったのを受け、科特隊は役割を終えたという理由で解散させられた世界（この時点で『セブン』は並行世界扱いだよね）。当然、そーゆー状況になったからこそ怪獣が喜んで出現して暴れまくる（笑）。科特隊のない人類には為す術もない。老いて一市民となったムラマツが悔しがるところに、ウルトラマンが登場し、怪獣を倒して飛び去る。
　というのが企画段階でのストーリ案だったらしい。つまり、ウルトラマンは科特隊とともに闘ってくれた、あのウルトラマンであり、まさに「帰ってきた」のである。
　ところが、実際の作品ではウルトラマンは別のウルトラマンで、過去に科特隊が存在したかどうかすら不明。デザインも成田さんではないため世界観の統一性が見られない。いったいどこが「帰ってきた」のやら？
　それはともかく。特撮の神様を失った円谷プロの限界というものを感じさせられる作品ではある。ご長男の一監督は頑張ったと思う。意欲的で冒険的な回もあった。が、やはり神様の仕事には届かなかった。
『マン』や『セブン』での成田さんは、低予算の中で着ぐるみの使い回しを、そのデザイン感性で見事にカモフラージュしたし、着ぐるみの造形そのものも美術作品クラスだった（ゴモラの角の質感とか素晴らしい）。それに対して『帰マン』の造形スタッフの力量では低予算に抗えなかったようで、デザイン画を生かしきれない残念な怪獣群を量産してしまった。バルタンJr. とか養殖物のゼットンとか、もう醜悪ってレベルだったよね。成田さんが凄すぎたと言えば、そうなのだが、何と言うか現場が「しょせんジャリ番」という甘えを持っていたように感じる。そんな甘えが汚い特撮画面に見え隠れした。神様の丁寧な光学特撮とは雲泥の差であり、そりゃ幻滅するってば。
　途中、セブンからブレスレットの支給を受け、兵器を使う初のウルトラマンとなる。この瞬間、ウルトラマンは未知の超人から「単なる強い宇宙人」へと格下げされた。そもそも超人であるウルトラマンは自らの能力のみで充分に闘える超絶的存在であり、兵器に頼るような俗物ではない。にも関わらずのこの体たらく。二期のスタッフの浅ましさが見え隠れする。
　こう言うと「セブンだってアイスラッガーを使うじゃないか」と阿呆な反論が出てくるだろうが。アイスラッガーはセブンの超能力でのみ運用できる代物で、アイスラッガーの破壊力はセブンの力そのもの。ガッツ星人を倒した「ウルトラノック戦法」が典型的。なので、体調不良だったパンドン戦では、セブンはアイスラッガーを満足に飛ばせず、手に持って闘わざるを得なかったのである。
　対して、ウルトラブレスレットは帰マンの能力を反映するものではなく、それ自体がとてつもない超兵器。対ベムスターのリベンジ戦は帰マンが強くなったのではなく、ただ強い武器を持ってきて仕返ししただけのこと。アイテムが ver.アップする平成ライダーみたいな、あるいは、のび太くんみたいなもんだね。根拠は、ゼラン星人にブレスレットをハッキングされた事実。あのとき、制御を奪われたブレスレットは帰マンを苦しめ続け、あわやというところまで追い詰めた。セブンのアイスラッガー同様、ブレスレットが帰マンの能力に応じて力を発揮する物なら、あり得ない現象である。
　ちなみに、ＭＡＴの初代隊長は後にスカイライダーとスーパー１を支援している。科特隊のキャップが本郷たちを助けたこととの妙なシンクロであり面白い。ついでに、ＭＡＴの二代目隊長はウルトラの母を嫁さんにしてるんだぞ、凄いだろ（爆）。
　そして劇中、悲劇的な最悪の別れとなった郷秀樹と坂田アキだが、後々に夫婦となり黒井ミサを授かることに♪

『ウルトラマンＡ』

　円谷のウルトラシリーズとしては初の「固定化された敵組織」という存在が大きかった。異次元人ヤプールは、前期を引っ張ってくれた立役者だと思う。連中の用いる生体兵器が「超獣」。怪獣より強いそうだ。
　元々の企画段階では、制作が従来のウルトラマンから離れようとしたらしく。それまでの M78星雲の宇宙警備隊ではなく、Ａは銀河連邦の所属という設定（この名称は第一話と主題歌の歌詞に出てくる）。歴代とともに登場だったので、あるいは宇宙警備隊が改称したのかもと思うものの、後の作品設定でゾフィーが「宇宙警備隊隊長」とされていたりで、どうにもこの「銀河連邦」というのが宙ぶらりんで終わった印象。
　男女の合体変身というのも異質だったし、初期設定のＡは全高九十メートルあったそうなので、それまでの全高四十メートルのウルトラマンたちと違う者として考えられたのは明らか。元々決まっていたタイトルは『ウルトラＡ』だったしね。つまり、Ａはウルトラマンではなかった。それがけっきょく従来路線の継承に落ち着いたのは、あるいは冒険を嫌う局やスポンサーの御意向だったのかもしれない。
　ＭＡＴの後継組織（前作の次郎とルミ子が本編に登場するうえに、ＴＡＣ基地内でＭＡＴの人事データに触れた美川隊員の台詞あり）である地球防衛軍が、たった一体の超獣によって全滅。急遽、立ち上げられたのが対超獣専門チームのＴＡＣ……いや、なんでそんな強い部隊が急ごしらえで可能なんだよ？
　劇中、新隊員の北斗と南の誕生日を皆で祝うシーンがあったが、まるでＴＡＣが幼稚園児の集まりに見えてしまう。どこぞの店を借り切るならともかく、本部でギターで合唱とかワケワカメ。あんな職場、昭和でも珍しかったと思う。考えるに視聴者である小学生の感覚に合わせたつもりなのだろうが、それこそが第二期の欠点。「子供はこう思うだろう」などという大人の上から目線な姿勢は、実のところ子供には余計なお世話。そういった勝手な決めつけがなかったからこそ、第一期は内容がしっかりしていた。やはり神様を失ったのは大きかったか……。
　最終話で地球を去ったＡは、数年後に七人ライダーの前に立ちはだかり「諸君は私の声に聞き覚えがあるのではないかな？」と言ったとか言わなかったとか♪

『ウルトラマンタロウ』

「タロウは自分が最初に知ったウルトラマン」という層は、もちろんいっぱい存在するだろう。その人たちにすれば「最高最強のウルトラマンはタロウ」となるのも理解できる。いわゆる刷り込み効果というヤツ。
　だが、ウルトラマンというキャラクターの、そもそもの基本コンセプトからすれば、地球人的な家族関係だとか女性のバストが立派だとかいうのは酷いブレとなる。この点において、妖之佑はウルトラマンやウルトラセブンをデザインなさった成田亨さんのお考えに賛同する。ゆえに『タロウ』を認めるわけにはいかない。
　誤解されたくないのだが、タロウが好きだという人を否定するつもりもない。ただ、「好き嫌い」と「作品としての出来の善し悪し」は別問題ということ。ここだけは譲らない。
　聞くところによると『タロウ』はシリーズの中で売り上げが最高だったそうな。察するに、円谷プロの三代目社長が初めて最初から関わった作品だからであろう。氏は初代社長の円谷英二監督や二代目社長の一監督と違って創作者ではなくビジネスマン。この意味で、現在のグッズ販売を意識しまくった平成ウルトラマンや平成ライダーと似通った匂いが『タロウ』には、ある。

『ウルトラマンレオ』

　当初、ＭＡＣ隊員の扱いが雑すぎて酷すぎて早々に見限った（ツルク星人の回などトラウマだったよ）。ウルトラ大好きのオイラがだよ。
　後々に、きちんと観なおしたものの、とにかく嫌悪感だけが残る。歴代ウルトラマンたちの扱いも敬意に欠け失礼極まりない。
　今までにないウルトラマン（能力値が歴代最低で、その不利をスポ根で克服する）をという挑戦魂や、着ぐるみでない吊しものの円盤生物という冒険心は理解するが、終わってみれば円谷の迷走ぶりだけが目立ち、残念率は歴代ダントツ一位。手抜き脚本の『タロウ』のほうが「低年齢層向けに徹する。小賢しい高学年以上は捨てろ」という基本方針からまったくブレなかった分、ナンボもマシ。
『レオ』も外野から何と言われようとも初志貫徹すべきだった。そのうえでの強化策を捻り出すべきだった。であれば、後々に「異色中の異色の脳筋ウルトラマン」という評価を得られたかもしれない。『Ｇガンダム』みたいにね。
　敗因はブレ。シリーズ初の視聴率一桁を記録およびシリーズ打ち切りを招いたのも当然の結果。悪いが同情の余地なし。

　

『ミラーマン』

　円谷作品としては、かなりの難産だったことで知られるタイトル。
　最初に子供たちの反応を見る目的で漫画版を発表（実は、この久松文雄さんの漫画版が最高♪）。その後、あれこれあって迷走の後、ＣＸ系列で放送が決定という流れ。この間、三年ほどかかったのかな。
　久松版の外見に比べて特撮版の顔は残念すぎる。ダサすぎる。あれはないわー。
　戦闘目的でない対インベーダー組織・ＳＧＭ（サイエンス・ガード・メンバーズ）の設定を生かしきれなかったのも残念。けっきょく番組強化策で普通の対怪獣戦闘集団になっちまうし。
　当初の企画どおりウルトラとは別路線で進めるべきだったのに、終わってみればウルトラのセルフ二次創作（笑ってやれ。ミラーナイフの投擲ポーズはウルトラマンの八つ裂き光輪と、ほとんど同じだ）。ＴＶ局やスポンサーのバカが横槍入れたのかな？
　久松漫画版について記憶を探り少し触れておくと（まちがいも多々あるかもです）。主人公・鏡京太郎はミラーマンの父と人類の母を持つハーフで、ミラーマンに変身できる。自分の生い立ちを恨み斜に構える京太郎は、何らかの事情で姿を消した母（……いや父だったかも）をたずねて三千里。行く先々でインベーダーの陰謀に遭遇したり、インベーダーから一方的に襲われたりで、その都度、なし崩しに闘い、ついでに人助けも。というロード・ムービー形式。妖之佑の知る範囲では、ミラーマンは人間サイズ。だから面白いし格好良い。復刊ドットコムさんあたりで単行本化してくんないかなぁ。
　ちなみに、映画『ウルトラマンゼロ』に登場したミラーナイトなるヒーローのデザインは、この久松版を元にしている気がする。

『ジャンボーグＡ』

　あくまでも結果的にではあるが、『ミラーマン』の続編という位置付け。
　特撮巨大ヒーローに主人公が搭乗して操縦するという、円谷が自らの型を破った作品。
　しかも、主人公が主役キャラ（メカ）を乗り換える（実際には二つを使い分ける）大胆展開。これはアニメ『戦闘メカ　ザブングル』より、ずっと古い。
　面白いのは二号機・ジャンボーグ９が「運転」なのに対し、一号機・ジャンボーグＡの操縦はライディーンやモビルファイターのようなトレス方式という差別化。いろいろと考えていた作品なんだなぁ。
　でも、ジャンボーグの贈り主であるエメラルド星人のデザインは、どことなくウルトラマン……て言うか、ほぼジョーニアス（爆）。
『ウルトラマンＡ』前期同様に、敵が固定されているのも、この作品の特徴。定期的に敵隊長が戦死、交替するのは、まるでどこぞの大幹部たち♪
　この作品は主人公のキャラクターも円谷として珍しい。立花ナオキは他円谷作品の主人公たちと違い、瞬間湯沸かし器系の感情優先猪突猛進型で、しかも根拠を持たない自信家という周囲に迷惑かけまくるタイプ。第一話からしてセスナで特攻して死にかけたからね（Ａ生誕話）。しかも、小さいとは言え航空会社のパイロット＆整備士という立派な職業に就いていながら軽自動車すら自力で買えず義姉に借金する体たらく（９生誕話）。ついでに、特技のキックボクシングを駆使したＡの闘いぶりを見物人（ミラーマン・鏡京太郎に似ていたが別人だよね？）から下手クソだとディスられる始末。あまりの酷さコンボにエメラルド星人が一度はナオキを解任したほど。かように主人公設定でも意欲的だった作品。
　意欲的と言えば、Ａの元であるジャン・セスナは航空会社の所有物なので、社員にすぎないナオキの好き勝手にできない弱点や、さらには売却の危機もあったんだよね（笑）。
　最終話が完全勝利でなく、敵側まだまだ諦めてねー、という未完状況には不満が残る。

『ファイヤーマン』

　当時の風潮だった世紀末の終末思想を受けてなのか、地球を天変地異が襲うという舞台設定。その危機に、地底人が立ち上がり、地上人に助け船を出す。それがファイヤーマン。
　ここで登場する特殊チーム・ＳＡＦは気象や地質などが専門の科学者集団。決して闘える人たちではない……はず。
　まーよーするにー、独自性を出そうとしての偏った初期設定を生かせず、けっきょくは無難な従来路線に戻す、あるいは戻さざるをえなかった。制作に振り回されたＳＡＦは『ミラーマン』のＳＧＭみたいな境遇と言えるだろうか。
　この頃の円谷はバブルなイケイケ状態で、正直、己の状況を冷静に見られなかったのではないかと思う。なので作品数こそ多いものの、それぞれ密度が薄いという結果になった気がしてならない。とてもじゃないが名作が産まれる環境ではなかっただろう。まあ、ビジネス畑の三代目社長だから当然の成り行きとは言えるかもしれない。売れるタイミングには中身よりとにかく売ること優先、ってトコだろ。
　最後は爆弾を宇宙に捨てに行き消息を絶ったファイヤーマンだが、実はその後、黒十字軍と闘うべくイーグルに入隊していた。めでたしめでたし。（こらこら

『緊急指令 10-4・10-10』

　10コードというのは通信で用いる専用語。「Mayday」とか、モールス信号の「SOS」みたいなもの、だろうか。
　当時、ＢＣＬと並んで電波系男子に流行りの趣味だったアマチュア無線。これをメインに据えた変わり種の作品。
「電波特捜隊」（イメージソングの歌詞にある。ただし本編内では「毛利チーム」とだけ）を名乗るアマチュア無線家の集まりが数々の怪奇事件を解決するという……ぶっちゃけムチャクチャなお話。隊の創設者が博識な大学教授ということで、その戦力の説明としているが、さすがに弱い。前提に無理があるため、観ていてどうしても物語に入っていけない。『怪奇大作戦』を子供向けにしたという説もあるが、子供をナメるな。
　この毛利チームや協力者たちが互いの連絡にアマチュア無線を使うという点でのみ特徴を持っているにすぎず、本当に申し訳ないのだが設定に魅力があるとは思えない。専門チームなど作らず、単に無線家同士のやりとりを怪奇事件に絡めて恐怖などを描く方向で良かったのではないかと思う。それこそ今なら、一般市民がケータイでやりとりする中、怪奇事件に巻き込まれたり首を突っ込んだり、で、成り行きと幸運で生還するとか、あるいはそのまま行方不明になるとか。そんな方向をアマチュア無線で、なら上手くいったんじゃないかな。
　なお、解説ムックなどによると、この作品は特撮マニアに大好評だったそうだ。好きなかたがたには申し訳ないが到底、信じられない。ジュブナイル映像作品と解釈するにしても、中途半端なんだよ。やるなら少年探偵団くらいにまで、子供側に寄せないと。
　円谷作品にもかかわらず、チーム創設者の毛利教授は、なぜか城南大学に籍を置く。なら、本郷猛らとも会ってたりする？　平成になると、杉下右京さんも何かと関わる大学ではあるが……当時はねぇ？

『ＳＦドラマ 猿の軍団』

　大魔王ゴースンと差し違えたライオン丸が転生した先は、何と猿の支配する世界だった！（違う違う
　明らかに映画『猿の惑星』からアイデア盗よぅ……もとい拝借した作品。ただし、ストーリは完全に独自のもので、それゆえハリウッドの怒りを買わずに済んだ……と思う。
　ＳＦ作家の重鎮がたが参加しているため、物語と設定がしっかりしている。
　例えば、『惑星』ではゴリラが武闘派、オランウータンが科学者、チンパンジーが穏健な市民となっていたが、これは類人猿に対する酷い誤解。見た目だけで設定しており何も考えていないのが丸判り。
　対する『軍団』では本来の習性どおり、チンパンジーが過激でゴリラが優しいとなっている。これでいいのだ。

『トリプルファイター』

　円谷にして珍しい、完全なる等身大ヒーロー。しかも三人のファイターが合体して、より強いトリプルファイターとなる二段変身。
　故郷の星を滅ぼされたため地球に逃げ延びた人々。ところが敵も地球に飛来したため、第二の故郷を守るべく亡命者たちは防衛組織ＳＡＴを結成。その中の三兄妹がファイターに変身して闘う。
　月〜金の五日連続（10分×５）という帯番組。子供向けとしては最も正しい形かもしれない……が、観られない曜日もあっただろうから、受けは厳しかったかもなあ。

　

『レッドマン』

　全円谷ヒーロー中、インターネットで大人気となれば、この御方♪　その名も「赤い通り魔」！　円谷非公認の、この二つ名については、どうぞ、ぐぐっておくんなまし。
　元々「レッドマン」というのは円谷における開発コードみたいなもの。連邦で言えばＲＸ、ジオンならＹＭＳみたいな（笑）。最初はウルトラマンの名称として考え出されたものが、没をきっかけに、セブンを始めとして代々の新作ヒーローの仮称として使用されたそうな。
　なので、この名前を見たとき「ついに？」と思ったものの、見事に裏切られた（笑）。伝統ある名を、よりにもよって通り魔に与えずとも、よかろーが（爆）。
　子供番組の中の一コーナーとして制作されたためか、言いかたは悪いが、かなりぞんざいな構成。要は、これの少し前に放送された『ウルトラファイト』と同じく、ただ単にレッドマンと怪獣が喧嘩するだけ。ぶっちゃけ、特撮ですらない。
　今の時代に、あらためてガチで「通り魔」としてのレッドマンを全力で制作してみてはいかがだろうか？

『行け！ ゴッドマン』

　いや、どう見てもババルウ星人がグラサンかけて変装してるだろこれ。
　前作『レッドマン』と同じ枠で同シリーズ扱いだが、制作が東宝に交替。
『レッドマン』と同じく喧嘩するだけの構成。ただ、情け容赦のないレッドマンと違い、ゴッドマンは少し弱い。弱いために、策略（「卑怯」とも言う♪）を用いるところが味。

『行け！ グリーンマン』

　顔が怖いんですけど、マジで。
　前二作とは違い、ストーリ仕立てになっているのが特徴。ちゃんと敵ボスもいる。
　グリーンマンはロボットということで武装が多彩。
　挿入歌は、なぜか『軍艦マーチ』の替え歌。
　にしても、レッドマンはレッド星雲レッド星出身、ゴッドマンはファイヤーゴッド星出身、グリーンマンはグリーン星出身と、どいつもこいつも千葉のジャガーさんレベルなのには、もはや一周回って感心すらさせられる。

　

『ウルトラマン 80』

　これもまた初志貫徹できなかった作品。
　つーかさ、企画立案が安直すぎんだよ！　あからさまに『金八先生』の人気にタダ乗りしようとしてんやん。
　主人公は小学校教諭でＵＧＭ隊員でウルトラマン。そんな三足の草鞋が上手くいくはずもなく。番組強化策にて、学校の要素は自然消滅させられた。
「ウルトラマン先生」にするならするで、ＵＧＭを脇役に降格すべきだった。『レオ』のＭＡＣみたいにね。『レオ』は主人公がスポーツクラブの所属だったから、そうなった。『レオ』の失敗はレオをＭＡＣの隊員に兼業させたこと。『80』も同じ轍を踏んでしまったワケ。
　先生がウルトラマンに変身するなら、ＵＧＭはシンプルに怪獣に対する斬られ役に徹すればいい。そこまで潔くやって、初めて「ウルトラマン先生」というコンセプトは生きる。どっち付かずな制作の割り切れない姿勢が罠だったね。
　殉職した城野隊員は、転生後からブレイクしたよなぁ。

　
　

『流星人間ゾーン』

　ちょっと見、円谷作品に思えるが実は東宝作品。とは言え当時の円谷は東宝の関連会社的な立ち位置だったからね。絵作りに共通するものがあっても何ら不思議はない。
　故郷の星を滅ぼされた一家が地球に逃げ延びて地球人として暮らす。そこに敵までやって来たため、第二の故郷を守るべく秘密基地を建造、一家の三兄妹が変身して闘う……あれ？　どこかで聞いたような？
　長男のゾーンファイターは等身大と巨大化の二段変身……あれ？　どこかに似たような設定が？
　敵はガロガ。連中の用いる生体兵器が「恐獣」。怪獣より強いらしい……あれ？　どこかで言ってたような？
　この恐獣、「恐獣ミサイル」というミサイルに搭載されて地球に送り込まれる。これは独自の……あー、ガラモンを送り込む際にチルソニア遊星人が使ってるか、とっくに。
　ちなみに、恐獣のデザインを某・超獣に似ていると言ってはいけない。
　まして、ゾーンファイターのことを、どことなくウルトラマンＡに似ているなどとも言ってはいけない。
　まあ、偶然なんだろうけどね。それにしても被りの多い作品だこと。
　唯一の独自性と言えば、ゾーンファイターがミサイルという、れっきとした飛び道具を使うところかな。うん、ガチでミサイルだから。
　東宝制作という強みを生かし、あのゴジラが常連ゲスト。キングギドラやガイガンも出演。でも、残念ながら視聴率大幅獲得には至らなかったようで。制作の借り物意識が、あかんかったんじゃないのかな。
　余談として、「はいっ吾郎さん」の『ほん怖』がレギュラー放送だった頃のアイキャッチに流れていたのが、これの主題歌の前奏部分だった……はず。

　
　
　
　

『悪魔くん』

　もちろん水木しげるさんの漫画を実写化した作品。魔法陣の使いかたを広く誤解させる原因となった作品でもある（苦笑）。
　それはまあ、いいとして。
　この作品では、メフィストが美味しいトコすべて持っていったと思う。俳優さんの都合で交代となり兄弟二人という設定になったけど、初代も二代目も良い味出してた。
　百目ガンマーが怖かったねぇ。

『仮面の忍者 赤影』

　当時の横山光輝さん原作の特撮中ほぼ唯一、アレンジが大成功した作品と言っていいはず。
　チャンバラあり、忍者アクションあり、カラクリあり、超能力もどきあり、巨大ロボあり、巨大怪獣あり、空飛ぶ円盤ありと、このてんこ盛りこそ、まさに後年『バビル二世』（原作漫画）で炸裂する横山テイストそのもの。
　こんなにきちんと理解しているのに、なんで他の作品群では原作レイプしちまったのかなぁ東映……不思議だ。
　まあ、主人公の赤影さんが七三分けというのだけは、今でも違和感だけどね（笑）。
　とは言え、思いっきりはっちゃけた作品なので、髪型程度のこと、気にならなくなるのが本当に面白い作品の徳というもの。
　奇想天外とは、この作品のためにある褒め言葉だと思う。

『ジャイアントロボ』

　あえて言おう。当時の、原作あっての東映による映像化作品は地雷率が高い。ある意味「原作レイプ」の常習犯。それが東映特撮および東映動画だったと。
　アニメで言えば永井豪さんの作品群が、すべて毒気を抜かれてしまう現象。デビルマンが「正義のヒーロー」だなんて、ぶっちゃけありえない。
　横山光輝さん原作の『バビル二世』（旧アニメ）も酷かった。こちらも横山さん独特の世界観を消され、バビル二世は 60年代的スーパーヒーロー、ヨミは怖い顔をした化け物ラスボス。あれは、ないわー。
　で、これまた横山さん原作の『ジャイアントロボ』でも、原作の世界観をぶち怖し。原作では裏社会の犯罪組織であるＢＦ団が、特撮では侵略宇宙人の支配する怪奇結社へと改悪される。と同時に主人公側の組織も、原作では諜報機関なのが、あからさまに『ウルトラマン』の科特隊を意識したっぽい戦闘集団へ改悪という始末（横山さん怒んなかったのかな？）。
　唯一、評価できるのはロボの着ぐるみ。あの再現性は素晴らしい。「ま゛っ」の応答音声とともに時代に足跡を残したと断言。

『キャプテンウルトラ』

　実は、これもウルトラシリーズということになっている。『ウルトラマン』の後番組で、これの後番組が『ウルトラセブン』だからね。でも制作は東映。そりゃ雰囲気が違うのも当然。
　元ネタは『キャプテン・フューチャー』らしい。まあオイラは、←の小説もアニメ化作品も目にしてないんだけどね。(;^_^A
　前半では敵が固定されていた。この「バンデル星人」というのが、なかなかにユニークで、けっこう好き♪　連中の操るロボット怪獣、バンデラーやガルバンも魅力的だった。と言うか、『キャプテンウルトラ』の怪獣は、東宝や円谷とは別種のデザイン・センスが光っており、どれも素晴らしい。キュドラとかゴースラーとか金属人間メタリノームとか、怖すぎたよ。
　キャプテンの操るシュピーゲル号も◎。三機に分離するのが楽しかった。小型の超合金で安価で出してくれたら買うぞ。
　最終回のラストシーンは、ＴＶ版『エヴァ』並みに理解困難。あまりに不可思議すぎる世界に放り出され精神を病んだためか、その後、キャプテンはガランダー帝国を作ってしまった（爆）。
　あの小林稔侍さんがタイツを穿いていたという事実だけでも貴重な作品（笑）。

　

『仮面ライダー』

　巨大ヒーローのウルトラマンに対し、等身大ヒーローのテンプレを作った偉大なる作品……と言いたいところだが、実は違う。
　敵組織に幹部がいて、その幹部の指揮の下、怪人が次々と主人公に襲いかかる。そして手駒を失った幹部自ら登場し、主人公に倒される。の繰り返しで徐々に敵組織が弱体化（要は人手不足）に陥り、最後にはボス登場。
　という流れは、ライダーを始めとして等身大ヒーロー特撮だけでなく、例えば『セーラームーン』や『プリキュア』などでも定石となっている。
　が、これらの元祖は『タイガーマスク』ではないか、というのが妖之佑の持論。
　虎の穴〔ショッカー〕に攫われ地獄の特訓〔改造手術〕を受けた伊達直人〔本郷猛〕はタイガーマスク〔仮面ライダー〕となり組織から足抜けする。裏切り者〔逃亡者〕を消すべく殺し屋レスラー〔怪人〕を差し向けるものの、ことごとく返り討ちに遭い、やむなく支配者〔大幹部〕が伝説のタイガー〔怪人〕の正体を明かし闘いを挑むが、これまた倒される。最後にボス〔首領〕が立ちはだかるも倒され、組織は壊滅。主人公は、どこへともなく姿を消す。……いや、ライダーのほうは滝和也が旅立つ役割を果たしたけどね。でも『Ｖ３』以降は皆、最後に旅立った。
　どうだ。まったく同じだろ。
　まあ、だからと言って『仮面ライダー』の価値や偉業ぶりにケチがつくわけではないけどね。等身大ヒーローの演出や撮影ノウハウを手探りで構築していったのは『仮面ライダー』の功績だし。初期の頃なんて、怪人に殺された死体の様子が、もう手作り感あふれる創意工夫の山で涙ぐましいったら（発砲スチロールとか、毛糸とか、インクとか、色砂とか、とかとかとか）。
　一つの作品で主人公が二人、という点については、ここでわざわざ触れる必要もない。ともかく文字通りの怪我の功名で画期的。これもまた後々の作品に影響を与えたね。
　四人登場した大幹部たちも、この作品を支える大きな魅力。それぞれに個性があり、ショッカーに入った背景を想像するだけでも楽しくなる。
　そのショッカー。当初の演出からすると、ナチスの残党が作った結社と見受けられる。シンボルマークの鷲のレリーフなど、似ているし。戦闘員の敬礼など、モロだし。つまり想像だが、最初に制作が考えていた首領の正体は、あの人物だったのではないかと思うのだよ。うん。番組が好評で長寿になったため、この初期の思惑が修正されたんだろう。と思う。
　スナック・アミーゴのバーテンだった史郎は、立花レーシングクラブ設立までは居たのだが、サボテグロンの顔を間近に見たのが理由か、直後に姿を消す。まあ、あんな目に遭ってなお、おやっさんの所に出入りし続ける連中のほうが変なんだが（笑）。中でもユリはゲルショッカー壊滅まで居続けた極太神経の持ち主♪
　ということで、仲間の多さという面で歴代第一位のこの作品だが、取り立ててのフォローもなしに姿を消す連中も多かった。まあ、コアなゲーマーが、ある日を境にリアル優先でインしなくなるようなものか。
　そして、立花藤兵衛は転職のプロだと思う（爆）。
　よく知られているとおり、仮面ライダーのモチーフはトノサマバッタ＋バイクレーサー。と言うことは緑川博士が助けなかったら、改造された本郷は「疾走・飛蝗男」とでも呼ばれていたのだろうか……。

『仮面ライダー Ｖ３』

　個人的には最も成功した続編だと思う。前作からの引き継ぎ（含・ダブルライダーの退場）がスムースであり、世界観も一切ブレていないからね。ここはデストロン首領のおかげと感謝しておこう（笑）。
　ただ、「Ｖ３二十六の秘密」や「四の弱点」は企画倒れに終わった印象。「二十六の秘密」は、あからさまに２クール引っ張る気満々だったにも関わらず気づけばフェード・アウト。「四の弱点」も、逆タイフーン以外に何か出た？　まさにタヌキの皮算用。
　歴代で一番種類の多いＶ３の技名が、ただただ文字数増やしただけという点も如何なものかと。必殺技なんて二、三個あれば充分。本郷も一文字も、ほぼキックと、きりもみシュートだけで怪人を倒し続けてきたんだから。
　それでも、主人公周辺が賑やかだった前作に比べて少数レギュラーで、よく一年を走り通したと思う。いや正直、純子さんもシゲルも最後まで好きになれなかったんだよ、オイラはね。ｍ(_ _)ｍ
　五大幹部勢揃いという視聴者サービスは、ともかく。ドクトルＧ体制の後、結託部族シリーズは、もう少し丁寧にやったら盛り上がったように思う。どれも数話で終わったのが、もったいない。つーか、キバ一族とツバサ軍団は、ほとんど使い捨てやんか。
　ヨロイ族編にて登場したライダーマンとヨロイ元帥の因縁は面白かったね。ヨロイ元帥がもう自己保身の塊で、最期がまた見苦しくて。こんな奴が会社にいたら周囲は迷惑しまくりだな。内臓は２号ライダーと同じなんだけどね（笑）。
　この作品の第13話と『帰ってきたウルトラマン』第39話とでＡパートがほぼ同じだったりする。この回の脚本は御大・伊上勝さん。『帰マン』のほうが二年早い放送。まさか御大がコピペなんてしないだろうし……不思議だ（『帰マン』のほうの脚本家さんは別名。それともあれは偽名だったのか？）。実のところ御大はお忙しいからか、わりと脚本の使い回しをなさっているのだよ。『Ｖ３』の数話が台詞回しを含めて前作『仮面ライダー』のストーリと、まったく同じだからね。この手抜きは制作として反省していただきたいと子供心に思ったよ。
　Ｖ３のモチーフはトンボとラグビー選手。両肩から生えた白マフラーが羽根なのは挿入歌の歌詞でも示されている。
　ライダーマンのモチーフがシオマネキというのは、ちと眉唾な気がする。そもそもは、Ｖ３を簡素化したデザインということだったはず。

『仮面ライダー Ｘ』

　Ｘは深海開発用カイゾーグであり、断じて戦闘目的ではなかった。それが、やむなくＧＯＤと闘う仮面ライダーとなるしか道がなかった。という、いかにもな展開のわりに、ライドルってシバキ合い以外での運用方法が思い当たらないのだが？
　主役でなかったライダーマンを除けば、専用の武器を持つ初のライダー。しかも鞭や棒に変形するという便利さ。ライドルスティックなんてシルバーハカイダーが真似するくらいだからね♪
　クルーザーは本来、海中を進むための水陸兼用バイクなのだが……水中シーンは少なかったなぁ。もしも「仮面ライダー戦隊」というのがあれば、Ｘは『サイボーグ００９』の００８に相当するわけで、能力が特殊すぎた嫌いはあるか。後のスカイライダーが途中で飛ぶのをやめたのに似てるかな。特化した力は主役に不向きということだろうか。
　せっかく建造したＸの基地「神ステーション」は第二話で自爆。最初から、こうするつもりだったんだろうか。何か、もったいない。
　ＧＯＤは、東西大国（要はアメリカとソ連だろうね）が生意気な成金日本を世界地図から消すために組織した秘密機関。ために、その作戦は諜報活動として描かれた。ＧＯＤ総司令の指令伝達は『スパイ大作戦』そのものだし、戦闘工作員は黒眼鏡にベレー帽だし。この面白さのままに最終回まで突き進んでほしかった。
　ＧＯＤの組織刷新とともに、Ｘもマーキュリー回路で強化されるが、これによってセタップが廃止、大変身になったものの……格好悪い残念すぎる。後の平成ライダー映画では歳を経たＸが「セタップ」だったので、東映も判ったんだろうねぇ。やっぱり安易な路線変更はダメだよ。
　主演の速水亮さんは、それまでの低迷・迷走から一転、この番組をきっかけに長く名乗り続ける芸名と、役者としての基盤だけでなく、嫁さんまでゲットしてしまうという、人生を決めた作品となった模様。
　Ｘのモチーフは初代仮面ライダーであり、それをメカニカルにしたもの。カイゾーグ→海賊という説があるそうだが、これも眉唾な気がする。て言うか、海賊ならライダーマンのほうが納得できね？　あいつ鈎爪だし。

『仮面ライダー アマゾン』

　懸賞生活の、なすびさんもだが、アマゾンの中の人も風邪引かなかったんだろうか？　お腹冷えなかったんだろうか？
　噛み付いて切り裂いて引きちぎる野生児ライダーということで、普段が裸で言葉も知らないという大胆な設定。思いきったものだ。このまま完走してほしかったが、制作サイドで不都合とかあったのか、アマゾンはヒロインから衣服をプレゼントされ、日本語もマスターしてしまう。エピローグなんてスーツ姿で旅客機に乗るんだからなー（パスポート、どうやったんだろ？）。
『Ｖ３』のライダーマンに続いて、あんまり強くない戦友としてのモグラ獣人が魅力的だった。なにも殺すことなかったろうに……（涙）。
　古代インカの財宝の秘密を隠した「ギギの腕輪」と「ガガの腕輪」の争奪戦が軸のはずだったのだが、最終話で明かされた宝物というのが……少々、拍子抜け。番組打ち切りの影響で慌てて畳みかけたんだろうね、これ。
　打ち切りとは言うものの決して不評だったからではなく、ＭＢＳがＮＥＴ系列からＴＢＳ系列へ移動するために仕切り直しが必要だったという大人の事情によったあたり、気の毒な作品。
　アマゾンのモチーフはオオトカゲ。とは言えヒレがあるから爬虫類と言うより……ねぇ？　石森さんのスケッチには他にイモムシ・ベースのデザインとかもあったそうな。

『仮面ライダー ストロンガー』

　民族……ちゃう番組群大移動のあおりで打ち切りにされた『アマゾン』に代わり、初のＴＢＳライダー。
　口笛を吹いて登場はキカイダーを意識したのか。しかしながら、あの音は口笛には聞こえなかったな。
　最初の頃は気障を売りにしようとしていたらしい城茂だが、あんまり良い印象ではなかった。徐々に、なりを潜めたから良かったよ。
　闘うヒロインは、業界で初かな？　あんまり強くなかったので、立ち位置的にはライダーマンやモグラ獣人なんだが……最後に死ぬし。ちなみに、タックルはバイクに乗るにも関わらず「仮面ライダー」とは認識されていない。女性仮面ライダーの登場は劇場版『龍騎』のファムまで待たねばならない。お気の毒。
　立花藤兵衛が、ほぼ笑いを取る担当になったのは、いささか不満ではある。が、「おやっさんも歳を取ったなあ」と考えれば、茂やユリ子にいじられる姿も、ヘビ女の毒にやられた茂をオロオロと気遣う様子も納得いくというもの。この番組のせいで、LJ20型ジムニーが気になって気になって仕方ないんだぞ。どうしてくれます？
『ウルトラマンレオ』が歴代に恥をかかせた挙げ句、シリーズ打ち切りで幕を閉じたのに比べ、『ストロンガー』は大団円。ラストシーンでセンターを本郷ライダーに譲ったのも素晴らしい！
　ストロンガーはカブトムシとアメフト選手が元。カブトムシは作中でブラックサタンの科学者が言っているし、茂はアメフト部キャプテンだし。劇中でモチーフを明言するのはシリーズでも珍しい。
　タックルがテントウムシなのも、言うまでもないよね。

　

『人造人間キカイダー』

　デンジエンドの、ガラスが割れる演出は印象的。
　石森作品の特撮化としては最も主人公たちに厳しかった作品じゃないかなぁ。いや、原作漫画の結末は桁違いに悲惨極まりなかったけどサー。
　原作でははっきり描かれているが、ジローのモデルはピノキオ（ディズニー版）。無知で無邪気なピノキオに善悪を教える指導役、コオロギのジミニー・クリケットは、ジローに取り付けられた良心回路ジェミニィ。コオロギの非力さを未完成な回路という形で反映している。ギルの笛に苦しむジローは、まさに誘惑にフラフラするピノキオそのもの。良心回路が不完全なままだからこそジローは人間に近づける、という結論は原作、特撮で共通。
　固定の敵を怪物でなく格好良いライバルとしたのも、この作品の特徴だろう。スポ根などでは普通にある演出だが、勧善懲悪のヒーローものでは珍事であり快挙。後の作品群が、こぞって真似するようになった。それほどにハカイダー＠サブローは素晴らしい。
　プロフェッサー・ギルはショッカーの大幹部たちに並ぶ、見事な悪役。それぞれ役者さんたちが素晴らしい全力投球をしてくださった。
　服部半平も、この作品に欠かせぬ重要人物。特撮作品のコメディ・リリーフとして最も成功したのが彼だと断言。
「光明寺博士に会えるのは、いつか？　幸せになれるのは、いつの日か？」というナレーションはロード・ムービーの雰囲気作りに貢献していたと思う。
　ところで、仲間の危機に、わざわざ高い所に上がってギターを弾く理由だけは、未だに理解できない。やっぱり電子頭脳に欠陥が？（笑）

『キカイダー０１』

　珍走団も真っ青になって道を譲りそうなハカイダー部隊は良かったけど、シャドウがなぁ……。ビジンダーとワルダーも、あまり好きにはなれなかった。ギルの脳髄を得たハカイダーがサブローと違い、汚い野郎だというのは納得できるけどね。
　もともとジローは、光明寺博士の長男で若くして亡くなったタローの代わりとしてデザインされた人造人間、という設定があった。『キカイダー』本編で、そのタロー（偽者）が現れてジローたちの絆を壊そうとしたしね。
　ところが、光明寺博士はジローより先にイチローを作っていたという、この作品。タローの代わりにイチローを作った？　でも、仁王像に封印してたんだよなぁ。光明寺博士、ダークに捕まる前から頭脳を病んでいたのかな？
　ジローに比べ、イチローは原作と特撮で性格がかなり違う。原作では良心回路がないため、それこそジミニーのいないピノキオ状態。飛び道具も装備してて物騒すぎる。で、特撮版のイチローは事の善悪を理解していて、しかも体育会系並みに厳格。劇中の言動からすると、完全な良心回路を持っていると考えられる。明確な説明はなかったけどね。
　ただ、そのままでは完全無欠となってしまうから、ソーラ・システムにしたのかな。０１は基本、夜間の業務はいたしません（爆）。
　仲間の危機に、わざわざ高い所に上がってトランペットを……以下同文。兄弟機だから同じバグがあるのかなぁ。
　物語の軸となるはずだったジャイアントデビルの設計図争奪戦も、途中の路線変更でハカイダーに「もうどうでもいい」と言わせてしまう……投げやりだなぁ。
　服部半平の路線を狙った百地頑太も残念なことに自然消滅させられたねぇ。最後の登場シーンが可哀相すぎた。あれに懲りてイチローたちと縁を切ったんだな彼は、きっと。
　ぶっちゃけ、ザダムが登場して以降の分は、まるで面白味を感じなかった。「惰性」とか「消化試合」という言葉がしっくりくるほどに。シャドウがジャイアントデビルを諦めた時点で、イチローたちが旅する理由ってのが、なくなるんだよね。なのに無目的に旅を続けるのが理解に苦しむ。新たな旅の目的さえあれば、そこまでピンボケしなかっただろうに……。
　最終回で光明寺博士を再登場させたところで、もはや何も感じなかったね。

　

『イナズマン』

　石森さんの漫画版は、同じく漫画版『人造人間キカイダー』の続編だと最近知って、びっくり（もちろん『イナズマン』のほうは未読）。
　特撮版に話を戻すと、新人類帝国の扱いがもったいなかった気が。何となく半年経って番組強化策として『イナズマンＦ』にタイトル変更するとともに敵をデスパー軍団へと選手交替させてしまったのが残念（デスパー軍団がダメというわけではない。むしろ『Ｆ』も硬派なストーリで凄かった）。
　個人的妄想なのだが。第一話にのみ登場、渡五郎を少年同盟に勧誘、イナズマンへと覚醒させ、さらにはライジンゴーなる超メカまで与えてくれたキャプテン・サラーというおっさんがムチャクチャ怪しい。こいつ、ひょっとしたら帝王バンバの人間形態なんじゃね？　と疑ったものだ。て言うか、そーゆー設定にしてバンバが裏に表に人類の新人類への“進化”をコントロールしていた、としたほうが物語的にかなり面白いと思う。
　前期、毎話のラストで「新人類は、どこにでもいる」のナレーションとともに町なかに潜むファントム兵士の１カットが、けっこうドキリとさせられた。
　主役の伴直也さんが多忙になったため同時期放送の『キカイダー０１』へのジロー客演が不可となった意味では、実に罪作りな作品（笑）。
　イナズマンのモチーフは公式に蝶とされているのだが、ブラシのように無数の毛が生えた触角と言い、五郎がサナギマンになる際に糸で身を包む生態と言い、明らかに蛾だよ。ショッカーのドクガンダー成虫と、よく似とろうが。

『ロボット刑事』

　ＦＢＩ捜査官の滝和也はショッカーが滅んだためお役ご免となり、日本警察の地方公務員に格下げされていた（笑）。
「俺たちの若い頃は派手な格好をするなと言われたもんだ」というのは刑事ドラマ『俺たちの勲章』の中の台詞だが。この言葉をＫに贈ってやりたい。いや派手すぎるだろ、あいつ。真っ赤なジャケットに純白のスラックス、おまけに黄色いハンチング帽だぞ！　そんなんで張り込み捜査とかされたら迷惑だってばよ。
　バドーの面白い点は、悪事を純粋にビジネスとしているところ。つまりプロの殺し屋をロボットに置き換えた構図。このあたりは、『仮面ライダー Ｗ』や『仮面ライダー ドライブ』に通ずるものも、ありそうで。ただ、Ｋがいつも犯罪ロボを破壊銃で粉砕してしまうのが、ちょっとね。できたら逮捕して尋問（回線接続してデータ抽出）とかしてほしかった。
　Ｋの愛車・ジョーカーの中身はヨタハチだという話がある。えマジ？
　マザコンなロボットというのは、珍しいよな。

『変身忍者 嵐』

　いろいろな意味で不運だった作品かもしれない。
　石森章太郎さん原作の東映特撮作品。この要素だけでＡ級確定にも関わらず、何ともパワーに欠ける。
　原因は明々白々。放送が 1972年４月からの一年間と、モロ『怪傑ライオン丸』と被っていたこと。ついでに、かなりの地域で『ウルトラマンＡ』が裏番組にあった不幸。
　ただ、あらためて今、この作品を振り返っても、到底『怪傑ライオン丸』には届かないと感じる。
「仮面ライダーで時代劇を」という基本コンセプトはアイデアとして正しい。が、そのアイデアだけに頼りすぎて、時代劇の色を出せずにいたのが敗因と思われ。
　低視聴率を回復させるべく梃子入れした改善策も、ことごとく裏目に出た印象。
　血車党から西洋妖怪軍団に交替するってことは、要するに「血車党なんて、たいした連中じゃない」ことの証明になってしまう。敵の入れ替えは安易にするべきではないのだよ（この点で巧みだったのは『仮面ライダー』と『Ｖ３』。敵組織が変わっていったものの、それは強化目的のリニューアル、新装開店であり店長……もとい首領は不変だったからね）。
　謎の剣士という美味しい立ち位置の月ノ輪も、その魅力を生かしきれずに退場したしなぁ。
　カスミの笛や、嵐の愛馬・ハヤブサオーも、『ライオン丸』の小助の笛や天馬ヒカリ丸に比べて、何ら創意工夫が見られない。
　はっきり言って『仮面ライダー』の完成された世界観に、おんぶにだっこしていたのだろう。それではライバルにも裏番組にも勝てないよ。
　嵐のモチーフは鷲。なるほど、口の形が猛禽っぽいね。
　月ノ輪のモチーフはツキノワグマ。まんまや。

『秘密戦隊ゴレンジャー』

「バンバラバンバンバン」の意味が未だに判らない（笑）。いや、「わんだば」の元も判ってないけどサー（爆）。
　初の戦隊モノということになる。が、アニメにまで広げると『科学忍者隊ガッチャマン』のほうが、だいぶ早い。あちらも「バードスーツ」と強化服っぽいので、わりと被る（苦笑）。そう言や、ゴッドフェニックスとバリブルーンって似て……ないかー。
　特撮に範囲を限っても、円谷の『トリプルファイター』が、いちおう先に複数ヒーローの隊をやっているが……まあ、あちらは合体して最強ヒーローになるから被らないか。
　ゴレンジャーを強く見せるためとは言え、軍組織としてのイーグルが、あまりに弱いのは残念な点。一般兵士も、ある程度は闘いに貢献してもよくね？　なんせ、ゴレンジャー結成のきっかけが、日本各地のイーグル基地壊滅だからねぇ。各基地の生き残りを集めたのがゴレンジャーだもんなー。
　て言うか、各基地を壊滅させられるほどに弱く、そして追い詰められたイーグルが、どうしてゴレンジャーという強力な精鋭部隊を急遽、設立できたんだろう？　どうも人間というものは切羽詰まらないと本気を出せないようだな。
　敵側・黒十字軍も実は、よく判っていない。ショッカーで言うところの怪人に相当する「仮面」さんたち。彼らは改造人間なんだろうか、怪物なんだろうか、何なんだろうか。誰か教えて。
　黒十字総統は役者さんには悪いが、最初の顔を隠していた頃が一番、正体不明で魅力的だった。顔出しの着ぐるみは、悪いけど滑稽だったよ。最後にはヒトデのバケモノみたくなるし。
　新命と大岩の「大ちゃん？」「あいな！」の掛け合いは良かったね。まさに名コンビ♪
　もちろん、ゴンのカレーライスは喰ってみたい。「大盛りを四枚」は基本ね。ただ、食べ物屋の店内で九官鳥を飼うのは、やめようよ。

『アクマイザー３』

　変身しないヒーローを目指した作品。だが、成功したとは言えず、途中でチーム・リーダーのザビタンのみ変身ヒーローとなってしまううえに、続編の『超神ビビューン』では完全に変身ヒーロー路線に戻されてしまった。
　この変身しない三人組の路線・遺伝子・心意気を、ずっとずっと後の大傑作『仮面ライダー 電王』にて、モモタロスたちが引き継いだのだろうと個人的には思っている。
　偉い人には判らんのですな。
　総合バランスのザビタン、スピードのイビル、怪力のガブラという三位一体は、平成ライダーや平成ウルトラマンの、さらには『ガンダム AGE』AGE-1 が見せたフォーム・チェンジの基礎となった。と言えるのかもしれない（全部バンダイだな）。

『超神ビビューン』

『アクマイザー３』の続編。ただし、従来の変身ヒーロー路線に戻される。
　レギュラー三人の中に、ストロンガーとアポロガイストがいることこそ最重要項目（笑）。

『宇宙鉄人キョーダイン』

　アニソンの女王・堀江美都子さんがレギュラー出演していた。というのが一番大きかったんじゃないかな、この作品の存在感としては。
　低年齢層向けを追求するのは理解できるとしても。物語の鍵となる設定を途中で放りっぱ、終盤に唐突に復活させて、しかも超重要ファクターにするなど、計画性に欠けるのは何とかならんかったのかと。
　まあ、「花つみの歌」のことをゆーとるんだが。あれの暗号が今で言う「縦読み」なのは許容範囲としてもね。解読した結果が「＊＊＊＊＊＊＊＊」は、ないやろ。ダダ星の歌なんだぞ？
　どうにも、当時の業界は「子供向け」イコール「手抜きしていい」と考えていたようで不愉快だね。「手抜き」と「手加減」とは本質的に違う。絵本作家さんとか、どんだけ精魂込めてると思ってんだよ！
『アクマイザー３』同様、変身しないヒーローを目指したものの、途中での路線変更を強いられ変身（合体）するようになった。ただし、現場の意地があったのか、終盤で変身しないヒーローに戻っている。この点は高く評価できる。

『大鉄人１７』

　地球征服用に建造された巨大ロボが、主人公の少年にのみ反応する。これ以上、何を言えと？
　そんな１７は、最後に少年の意志を無視して単独特攻。これ以上、何を言えと？
　１７のデザイナーは後に巨大な変形ガンダムをデザインした。これ以上、何を言えと？
　デザイナーの件はともかく。なーんか借り物のイメージしか、ないんだよなー。

『怪傑ズバット』

　あんな気障度ＭＡＸなキャラ、宮内洋さん以外には、できんやろね。

　

『仮面ライダー』（スカイライダー）

　原点回帰を掲げ、あえてタイトルを何も付かない『仮面ライダー』にしたんだろうね。結果的には区別が難しいので「スカイライダー」という二つ名を貰うことになったのは『帰マン』の「ジャック」と相通ずる。
　ネオショッカー首領と、かつてのショッカー首領との関係性は劇中では明確にならなかった。声優さんは同じだったけどね。
『ストロンガー』以前と違い、この作品では、首領の素性を B26暗黒星雲からやって来た侵略異星人だと明らかにした。この星雲は後番組の『スーパー１』でも敵として出てくるので、いわば第二期ライダー共通の敵と言える。さしずめ、平成ライダーで言えば「財団Ｘ」だね。
　これもまた、それまでのライダーと違う点として。改造手術を行った科学者本人がライダーの仲間として共に活動。この強みをもっと生かすべきだったと思う。『００９』のギルモア博士みたいなものだからね。
　本当に残念なことだが、志度博士役の俳優さんが健康上の理由で降板されたため、設定を生かす暇もなかったということはある（しかも番組放送期間中に亡くなられたそうで……）。
　プロデューサー平山亨さんの思惑どおりに、立花藤兵衛の登場が叶っていれば、それはそれで面白かっただろうなとは今でも思う。おやっさんもなぁ、『ノリダー』に出るくらいなら、こっちにも出てくれよー。
　歴代ライダー勢揃いの映像は、残念ながら各バイクがグレードダウン（本来のベースが 250cc なのに対して 125cc を使用したり、カウルを作る際に解釈の省略や誤解があったり）しているの見え見えでシラケたのを憶えている。オフロード・マシンとは言え中型と小型ではガタイが違うからね。
　…………がんがんじいは必要だったかなぁ？
　初代に対して、こちらのモチーフはイナゴだそうな。イナゴのほうがトノサマバッタより飛行距離って、あるんだっけ？

『仮面ライダー スーパー１』

　スーパー１は戦闘目的ではなく、惑星開発用改造人間。かつてのＸみたいなもんだね。だから５ハンドも本来は土建用の装備。それを闘いに使わざるを得ないところが「仮面ライダー」としての悲哀となる……かな。
　主人公が開発に関わった科学者という点を上手く利用したチェックマシンのシーン。あのあたりもカイゾーグＸとの共通点を感じる。たぶん制作段階で意識してたんだろうね。
　それまでのライダーたちは走行シーンとアクションとでバイクを使い分けていても、あくまでも設定上は一台のマシンだった。しかし、スーパー１で初めて、明確に二種類のマシンを使い分けることになる。オンロード用が、あのハーレーだからね、スーパーなライダーだわさ。
　第一話で変身コマンドを送り出すコンピュータを破壊されてしまい変身不可能となった主人公は、なぜか山寺にこもって武者修行。精神力でスーパー１の変身プログラムを起動させるに至る。こりゃー、戦前の日本軍人あたりが喜びそうだわ（苦笑）。せっかくなので、この変身能力を取り戻す過程を数話に渡っても良かったんじゃないのかな、とは思う。
　敵組織ドグマの大幹部が実は惑星開発用改造人間第１号で、つまりはスーパー１の先輩だったという設定は面白い。
　敵の交替とともに極端な路線変更と、放送日時まで変えられてしまうという、まさにシリーズ末期を予感させる状況。
　その後半の敵ジンドグマは、歴代悪の組織中もっとも仲良し組♪　幹部同士で手柄を競い合うことはするが、何と言うか……妖怪王女がお化粧するところを皆で冷やかすとか、それで王女がふくれるとか、そこへ担任の先生よろしく悪魔元帥が「楽しそうだな」と笑顔で入ってくるとか、とにかく仲良しグループなんだよなー。
　スズメバチがモチーフとは、言われれば「ああ」となるけど。

『仮面ライダー ＺＸ』

　本郷猛の眉が太かったのを始めとして、総じて昭和のヒーローたちは「漢」の文字が相応しいほどにガッシリ系の顔立ちをしている。城茂も海城剛も矢的猛もそうだった。おゝとりゲンとか特に濃ゆい。例外は風見志郎や東光太郎など、ごく一部。
　だがしかし。際だってダントツに濃ゆい人物。それが、この作品の主人公・村雨良であろう。
　そんなことは、どうでもいい。
　この作品、正当な仮面ライダーのシリーズであるにも関わらず、媒体が雑誌という変則ぶり。写真と文で物語を展開・連載するという形。そして後年、一時間ＳＰのＴＶ特番で初めて映像化を実現した。つまり、通常ならドラマの撮影現場で撮ったスチルを雑誌の紹介記事にするという順繰りが逆になったようなもの。
　歴代ライダーや嵐、バロム・１などの内臓が顔出しで主人公と対決するとか、地獄大使の従弟が登場するとかのファンサービスは良いとしても。
　その敵組織バダンが過去すべての悪の組織を操っていたとする設定は正直いただけない。そのテの話はデルザー軍団で、もうお腹いっぱいだって。ホント勘弁して。
　モチーフは忍者。巷にはカミキリムシ説があるが、信じられないね。

　

『仮面ライダー BLACK』

　鳴滝さんの「おのれディケイド」に並ぶ名台詞「ゴルゴムの仕業か」を産み出した作品。
　スーパー１に続き、二台のバイクを使い分けるライダーの二人目。しかも二台とも自我を持っているという。
　この作品最大の特徴は、やはり主人公と同等の力を持つ、いわゆる「悪のライダー」を登場させたことだろう。もちろん、過去作品群に偽ライダーは何度か登場しているが、偽者と、同等の悪側とは意味が違う。
　劇中、シャドームーンは「ライダー」とはされていないものの、主人公とともにゴルゴムに次期創世王候補として改造された、ほぼ同型の改造人間なので、ブラックサンが仮面ライダーを名乗るなら、シャドームーンを史上初の闇ライダーと呼んでも差し支えないと思う。『キカイダー』におけるハカイダーとは別のカラーを持つ、魅力的なライバル・キャラだった。
　両名ともモチーフはバッタだそうだが（第一話の異変予兆としてバッタの群れが出てきた記憶がある）、何バッタなのかが気になって夜も眠れない（笑）。

『仮面ライダー BLACK RX』

　昭和と平成を跨いでいるが、平成ライダーには入らないそうで（真などの雨宮ライダーも平成側にはカウントされてないよね）。
　初のフォーム・チェンジするライダー。そして現時点で唯一のソーラ・システムのライダー。さらに、歴代で初めて四輪車をも使いこなすライダー。……いや盛りすぎだろ。
　BLACK の力がクライシス帝国に、まったく通じなかったのは、ストロンガーが鋼鉄参謀と闘ったときのようで衝撃だった。今で言うなら、手持ちの最強武器でスキル攻撃しても与ダメ一桁しか出ない硬い硬いモンスターってトコだね。無理ゲーすぎる。
　その反動で、RX が強すぎたチートすぎた。平成を含めても最強の仮面ライダーとする意見も多い。
　首から頭部にかけての一体化したシルエットは好き嫌いの出るところだろう。まー正直言うと BLACK のほうが格好良かったと思う。(;^_^A
　展開としては、前作同様、主人公に厳しいストーリだったなぁ。恩人夫妻が、あんなことに…………。だからと言って「五十億の民」まで滅ぼして良かったんだろうか？　あの恐怖の欠陥人間・古代進（旧作）だって、壊滅したガミラス都市を見て悔やんだと言うのに。
　歴代ライダー勢揃いは、すまんが笑った。だって「１号ライダーが二人いるぞ！」だもんなー。座敷童かよ（笑）。
　南光太郎は前作と合わせると 51+47=98話を務めた主人公で、これは本郷猛よりずっと多い（『仮面ライダー』は全98話で、うち３クールを一文字隼）。つまり歴代で最長。
　ところで、ライドロンのベース車が SA22 って本当？　信じられない……。
　BLACK が進化したということで明確なモチーフは、なさげ。首にくびれがないのは、むしろ BLACK よりもバッタ的だとは思う。ロボとバイオに至っては「モチーフ？　何それ？」状態だな（爆）。

　

『超人バロム・１』

　さいとう・たかをさんの漫画『バロム・１』を原作として実写化したもの。
　漫画では、おっちゃん（しかも、さいとうキャラなので、かなり濃ゆい）なバロム・１も、特撮になれば馴染める顔となる。漫画のキャラを上手く実写キャラに変換できた、その典型的作品。『マグマ大使』が、そうだったようにね。
　コプーが正義のエージェント「バロム・１」を、ドルゲが悪のエージェント「ドルゲ魔人」を、それぞれ担ぎ出して闘わせる。……あれ？　これって代理戦争？　ドルゲ魔人は人間をドルゲ細胞で変質させたものだし、バロム・１もコプーが二人の少年に変身能力を与えたものだし。うわー、なら、お二方、他所でやっとくんなましよ。喧嘩は飲み屋の外に出て、やるもんだべ。
　マッハロッドは格好良かったなあ。セコハンのバギーでも買ってきて外装を盛ったのかと思いきや、ダットサン・フェアレディがベースという話。本当なら何と贅沢なことを！

　

『忍者キャプター』

「原作・八手三郎」なので東映原作ということだね。
　形式としては、いわゆる“戦隊”と言えるが、七人組というところが大きな特徴。忍者モノなので七曜にちなんでいるのかと思いきや、日と月がなく、代わりに花と雷が入っている。『レインボーマン』を意識して、あえて変えてきやがったな（笑）。
　しかも構成員が少年少女から、おっさんまでという幅の広さ。でも本来のチームとは、これが正しいと思う。雷忍の「三郎兵衛おじ」が年長者として良い味、出してるんだよ。あの地獄大使が改心したもんだね〜。
　その反面、キカイダー、イナズマンと来て今度は火忍と、正義街道まっしぐらに転生し続けていた人物が、まさか後々に麻宮サキを虐める極悪看守に堕ちるとは、誰が予想したであろうか……。
　コミカライズは何と『超人ロック』の聖悠紀さん！

　

『宇宙刑事ギャバン』

　ギャバンの世を忍ぶ仮の姿での勤務態度。あれは昭和だから成立したんだろうなぁ。平成も終わろうという今なら、演出であっても「ありえん」と批判が来ると思われ。
　結果的に人間社会に被害を及ぼさずに済む「魔空空間」という設定は後番組に継承されるだけでなく、例えば『プリキュア』でも流用される、一つのテンプレになった。何せ、ラノベでも使われてるんだからなー、某フレイムヘイズの戦闘とか。
　ちなみに、烈の乗るジムニーには、ほとんど興味がなかったりする。つーか、あのモデルチェンジで顔が激変しちまってメチャがっかりしたのをよく憶えてるよ。

『宇宙刑事シャリバン』

　未視聴。ｍ(_ _)ｍ                                          

『宇宙刑事シャイダー』

　シリーズ最終作。
　アニーが視聴者の視線を全部、持って行った作品（笑）。
　主演は、円谷英二さんの、お孫さん。後に平成ウルトラマンのシリーズでも活躍するが……若くしてお隠れになったねぇ……。
「では、その原理を説明しよう」が全然、説明になってなかったよー大平透さーん。
　最終回で三人の刑事が勢揃い。そのとき、ギャバンが丸坊主だったのがね。「いや、ちょっとな」と誤魔化してたけど、まさかタイムワープして忍者になって江戸市中で暗殺しまくってたとは言えんわな（爆）。

　
　
　
　

『マグマ大使』

　手塚治虫先生の漫画作品をピープロが実写化した特撮ヒーロー作品。ピープロとしては本格的特撮の初作品じゃないかな？
　ピー・プロダクションの初代社長、うしおそうじさんは円谷英二さんに師事した後に独立なさった。英二さんは、そんなうしおさんのことをずっと心配しておられたそうな。
　で、この『マグマ大使』は、円谷が初めてのカラー作品として打ち出してきた『ウルトラマン』より、ほんのわずか早く放送開始された。つまり日本初のカラー特撮ＴＶ作品。タッチの差とは言え円谷に勝ったのは、大相撲なら師匠に恩を返したと言える快挙。
　原作の大使は表情豊かな顔をしているが、特撮では妻のモルと息子のガムが俳優さんの素顔なのに対し、大使だけはロボットっぽい。たしか、最初は役者さんの顔出しでやってみたものの、「ダメだこりゃ」とマスクを使うことになったとか。結果として良かったと思う。漫画と実写は別物だからね。
　て言うか、そもそも「ロケット人間」という存在の定義がワケワカメ。ロボットではないそうなのだが……金属音とともにロケットに変形して、ちゃんと噴射して飛ぶのに、機械じゃないってか？　アース様も、お人が悪い。
　宇宙の帝王ゴアを演じたのは喪黒福造じゃなくて南部博士でもなくハクション大魔王……（笑）。声だけでなく着ぐるみも着たというから、その役者魂に脱帽。
　ちなみにピープロ現社長は、うしおさんのご子息で、お名前を鷺巣詩郎さんという。

　

『スペクトルマン』

　ピープロの大傑作。
　ではあるものの、迷走ぶりもピープロ最大と言える。なにせタイトルが『宇宙猿人ゴリ』→『宇宙猿人ゴリ対スペクトルマン』→『スペクトルマン』と二転三転したからね。
　本編の内容も大きな路線変更が一度、細かな変更ならいくつも。最初の設定でツッパリ通せないのは、スポンサー様のせいなのかどうか。公害怪獣×公害Ｇメンという関係が良かったのにねぇ。後半の怪獣Ｇメンは何だかなー。そして何より、前半では石頭だったネヴュラ71 が後半、物判りよくなりすぎてた（爆）。
　いや実際、司令官の立ち位置にあったネヴュラ71 が石頭だったからこそ、スペクトルマンは苦悩しまくるヒーローとして、ウルトラマンとの差別化を実現していたからね。
　後のピープロ作品群に比べればマイルドではあるものの、主人公にもゲストキャラたちにも過酷な脚本だったよ、これ。
　余談として、スペクトルマンの内臓はウルトラセブンと同じ♪

『怪傑ライオン丸』

　ピープロの最高傑作は何か？
　という問いがあれば、これか『スペクトルマン』か悩むところ。『マグマ大使』も良いんだけど、ピープロのオリジナルでない分、ハンデを考慮すると他の二タイトルには届かない。途中でブレた『スペクトルマン』に対して、ブレのなかった『怪傑』。ということで、これを最高傑作としたい（マニアに評価の高い『鉄人タイガーセブン』を観ていないので、そこだけはご勘弁を）。
　今でこそ定番のダークヒーロー。これをいち早く実現したのは『人造人間キカイダー』のハカイダー＠サブローではあるのだが。強敵が闘いを通して仲間になる、という流れは、この作品のタイガージョー＠虎錠之介が初……と思う。
　なお、虎錠之介は制作中にキャストの交替があった。その事情について、ここでは述べない。知りたいというかたは、ぐぐっていただきたい。最初の役者さんの猛々しい演技がド迫力だっただけに残念。もちろん、後任のかたの落ち着いた演技も味わい深く魅力的。ただ、錠之介のキャラが変わってしまったのは事実なんだよなぁ。
　時代劇としての絵作りも丁寧で、特撮時代劇としても東映の『仮面の忍者赤影』を越えたのではないかと思う。え？　『嵐』？　いやいや、比較の相手にもならんやろ。
　ヒロインの沙織は、挿入歌の歌詞に「沙織がとらわれた」とあるほどの拉致られ要員。囚われヒロイン大賞を進呈すべきだと思う。
　実はこの時代、どうやらスペクトルマンが地球の調査に飛来していたらしい。超能力のサイボーグの目に、忍法獅子変化はどう映ったのだろうか？
　最終話のラストシーンが、あっさりしている分、余計に切ないのだよ……。

『風雲ライオン丸』

　基本コンセプトは「時代劇で西部劇をやる」ということだったようで。主人公の弾獅子丸はマントを着けており愛馬の名がシェーン、まさに日本刀を持ったカウボーイ。ヒロインはヒロインでウエスタンブーツ着用＆趣味はギターの弾き語り、で失踪した父親を捜すべく弟とともに幌馬車で荒野を旅する。
　放送当時、チャンバラ劇に幌馬車を出したことを識者層から相当に叩かれたらしい。
　今でこそ、こういったミスマッチは、むしろ創作上の武器となり、考えがあるのなら積極的に取り入れるべきものなのだが、『風雲』はあまりにも時代を先取りしすぎたということ。匙加減で面白くなる要素なのに、実に実に、もったいない。
　ただし、「ロケット変身」という何も考えていない設定だけは、もう少し何とかならんかったものかと……。
　一度だけ、怪傑ライオン丸が助けに登場したが、あの客演は唐突感が酷かった。やっつけと言って良いレベル。やるなら前作との最低限の整合性くらい考えてくれ。
　ライバルとしてのブラックジャガー＠黒影豹馬も魅力に欠けたし、何より弱すぎた。けっきょく、前作で退場したタイガージョーに再登板を願うという顛末。
　主演は『快傑』と同じ人。特撮において、前作に引き続き主役が続投というのは『仮面ライダー BLACK RX』よりずっと早いが、あちらが同一人物のままなのに対し、こちらはあくまでも別人という設定。なら、なんで続投にした？　大人の事情？

『鉄人タイガーセブン』

　未視聴だが、一言だけ。
　タイガーセブンやバイクのデザインだけは、もう少し何とかならんかったものかと……。

『電人ザボーガー』

　φ's のサポートをするオートバジン。アニメならナイトセイバーズが使うモトロイド。メガゾーン23 内で開発されていたガーランドというのもあったなぁ。モスピーダ？　すまん、それは観たことがない。
　でも、元祖はザボーガーだろ。な？
　途中で主役（メカ）が強化目的でマイナー・チェンジってのは、ひょっとして初？　超電子人間ストロンガーよりは早いのか。マーキュリー回路のＸよりは遅い……とは言えＸのは外観に変化ないから除外していいよね。本郷ライダーの二本線は、その事情について本編内で何ら触れられていないから、これもスルーしてよかろ。
　でも、マシン・ザボーガーには乗りたくないなあ。どう見ても遊園地やデパート屋上で子供がウルトラマンに跨るレベルの絵面だよ。

　
　
　
　

『レインボーマン』

　原作は『おふくろさん』の作詞家としても知られる川内康範さん。本作品は、いわゆる“川内三部作”の一作目。
　三部作より古い『月光仮面』が月光菩薩なら、レインボーマンの基本型である太陽の化身は日光菩薩なのかもしれない。あるいは大日如来か？
　ストーリを知らぬ人でも「インドの山奥で修行した」というフレーズだけは知っている主題歌どおり、主人公は印度で修行するのだが、その動機が「強くなってプロレスで大金持ちになる」という煩悩の塊。よくもダイバ・ダッタは彼を弟子に取ったものだと思う。
　レインボーの名の由来は、七曜に応じた七つの姿と力を使いこなすことなのだが、よくよく考えれば、レインボーマンはフォーム・チェンジするヒーローの元祖ではないか！　ちなみに個人的には月の化身が最も強いと思う。総合バランスでは太陽の化身が上だろうけどね。
　敵組織「死ね死ね団」というのが、また突っ走ってて。第二次大戦での体験から日本を恨む人々が作った秘密結社であり、目的は日本国の壊滅と日本人の根絶。いやとんでもねー組織だよ。ＥＤテーマが団のテーマソングになっていて、その歌詞がまたきつくてきつくて。
　ボスの平田昭彦さんも存在感あったけど、誰よりも塩沢ときさんが良い味を出してた。ついでに（笑）、塩沢魔女の息子であるマザコン電気怪人は後に惑星開発用改造人間やマッハドライバー炎を開発、人類に貢献している。改心したんだねぇ♪

『ダイヤモンド・アイ』

“川内三部作”の二作目。
　主人公は普通の人間。で、ダイヤモンド・アイは副主人公。ああ、安心してくれ。アイアンキングみたいな逆転現象はないから。強いのはダイヤモンド・アイのほうだから。
　前作が第二次大戦の爪痕を悪の根源としているのに対し、今作は社会構図の悪と言うか歪みみたいなところを批判しているように思える。
　にしても、ただ相談のために呼び出されたりするヒーローというのも、なかなかに味わい深くて（笑）。

『コンドールマン』

　当時、「ル」を「ム」と読み間違える阿呆が多発したとかしないとか。え？　けっこう仮面に似てる？　いや気のせいだろ。
“川内三部作”三作目。
　この作品でユニークなのは、主人公がヒーローに変身するのではなく、死んだ青年の姿をヒーローが借りる、という構図。似ているのは『エイトマン』だね。あるいは『強植装甲ガイバー』も途中で本人が死んで複製が引き継ぐあたり少し近いかもしれない。
　敵の一体、ゼニクレージーは、『仮面ライダー Ｗ』マネードーパントの元ネタに違いない♪
　前二作に対し、この作品は人の心に潜む悪に注目している。人に欲望がある限りモンスターは不滅らしい。まるで黒幽霊団みたいなことを言う。

　
　
　
　

『光速エスパー』

　三ツ木清孝さん主演の等身大ヒーローもの。
　もともと「エスパー」というキャラは東芝のマスコット（薬局のカエルさんやゾウさん同様、東芝ストアーの店先にエスパー人形が立っていた。今なら盗まれるだろうな）。そのデザインを担当された、あさのりじさんが漫画連載も手がけ、それを元にドラマ化。という流れ。
　ちなみに、秋田書店から単行本になり小学館が復刻した『光速エスパー』は松本零士名義であり、これは原作ではなくドラマの放送を受けてのコミカライズ作品。ただし松本氏の悪癖ゆえ、原作漫画やドラマとの整合性など一切なく御意見無用のゴーイン・マイ・ウェイ。主人公の名は「古代すすむ」。そしてもちろん、この「すすむ」くんがヤマト艦長代理へと出世するのだ（爆）。
　あさのりじ版も単行本になっているらしいけど、見たことがないよ。(;^_^A
　冷静に考えると、この物語は善のエスパー星人が悪のギロン星人との争いを地球上でもって地球人の手を借りて進める代理戦争とも言える。エスパー星人としては地球人に手助けしている認識なんだけどね。
　敵であるギロン星人は、後の作品『ウルトラマンＡ』の異次元人ヤプールにイメージが近い感じ。
　この作品のキモは、やはり強化服であろう。後々の（日本的な）パワードスーツの先駆者と言っていいと思う。ほら、ゴレンジャースーツとか、あるやん♪
　これを着用して「エスパー」を名乗る主人公は普通の中学生。強化服との相性が良かったとかなのかどうか、ともかく普通の中学生が侵略宇宙人と闘う羽目になる。本人も平気な顔して引き受けるんだよなぁ。
　エスパーをサポートする小鳥型ロボット「チカ」も、後々の作品群に影響を与えたと思われ。猛スピードで飛ぶエスパーの肩に、ちゃんと止まって喋るんだぞー可愛いんだぞー♪（中身、偽の母親だけどな）
　強化服を開発した博士は他にも、インベーダー研究やらミラーマンの身元引受人やら、ＭＪ号建造やら、二体のサイバロイド＋ゴンベスの製造やらと、実に優秀で地球の平和に欠かせぬ人物である（笑）。
　ラストシーンで主人公と再会した母が、本当の母親なのかエスパー星人なのかは、未だに答えが見つからない……。

　

『シルバー仮面』

　顎が出ている特撮ヒーローってライダーマンだけじゃなかったんだぞ（でも微妙にケツ顎……）。
　等身大の変身ヒーローをやってて、途中で「これはいかん」と巨大化させた。変更タイトルも『シルバー仮面ジャイアント』って、まんまやん。
　スタッフやキャストに、けっこう特撮のご常連さんがたがおられたものの、何せ裏番組が『ミラーマン』だったからね。HDDレコーダどころか一般家庭向けVTR もなかった時代に、これはきつい。当時は特撮バブルの戦国時代だから、番組表でのバッティングなんてザラだったんだよなぁ。

『アイアンキング』

　一部の地域で再放送を最終話一つ前に打ち切ったため「最終回でウルトラマンが街を破壊して終わる」という誤解伝説になったのが、こやつ。ちなみに、その放送局ではクレーム対応に辟易し、それ以後、特撮を禁忌としたという都市伝説があるそうな。
　２クールの中で敵組織が三つも入れ替わる忙しい……もとい、お得な番組♪
　本郷猛を追って欧州に飛び、そのまま消息不明となった緑川ルリ子が、実はアイアンキングに接近していたという情報が、とある消息筋から……（笑）。
　主役は人間で巨大ヒーローが助演というユニークな作品…………いや、だって、主人公が生身で巨大ロボとか倒す、ほとんどガンダムファイターなんだからサー。

　

『白獅子仮面』

　主役に当時の特撮ではお馴染みのイケメン俳優・三ツ木清孝さんという、かなり奢った作品。
　八丁堀の与力がヒーローに変身して怪人退治。要するに『仮面ライダー ドライブ』を時代劇にしたと解釈すれば、ほぼ正しい（与力だから馬に乗れるのだ♪）。
　設定に特に問題がないものの、敵が時代劇としてオーソドックスに妖怪軍団というのが、逆に弱点になったかも。妖怪モノだからなのか、絵作りが印象的に暗かったのも、受けが悪かったかもしれない。ヒーローの顔がモロに歌舞伎の獅子で子供には怖かったし……。二丁十手とか画期的だったのに、もったいない気がしてならない。
　あらためて今、大人向けの変身ヒーロー時代劇として、しっかりこだわって作ったら面白そうだと思う。

　

『スーパーロボット レッドバロン』

　ストーリがあまりにも悲惨すぎて、ついてけなくなり、途中でやめた。鉄面党の「奴隷人間」なる設定はシンプルながら嫌悪感マシマシ。
　レッドバロン起動時の声紋および指紋認証システムは、簡単に乗り逃げされるマジンガーＺよりセキュリティ面で高評価♪（ちなみに、さらに古いＧＲ１にも声紋認証があるんだよな〜。ＢＦ団、ＧＪ！）

『スーパーロボット マッハバロン』

　未視聴。ｍ(_ _)ｍ                                          

　
　
　
　

『突撃！ ヒューマン!!』

　特撮でない特撮？
　ドリフの『全員集合』ばりの舞台ライヴは凄いの一言。観客席の子供たちが回すヒューマン・サインに応えてヒューマンが空（会場の天井隅）から飛来、舞台上に登場のシーンは創意工夫の賜だった。
　ヒューマンの顔はザラブ星人、ダダ、ウルトラセブン、ウインダム、シャドー星人……等々、成田亨さん思い入れの共通デザイン。
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　スタッフの汗と努力も、裏番組が『仮面ライダー』という強烈な事実の前には蟷螂の斧にすぎず、あえなく１クールで打ち切り。
　ヒューマン１号は後にダダ兵団に攫われスカイゼルとなり、２号はＺＡＴに就職。そしてヒロインは後年、相沢すずを出産する。

　
　
　
　

『サンダーマスク』

「二段変身」を売りにしたヒーローなのだが……単に巨大化するだけなんだよねぇ。そんなのセブンが、やってるってば。
　魔王の地球攻撃を察知した宇宙の警察みたいな所がサンダーマスクを派遣。しかしながら、計算をまちがえて一万年早く地球に着いてしまうという、おちゃめさん（テヘペロ）。仕方ないので人類文明が成長するまで寝て待つことにしたそうな。
　このネタが第一話だけで消化されてしまうのは少々もったいなかった。もう少し引っ張ってもバチは当たらなかったと思う。まあ当時だから、やったら叩かれたかな？　一万年前という古代遺跡の発掘、調査、研究、解明、そしてサンダーマスクお目覚めという過程があるのだから美味しいネタではあるのだよ。
　あの手塚治虫先生にコミカライズを依頼するという掟破りや、監督に『ゴジラ』の本多猪四郎さんが加わっていたりと、何と贅沢な人材の使いかたであろうことかな。

　

『西遊記』 『西遊記 II』

　特撮作品と呼んでいいのか少し迷うが、一作目に円谷、二作目に東宝が関わっての光学特撮パートなので、まあいちおう。
　明の時代に成立した小説『西遊記』を原作とした語る必要もない名作ドラマであり、後のドラマ化作品（本木版、唐沢版、香取版）において男性である三蔵法師を女性が演ずるテンプレばかりか、漫画やアニメにて三蔵の立ち位置を女性キャラ（三蔵法子とかブルマとかね）にする現象の源流でもある。夏目雅子さんは偉大なのだよ！
　堺正章さんの如意棒さばきは素晴らしいの一言。これを越える孫悟空が、また日本の俳優から出たら嬉しいけど、難しいかな？
　西田敏行さんによる八戒も、そのブッ跳びぶりが唯一無二。左とん平さんには申し訳ないが、『II』の八戒は全然駄目。
　お釈迦様に高峰三枝子さんというのもナイスなキャスティング。佛に性別がないことを見事に表現したと思う。
　脚本や演出の大胆さは、同じく『西遊記』をアニメ化した虫プロ作品『悟空の大冒険』に匹敵する。ともに挑戦の意図が大成功しているのは、原作の持つ底知れぬパワー故なのかもしれない。
　三蔵一行の旅が未到達のまま終わってしまったのは残念に尽きる。ゴダイゴによる主題歌『ガンダーラ』は、この結果を予言していたのであろうか……。

　
　
　
　

『魔人ハンター ミツルギ』

　チャンバラ時代に異星人の侵略を受けたら？　という画期的なシミュレーション作品。着ぐるみでなく、あえて人形アニメーションを使うという挑戦精神も評価できる。
　んが。
　主役の忍者三人組がヘルメット着用という先進的スタイルなのに対し、なぜか侵略異星人のほうは古風な武者姿…………おかしくね？